高齢者の適切な食事量は?栄養を補う方法やおすすめメニューも紹介

2025/12/01

高齢者は食事量が少ないと、低栄養(栄養不足)になる可能性が高くなります。低栄養は体の機能を低下させ、健康に悪影響を及ぼす場合があるので、注意が必要です。

そのため、摂取量が少ない方の食事には、栄養を補えるようなメニューや調理法などが求められます。

そこで本記事では、高齢者の1日に必要なカロリーや栄養素、食事量が少なくても栄養が摂りやすくなる方法などについて解説します。

「高齢者の食事量が少なくて心配している」「必要な栄養素が補えるメニューが知りたい」という方は、ぜひ最後までお読みください。

高齢者の食事量が減る原因とリスクについて解説

高齢者はさまざまな心身の不調が原因で、食事量が少なくなるケースがあります。ここでは、高齢者の食事量が減る原因、減った場合のリスクについて解説します。

1.高齢者の食事量が減る原因

高齢者は身体機能の低下や精神的なストレスなどで、食事量が減少する場合があります。主な原因は以下の通りです。

  • 噛む力や嚥下機能(飲み込む機能)が弱まる
  • 味覚・嗅覚などが衰える
  • 活動量が減る
  • 独居により孤独、ストレスを感じる
  • 消化器系の病気になる など

 

このように、高齢者は心身の不調により、食事量が低下する可能性が高いといえます。

2.高齢者の食事量が減った場合のリスク

食事量が減少すると、低栄養に陥りやすくなります。低栄養は全身に悪影響を及ぼし、身体機能の低下を招きます。

令和5年国民健康・栄養調査では、高齢者(65歳以上)の低栄養傾向の割合は男性12.2%、女性22.4%であることがわかりました。特に男女共に85歳以上で割合が高くなっています

<低栄養傾向の者の割合(65歳以上、性・年齢階級別)>

出典1:高齢者の低栄養予防(厚生労働省)

また、低栄養によって起こる機能低下は、主に以下の通りです。

<低栄養になると起こる体の変化と症状>

低栄養になると起こる体の変化 表れる症状
体重が減る(筋力が減るため) 疲れやすくなる
筋力が低下する 転倒の危険性が高まる
骨密度が低下する 骨折の危険性が高まる
たんぱく質が不足する ・免疫力が低下して感染症などにかかりやすくなる

・むくみ、褥瘡(床ずれ)が起きやすくなる

 

出典2:高齢者の身体状況について(厚生労働省)

さらに、嚥下にはさまざまな筋肉が関わっているため、筋力の衰えは嚥下機能が低下する原因にもなります。

適切に食事を摂取するためにも、低栄養を防ぐことが重要です。

高齢者に必要な1日の食事量の目安とは?

農林水産省が発表している「シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド」では、高齢者の1日の食事量について以下のように記されています。

<高齢者に必要な1日分の食事量>

食事の種類 1日分の適切な量
主食(ごはん) 茶碗3杯程度
主菜 肉・魚・卵・大豆料理から3皿程度
副菜 野菜・きのこ・いも・海藻料理から5皿程度
牛乳・乳製品 牛乳1本程度
果物 みかん2個程度

 

出典3:シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド(農林水産省)

さらに、3食に分けると以下のような献立になります。

<高齢者に必要な3食分の食事メニュー例>

※1日に1800kcal前後が必要な高齢者の場合

朝食 昼食 夕食
主食 ご飯普通盛り 天ぷらうどん ご飯普通盛り
主菜 納豆 焼き魚
副菜 野菜サラダ ほうれん草のおひたし ・具だくさん味噌汁

・筑前煮

・酢の物

牛乳・乳製品 フルーツヨーグルト 該当なし 該当なし
果物 りんご半分

 

出典4:シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド(農林水産省)

このように、

  • 主食
  • 主菜
  • 副菜
  • 牛乳・乳製品
  • 果物

をバランスよく3食摂取すると、適切に栄養補給ができます。

高齢者に必要なカロリーと3大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)について解説

健康維持のためには、必要な栄養を適切に摂ることが重要です。ここでは、高齢者が1日に摂るべきカロリーと三大栄養素について解説します。

1.高齢者の1日に必要なカロリー

高齢者は以下3つの活動レベルによって、摂取カロリーが変わります。

  • 高い
  • 普通(身体活動が自立している)
  • 低い(自宅にいてほとんど外出しない、施設入所者で自立に近い状態)

 

以下は男女別の推定エネルギー必要量を表した表です。

<推定エネルギー必要量(男性)>※kcal/日

身体活動レベル 低い 普通 高い
65~74歳 2,100 2,350 2,650
75歳以上 1,850 2,250 該当なし

 

<推定エネルギー必要量(女性)>※kcal/日

身体活動レベル 低い 普通 高い
65~74歳 1,650 1,850 2,050
75歳以上 1,450 1,750 該当なし

 

出典5:高齢者の食事摂取基準(健康長寿ネット)

 

