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通所介護のサービス提供体制強化加算 安定的な事業所経営の為にも
2023/02/02
利用者ごとの状況に応じた介護サービスの提供や、介護事業所の体制に対する加算の一つに、「サービス提供体制強化加算」があります。
介護福祉士等の有資格職員による専門性の高い介護や、事業所に一定期間在籍している職員による安定的な介護などが、評価対象とされています。
サービス提供体制強化加算は、訪問入浴介護や訪問看護、通所介護などで算定可能ですが、今回は通所介護のサービス提供体制強化加算を取り上げます。
目次
サービス提供体制強化加算とは
介護福祉士の占める割合が高い事業所や、勤続年数の長い職員が多い事業所に対して報酬を上乗せすることで、質の高いケアを推進させることが、サービス提供体制強化加算の主な目的です。
長く働く環境づくりにより、介護従事者のスキルアップを後押しすることで、利用者もが安心できる体制構築にもつながります。
サービス提供体制強化加算の算定対象となる介護サービスは、以下のとおりです。
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリ(デイケア)
・訪問看護
・訪問入浴介護
・訪問リハビリ など
令和3年の介護報酬改定による変更点
介護サービスの質の向上や、介護職員のキャリアアップを図ることを目的として、2021年の介護報酬改定では、上位区分の新設や報酬単位の見直しが行われました。
・サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の新設
介護福祉士の資格保有者や、勤続10年以上の介護福祉士の割合を評価する「加算Ⅰ」が追加されています。
・介護職員の勤続年数と報酬単位
介護福祉士や勤続年数の長い職員の割合が高い事業所は、改正前よりも高い報酬を得ることが可能になりました。
2021年(令和3年)の介護報酬改定で期待されること
介護に関する資格は多数あるなか、介護福祉士は唯一の国家資格です。
そのような国家資格保有者が介護従事者全体に占める割合の高い事業所は、専門性の高いサービスが提供されているとみなされ、加算(Ⅰ)の取得対象とされています。
また同じ事業所で勤続年数が長いと、職員がキャリアアップを目指しやすくなるほか、利用者としても顔なじみの職員がいることで安心感を覚えやすくなることが期待できます。
利用者の安心・安全なケア体制の構築につながっています。
通所介護の要件 サービス提供体制強化加算
通所介護のサービス提供体制強化加算の前提要件として、次の2つが挙げられます。
①人員配置基準を満たしていること ②定員超過がないこと |
上記を満たしたうえで、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の各区分の要件を満たすことによって算定可能になります。
通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅰ)の算定要件
通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅰ)については、次の要件のうち【いずれか】を満たす必要があります。
①介護職員の総数のうち、介護福祉士が占める割合が70%以上であること ②介護職員の総数のうち、勤続10年以上の介護福祉士が25%以上であること |
「勤続10年以上の介護福祉士」の割合に係る要件について
介護福祉士の資格を有する者であって、「同一法人等での勤続年数が10年以上」の者の割合を要件としており、「介護福祉士の資格を取得してから10年以上経過していること」を求めるものではない点には留意が必要です。
また「同一法人等での勤続年数」は、以下のケースでは通算が可能です。
・同一法人等における異なるサービスの事業所での勤続年数や、異なる雇用形態、職種における勤続年数
・事業所の合併又は別法人による事業の承継の場合であって、当該施設・事業所の職員に変更がないなど、事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の勤続年数
通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅱ)の算定要件
通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅱ)については、以下の要件を満たす必要があります。
介護職員の総数のうち、介護福祉士が占める割合が50%以上であること |
通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅲ)の算定要件
通所介護のサービス提供体制強化加算(Ⅲ)については、次の要件のうち【いずれか】を満たす必要があります。
①介護職員の総数のうち、介護福祉士が占める割合が40%以上であること ②介護職員の総数のうち、勤続年数7年以上の者が占める割合が30%以上であること |
通所介護の単位 サービス提供体制強化加算
通所介護のサービス提供体制強化加算の単位数は、以下のとおりです。
算定要件 | 単位数 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 22単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 18単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅲ) | 6単位/回 |
新設されたサービス提供体制強化加算(Ⅰ)を算定する場合や、算定区分変更のある場合には届出の提出が必要なケースもあります。
必要な対応は、各都道府県や市区町村によって異なりますので、詳細については管轄の都道府県あるいは市区町村で確認しましょう。
通所介護の算定する流れ
職員の割合については、申請年度の前年度(11か月間の平均)の実績に基づき算出します。
毎年3月には、該当年度の職員の割合を確認するようにしましょう。
ここでは、通所介護のサービス提供体制強化加算を算定するにあたって、どのような流れで届出申請し、算定を開始するのか解説します。
通所介護のサービス提供体制強化加算の届出申請
サービス提供体制強化加算を算定するためには、届出申請が必要です。管轄自治体の介護支援課へ、直接あるいは郵送で提出します。
届出の計算シートや提出書類については、管轄自治体によって異なる場合があるので事前に確認が必要です。
なお計算シートは、各自治体によってエクセルファイルなどで配布されていることが多くなっています。
また、通所介護のサービス提供体制強化加算は、毎年3月に職員の割合を計算し、所定の届出を行います。
職員の割合については、申請年度の前年11か月間の平均の実績に基づき算出します。
提出先と提出書類
サービス提供体制強化加算の届出は、各事業所所定の市区町村の介護支援課へ申請します。
通所介護のサービス提供体制強化加算を算定するための必要書類は、以下の4点です。
・介護給付費(介護予防日常生活支援総合事業費)算定に係る体制等に関する届出書
・介護給付費(介護予防日常生活支援総合事業費)算定に係る体制等の状況一覧表
・サービス提供体制強化加算に関する届出書と添付書類
・サービス提供体制強化加算算定に係る職員割合算出シート(計算シート)
前述したとおり、管轄自治体によって多少異なりますので、事前に確認しておきましょう。
安定的な介護報酬を取得するために
通所介護(デイサービス)とは、要介護状態となった場合においても、利用者が可能な限り自身の居宅において日常生活を送れるようにするための介護サービスです。
利用者が慣れ親しんだ土地や家で、できるだけ長く自分らしく生活できるようにサポートすることが、今の介護では求められています。
そのようなことから、通所介護のサービス提供体制強化加算では2021年の介護報酬改定により、介護福祉士や勤続年数の長い職員の割合が高い事業所では、高い報酬を得ることが可能になりました。
安定的な事業所経営のためにも、サービス提供体制強化加算の算定が必要だと考えられます。