介護士が離職する理由とは?

2023/02/02

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介護業界は離職率が高く、同じ職場に職員が定着しにくいイメージがあります。

職場を変えながらキャリアアップする働き方もありますが、同じ職場で長く働き続けることは事業所にも働く介護士にも、両者にとってメリットがあるはずです。

介護士が離職を考えるのはどのような理由なのでしょうか?

介護士の離職率

介護労働安定センターが行った「介護労働実態調査」では、令和3年度の介護労働者(訪問介護員、サービス提供責任者、介護職員)の離職率は14.1%で、平成19年度の21.6%をピークとして低下の傾向が続いています。

また令和2年雇用動向調査の結果と比較すると、全産業の平均離職率14.2%を0.1ポイント下回っています。

これらの結果からは、介護士の離職率は特別に低いわけではないととることもできます。

離職者の勤務年数

令和2年10月1日から令和3年9月30日までに離職した介護従事者の勤務年数をみると、1年未満で辞めた人が35%、1年以上3年未満の人が23.7%、3年以上の人が41.3%となっています。

職種で見ると、介護職員・訪問介護員では1年未満の離職者は30%以上と比較的高く、サービス提供責任者では3年以上の離職者が6割以上という結果で、介護職員・訪問介護員は短い期間で離職する傾向があるといえます。

しかし一方で、どの職種においても50%以上の人が今の勤務先に限らず「今の仕事を続けたい」と答えており、職場に不満はあっても、介護の仕事は続けたいと考えているという結果が出ています。

介護士の離職の理由

介護士が離職する理由にはどのようなものが多いのでしょうか。

どのような職種にも当てはまるような理由から、介護業界ならではの理由もあると考えられます。

令和3年度の介護労働実態調査からわかる、「前職を辞めた理由」を見てみましょう。

人間関係

介護の仕事に限りませんが、仕事をしていく上で人間関係が良好かどうかは大切な要素といえます。

調査結果では、人間関係を理由に退職した人は全体の18.8%と最も多くなっています。

人間関係の悩みや不安・不満の理由では「自分と合わない上司や同僚がいる」が20.2%で最も多く、次いで「部下の指導が難しい」が19.2%、「ケアの方法などについて意見交換が不十分である」が19.2%でした。

介護士として働く人は年齢層も幅広く、さらに介護士だけではなく多くの職種と協同することが必要であり、いろいろな人とのコミュニケーションが必要となることで人間関係の悩みも生じやすい可能性があると考えられます。

ライフステージの変化

介護の仕事に限りませんが、特に女性は結婚や出産によってライフスタイルが大きく変化し、仕事を辞める人がいます。

調査結果では、男性では「自分の将来の見込みが立たなかったため」という理由で退職する人が26.5%もいました。

介護士の場合、職場によっては勤務が不規則で夜勤があるなど、家族の協力がないと続けることが難しいこともあります。

また体力が必要な仕事でもあるため、年齢を重ねていくと常勤で仕事を続けることが体力的に困難となることもあります。

このライフスタイルの転機に対して、職場の支援体制が整っている事業所では、離職せずに仕事を続けることができる可能性もあります。

給料が安い

令和3年の介護労働安定センターの調査では、収入が少ないことを理由に離職した人は全体の14.9%でした。

特に無資格や未経験から入職した場合は低い給料からスタートするケースも多く、給与面に不満を持つ人が多い可能性があります。

また勤務年数を重ねて給料が増えても、リーダー的な立場になったりすることで業務量が増え、業務量と給料が見合っていないと感じて離職するケースもあると考えられます。

働き方を変える

ライフスタイルの変化とも関係がありますが、入所の施設で働く介護士は、勤務体制が不規則であったり、夜勤があることが生活に支障をきたすことがあります。

そのような場合は、同じ介護士の仕事であっても、比較的自分の生活パターンに合わせて働ける訪問介護の仕事や、夜勤のないデイサービスなどに転職するケースがあります。

また資格をとることで職場を変えた人は離職者全体の8.9%でした。

経営理念の不一致

介護について理想があったり、高齢者と丁寧にかかわりたいと考えている介護士の人は、自分の理想や考え方が、職場や職場の責任者の理念や方針と合わない場合、それがストレスとなって離職するケースもあります。