カロリーが多すぎると肥満に、低すぎると低栄養になる可能性があります。個人の活動量に合ったカロリーを摂取できるようにしましょう。

2.高齢者の1日に必要なたんぱく質・脂質・炭水化物(三大栄養素)

たんぱく質・脂質・炭水化物の三大栄養素は、生命維持や身体活動に欠かせないエネルギー源です。

不足すると、主に以下のような症状が現れます。

  • イライラする、集中しづらくなる
  • 皮膚がかさつく、疲れやすくなる
  • 免疫力、筋力が低下する

 

摂り過ぎると肥満の原因になりますが、少ないと低栄養になり、生命が脅かされる危険性もあります。そのため、適切な量を摂取しなくてはなりません。

高齢者に必要な三大栄養素の摂取量は、以下の通りです。

<3台栄養素の1日の基準値(65歳以上)>

栄養素 量区分 女性 男性
たんぱく質(g) 推奨量 50 60
脂質(%エネルギー) 目標量 20~30
炭水化物(%エネルギー) 目標量 50~65

 

出典6:高齢者の食事摂取基準(健康長寿ネット)

 

特に高齢者に大切なのがたんぱく質です。たんぱく質は筋肉や臓器などを作る主要成分であり、生命維持に欠かせません。

以下の表で、1日に必要なたんぱく質が摂れるメニューを紹介しています。献立を作る際の参考にしてみてください。

<高齢者に必要な1日分のたんぱく質が取れるメニュー>

1日の献立
朝食 卵焼き(Mサイズ1個)
昼食 生姜焼き(豚ロース5枚)
夕食 ・鯖(1切れ)

・木綿豆腐(3分の1丁)

 

出典7:たんぱく質を意識してとりましょう

 

このように、たんぱく質が摂れるメニューをバランスよく取り入れることが大切です。高齢者には三大栄養素、特にたんぱく質を意識した食事を提供しましょう。

高齢者の食事量を補うおすすめのメニュー5選

食事量が少ない高齢者には、食べやすくて必要な栄養を摂取できるメニューがおすすめです。ここでは、調理が簡単で、なおかつ食べやすいメニューを5つ紹介します。

1.パングラタン

食材を混ぜてオーブンで焼くだけなので、手軽にできます。食パン1枚と卵1個を使った、たんぱく質の補給に優れているメニューです。

 

<材料>

  • 食パン 1枚
  • 卵 1個
  • 牛乳 100cc
  • 玉ねぎ 1/8個
  • ベーコン 1~2枚

 

<作り方>

①玉ねぎとベーコンを1㎝程度に切る。

②耐熱皿に卵と牛乳を入れ、その中に①を加えて混ぜる。

③一口大に切ったパンを②に加え、トースターで10分程度加熱する。

出典8:食事のバランス整えるポイントBOOK(日野市)

2.鯖缶の味噌汁

たんぱく質が多い鯖缶を使った味噌汁です。鯖缶の脂と玉ねぎが組み合わさることで味がまろやかになり、少ない量の味噌でも美味しく作れるのがメリットです。

 

<材料>

  • 鯖缶 60g
  • ねぎ 3cm
  • 玉ねぎ 6分の1個
  • 味噌 14g
  • だし汁 240cc

 

<作り方>

①玉ねぎは千切り、ねぎは小口切りにする。

②鍋にだし汁を入れて火にかけ、玉ねぎと鯖缶を汁ごと入れる。

③②に火が通ったら味噌を溶き、器に盛ってねぎを散らす。

出典9:高齢者の食事(大木町)

 

3.鮭ごまピカタ

鮭を卵に付けて焼くだけで完成です。たんぱく質・脂質などが一度に摂れる、とても栄養価の高いメニューです。

 

<材料>

  • 甘塩鮭  1切
  • 小麦粉 大さじ1
  • 卵 1個
  • すりごま 大さじ1
  • オリーブオイル 小さじ2

 

<作り方>

①鮭を4等分に切る。卵をほぐし、すりごまを入れ混ぜておく。

②鮭に小麦粉をまぶす。

③フライパンに油をひき、②の鮭を①の卵液につけてから焼く。

出典10:食事のバランス整えるポイントBOOK(日野市)

 

4.チーズ豆腐ステーキ

たんぱく質・カルシウムなどがバランスよく摂れるメニューです。豆腐とチーズの組み合わせにポン酢の相性が良く、高齢者でも食べやすいのが特徴です。

 

<材料>

  • 木綿豆腐 3分の1丁
  • 小麦粉 大さじ2分の1
  • 油 小さじ1
  • ピザ用チーズ 大さじ1
  • ポン酢 大さじ1
  • 万能ねぎ 1本

 

<作り方>

①豆腐は重しをして水気をきり、横半分に切って全体に小麦粉を付ける。油を熱したフライパンで両面をこんがり焼く。

②焼いた豆腐にピザ用チーズをのせて、チーズが溶けるまで蓋をして焼き、器に盛る。

③②の上にポン酢をかけ、小口切りした万能ねぎを散らす。

出典11:低栄養予防レシピ~主菜・肉や魚等がメインの料理~(東京都西多摩保健所)

