認知症専門ケア加算について

2022/12/20

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2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり、全人口のおよそ3人に1人が高齢者となる時代を迎えます。

高齢者の増加に伴い認知症を患う人も増えていくことが見込まれており、介護サービスにおける認知症対応力を向上させていく観点から、「認知症専門ケア加算」が新設されました。

このページでは、認知症専門ケア加算について詳しく解説します。

認知症専門ケア加算とは?

我が国では諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進行しており、「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上となる高齢者も増加していくことが見込まれています。

厚生労働者は、2025年には認知症を患う人が700万人を超えると推計しており、認知症介護に対する深い知識を持つ人材を確保し、心身状況に応じた適切な医療や介護等を提供することが急務とされています。

そのために令和3年度の診療報酬改定で新設された加算が、「認知症専門ケア加算」です。

認知症専門ケア加算は、認知症による行動・心理症状や意思疎通の困難さが見られ、身体疾患の治療への影響が見込まれる患者を受け入れ、専門的な研修を修了した職員を配置し、認知症ケアに関する会議や研修などに取り組んでいる事業所を評価する加算です。

認知症専門ケア加算の算定要件には、「認知症専門ケア加算(I)」と「認知症専門ケア加算(II)」の2種類があります。

種類・算定要件

改定後の認知症ケア専門加算の種類・算定要件は下記の通りです。

<加算単位数>
認知症専門ケア加算(Ⅰ):3単位(日)
認知症専門ケア加算(Ⅱ):4単位(日)

※訪問介護・看護や夜間訪問介護に関しては、加算単位数が異なります。
認知症専門ケア加算(Ⅰ):90単位(月)
認知症専門ケア加算(Ⅱ):120単位(月)

<認知症専門ケア加算(I)の算定要件>
・認知症高齢者の日常生活自立度III以上の者が利用者の100分の50以上

・認知症高齢者の日常生活自立度III以上の者が20名未満の場合、認知症介護実践リーダー研修修了者を1名以上配置
・20名以上の場合は、当該対象者が19名を超えて10名または端数が増えるごとに1名以上配置
・当該事業所の従業員に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導にかかる会議を定期的に開催する

<認知症専門ケア加算(Ⅱ)の算定要件>
・認知症専門ケア加算(I)の要件を満たしたうえで、認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体へ認知症ケアの指導等を実施・介護、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成して実施、または実施を予定

認知症専門ケア加算を算定できる事業者

・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・認知症対応型共同生活介護(介護予防を含む)
・特定施設入居者生活介護(介護予防を含む)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・介護老人保健施設
・短期入所生活介護(介護予防を含む)
・短期入所療養介護(介護予防を含む)
・介護療養型医療施設
・介護医療院
・通所介護(地域密着型も含む)
・訪問介護
・訪問入浴介護(介護予防を含む)
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回
・随時対応型訪問介護看護

認知症ケアに関する研修とは?

認知症専門ケア加算を算定する要件として、認知症介護について一定の経験を有し、国や自治体が実施または指定する認知症ケアに関する専門研修を修了した者が介護サービスを提供することが明記されています。

専門的な研修を修了した者の配置については、事業所の職員であれば常勤等の条件はないとされています。

認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践リーダー研修は、実践者研修で得られた知識・技術をさらに深め、施設・事業所において、ケアチームを効果的・効率的に機能させる能力を有した指導者を育成することを目的としています。

この研修を修了した者を1名以上配置することが、認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件の1つとなっています。

認知症介護実践リーダー研修の受講対象者は、「介護保険施設・事業所等において介護業務に概ね5年以上従事した経験を有しており、かつ、リーダーになることが予定されていて、認知症介護実践者研修を修了し1年以上経過している者」という条件があります。

この研修は、各都道府県の指定する事業所において実施されています。受講申し込みの時期や研修スケジュールは地域によって違いがあります。

認知症介護指導者養成研修

認知症介護指導者養成研修は、認知症介護研修及び地域における認知症ケアに関する研修を企画・立案し、介護保険施設や事業所で提供している認知症ケアの質の向上のための助言や指導等を行うことができる人材を目的としています。

加算(Ⅰ)の要件を満たし、かつこの研修を修了した者を1名以上配置することが加算(Ⅱ)算定要件の1つです。

認知症介護指導者養成研修は、認知症介護研究・研修センターが都道府県、指定都市または介護保険事業所の委託を受けて実施しています。研修は原則年3回開催されています。

具体的な受講資格は各都道府県によって異なりますが、基本的には以下の要件を満たしていることが必要になります。

①以下のいずれかの資格を有するもの
(ア)医師、保健師、助産師、看護師、准看護師
(イ)理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
(ウ)社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士
(エ)上記(ア)~(ウ)に準ずる者

②以下のいずれかに該当する者であって、相当の介護実務経験を有する者
(ア)介護保険施設・事業所等に従事している者(過去において介護保険施設・事業所等に従事していた者も含む。)
(イ)福祉系大学や養成学校等で指導的立場にある者
(ウ)民間企業で認知症介護の教育に携わる者

③認知症介護実践リーダー研修を修了した者
④認知症介護基礎研修又は認知症介護実践者研修の企画・立案に参画し、又は講師として従事することが予定されている者
⑤地域ケアを推進する役割を担うことが見込まれている者

平成20年度までに行われたカリキュラムの中には、認知症介護実践リーダー研修の内容が全て含まれていました。

そのため、認知症介護指導者養成研修を修了している場合には、認知症介護実践リーダー研修が未受講であっても当該研修を修了した者とみなされます。

認知症看護に係る適切な研修

認知症専門ケア加算の算定要件には、「認知症介護に係る専門的な研修」や「認知症介護の指導に係る専門的な研修」を修了した者の配置が示されていますが、これには認知症ケアに関する研修を修了した看護師も含まれます。

認知症看護に係る適切な研修とは、現時点では、以下のいずれかの研修となります。

①日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
②日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程
③日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」
・ただし、③については認定証が発行されている者に限る。

まとめ

認知症ケアは、認知症の人の尊厳を守りつつ、相手の立場や視点に立つことが重要です。

今後も日本は認知症を患う人が増えていくことが予測されており、これから介護業界では認知症を患う人と関わるスタッフ1人ひとりが認知症に関する高い知識と技能を持つことが求められています。

認知症専門ケア加算の算定要件の中には、施設・事業所にとってハードルが高いものもありますが、施設・事業所を選ぶ利用者や家族にとっては専門的なケアを受けられるという安心材料にもなります。

2025年に訪れる「超高齢化社会」を見据え、認知症専門ケア加算の算定を目指した計画的な人材育成が重要です。