施設や事業所の理念や運営に不満があって離職した人は全体の12.1%と比較的多いといえます。

長く働くことのメリット・デメリット

令和3年の調査では、「今の勤務先で働き続けたい」と考える職員は5年連続して前年を上回っており、同じ職場で長く働き続けたいと考えている人は増えています。

介護士が同じ職場で長く働くことにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット

ひとつの職場で長く働くことで昇給や役職が付くなど、給料は増えていく可能性が高くなります。

職場によっては年齢に関係なく働き続けることができたり、定年後も再雇用制度などによって働き続けることもできます。

利用している高齢者やその家族にとっても、同じ介護士が長く働いていることで、安心感や信頼感につながります。

デメリット

同じ職場で長く働いていると毎日の業務が習慣化し、新しい気づきや学びが少なくなってしまう可能性があります。

事業所の種類が違ったり職場が変わると、同じ介護士の仕事であっても、仕事の方法や考え方が異なることがあるので、職場を変えて違う経験ができることはキャリアアップにも役立つと考えられます。

長く働くことのメリット・デメリット

離職率が高い職場の特徴

介護士の入れ替わりが激しい職場もあれば、結婚や出産などを経て、定年まで働き続ける人が多い職場もあり、離職率はそれぞれの職場によっても異なるのが現状です。

離職率の高い職場には職員が定着しない原因があると考えられるので、そのような職場に転職するのは避けたいものです。

求人情報や面接のときにわかる、離職率の高い職場にみられる特徴を挙げます。

常に求人募集がある

求人広告や求人サイトに常に求人募集が出ている職場は、離職率が高かったり職員の欠員数が多いか、定着していない可能性があります。

原因は職場によってさまざまだと考えられますが、職員が定着していない職場では1人あたりの業務量が過剰になったり、丁寧に指導が受けられない可能性もあります。

給料が極端に高い

施設の種類や職種が同じであって、所在地が近隣の他施設と比較したときに、給料が極端に高い場合は、職員の欠員が多く少しでも早く職員を採用したかったり、離職を防ぐために給料を高く設定している可能性があります。

相場よりも明らかに給料が高い場合は、基本給や諸手当などの詳細についても確認するようにしましょう。

勤務体制や年間の休日数、有給の取りやすさなどの待遇についても確認できると安心です。

職員たちの表情がよくない

施設内で働く職員がやりがいを感じて働いている職場であれば、忙しくしていても、外部の人には笑顔で挨拶をしてくれるものです。

反対に業務に追われて疲弊していたり、人間関係が悪い職場では、職員の笑顔は消えていきます。

施設内が汚い

施設の床が汚れていたり排泄物のにおいがする場合、人手が少なく掃除にまで手が回っていなかったり、汚物を適切に処理できていない可能性があります。

面接で施設を訪ねたときには、施設内の汚れやにおいも気にしてみましょう。

施設内を見学させない、採用を即決する

近年は感染症の影響によって施設内を見学できない場合もあるため、一概には言えませんが、職場環境が良くないために施設内を見学させないケースもあります。

また人材の不足が深刻な職場では、面接もそこそこに採用を即決されることもあります。

採用を即決されることが必ずしも悪いことではありませんが、面接で自分が正当に評価されたかどうか、自分の不安や不明点が解消されたかどうかを考えた上で入職を決めるようにしましょう。

介護士が離職する理由とは?

令和3年の介護労働実態調査の結果では、介護士が離職する理由で最も多いのが「人間関係」、次いで「ライフステージの変化」、「収入が少ない」ことは3番目の理由でした。

離職の理由は人それぞれであり、現在は転職することでキャリアアップする働き方も一般的となっています。

介護士の仕事はこれからの高齢社会にとっては無くてはならない仕事のひとつです。

離職して転職することが自分にとってメリットとなるようにしていきましょう。