 

5.野菜のクリーム煮

さまざまな野菜をコンソメと牛乳で煮込みます。たんぱく質や脂質などが効率よく摂取できる、バランスの良いメニューです。

 

<材料>

  • 玉ねぎ 1/4個
  • ほうれん草 1株
  • しめじ 1/4株
  • ベーコン 1~2枚
  • 牛乳 50cc
  • バター 4g

 

<調味料A>

  • コンソメ 小さじ½
  • こしょう 少々
  • 水  50cc

 

<作り方>

①野菜は一口大に切り、しめじはほぐしておく。

②ベーコンは1センチ幅に切る。

③鍋に①②と牛乳、調味料Aを入れ中火で10分煮込む。

出典12:食事のバランス整えるポイントBOOK(日野市)

 

高齢者の食事量が減っても栄養が摂りやすくなる4つの方法

高齢者の食事量が減っている場合は、食べやすい食材を提供するのはもちろん、少ない摂取量でもできるだけ多くの栄養を摂る必要があります。

ここでは、食事量が少ない高齢者でも、栄養が摂りやすくなる方法を解説します。

1.柔らかい食材を選ぶ

高齢者の食事量が少ないときは、柔らかい食材を選びましょう。柔らかいもの、繊維の少ないものなどはのど越しが良く、食事量が増える場合があります。

おすすめの主な食材は以下の通りです。

 

種類
野菜 ・なす

・ズッキーニ

・パプリカ

・玉ねぎ

・アボカド

・山芋

・里芋 など

・ヒレ肉

・しゃぶしゃぶ用の肉

・ひき肉

・鶏のささみ など

・銀ダラ

・鮭

・スズキ など

出典13:食事のバランス整えるポイントBOOK(日野市)

 

食事量が少ないと、低栄養になる可能性が高まります。高齢者の食べやすいものを提供して、少しでも摂取量を増やしましょう。

2.手軽に摂れる方法でたんぱく質をプラスする

繰り返しにはなりますが、高齢者にとってたんぱく質は重要です。たんぱく質は筋肉や臓器などを作る成分であり、健康の維持増進には欠かせません。

食事量が少ないと、たんぱく質の摂取量も少なくなる可能性が高いといえます。そのため、手軽にできる方法で、たんぱく質の摂取を促してみてください。

おすすめの方法は以下の通りです。

  • 味噌汁に鯖缶を入れる
  • 味噌汁の代わりに豚汁にする
  • 納豆ご飯にする
  • のど越しの良い温泉卵や冷奴を提供する
  • トーストにハムとチーズを乗せる
  • チーズやヨーグルトをおやつに提供する
  • コーヒーに豆乳を足して豆乳ラテにする

 

高齢者にも食事を提供する方にも負担が少ない方法で、たんぱく質の摂取量を増やしてみましょう。

3.栄養素が一度にたくさん摂れるメニューを選ぶ

食事量が減っているときは、一つの副食で多くの栄養が摂れるメニューをおすすめします。

特に、

  • 具だくさんの味噌汁
  • ミネストローネ
  • カレー
  • 親子丼

などは栄養価が高く、食べやすいメニューです。

食事量が少ない場合は、主食と共に具だくさんの副食を提供してみましょう。

4.食べやすく調理する

食材を食べやすく調理すると、高齢者の食事量が増える可能性があります。ポイントは「しっとり・なめらかに・まとめる」ことです。

おすすめの方法を以下で紹介しておりますので、参考にしながら調理してみてください。

 

<食事を食べやすくする調理法とメニュー>

主な方法 メニュー
しっとり ・蓋をして蒸し焼きにする、煮込む。

・とろみのついたあんをかける。

・煮込みハンバーグ

・鮭のホイル蒸し

・豚肉の野菜蒸し

・あんかけチャーハン など

なめらかに ・油分の多い食材や調味料を使うとパサつきが抑えられて食べやすくなる(マヨネーズ、ねりごま、生クリームなど)。 ・コールスロー

・かぼちゃサラダ

・マヨネーズ焼き(鮭・鶏むね肉・白身魚)

・コーンスープ など

まとめる ・火を通すとまとまる食品をつなぎに使う(片栗粉、じゃがいも、卵など)。

・とろっとした粘性のある食品をかけたり、和えたりする。

・親子丼

・豆腐ハンバーグ

・鶏団子スープ

・クリームシチュー など

出典14:食べやすい食品・食べにくい食品

まとめ

高齢者の1日の適切な食事量は、以下の通りです。

 

食事の種類 1日分の適切な量
主食(ごはん) 茶碗3杯程度
主菜 肉・魚・卵・大豆料理から3皿程度
副菜 野菜・きのこ・いも・海藻料理から5皿程度
牛乳・乳製品 牛乳1本程度
果物 みかん2個程度

 

食事量が低下していると、健康維持に必要な栄養が摂取できず、低栄養になるおそれがあります。その場合は、食材を食べやすく調理したり、栄養が摂りやすいメニューを提供したりする必要があるでしょう。

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