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いつまでも健康に過ごすために行いたい 自立支援について
2022/12/20

高齢になったご両親様には、いつまでも自分の足で歩き、食事制限などすることなく生活を楽しんでいただきたいものですね。
高齢化が進む日本では、高齢者様が自立した生活をいかに続けられるかが大きな課題となっています。
今回は、多少なりとも介護が必要になった高齢者様の自立をどのように支援していけばよいのかについて、ご紹介します。
目次
高齢者の「自立」とは?
例えば、小さかった子どもが義務教育を終え、高校や大学へ進学、やがて仕事をするようになり、家庭を持つと、親の手を離れて自立したと言えますね。
では、「高齢者の自立」とは、いったいどのようなことなのでしょうか?
高齢になると筋力の低下や認知症、持病の影響などから、歩行や食事といった、日常の生活が困難になってくることがあります。
そのため、介護認定を受けて家族やヘルパーさんのサポートのもとで生活を送ったり、特別な嚥下食を用意したりする必要が出てきます。
高齢者の自立とは、リハビリを行うことでこれらの介護やサポートなしでの生活を受けることなく、再び、自らの力で生活を送ることができるようになることを指しています。
高齢者の自立を支援するために
では、高齢者が自立するためにはどのような支援が必要になるのでしょうか?的確な支援を行うためには、現状の把握が必要です。
今困っていることは何なのかを、ご本人の意思を尊重しつつ見極めていきましょう。
自立のために必要な支援として、次にあげる4つが大きな柱とされています。
歩行のための支援
私たちが日常欠かすことができない、最も大きな動作は、「歩くこと」ですね。
たとえ外出しない日であっても、居室からお手洗いや風呂に行ったり、新聞を取りに玄関まで行ったり、掃除や洗濯をするためにも、歩く必要があります。
歩行や運動は日々の生活をこなすだけでなく、筋肉を適度に動かして血行を促進したり、骨に刺激を与えて骨粗しょう症を予防したりするなど、健康を維持する上でも大切なことです。
普段座って過ごすことが多い方、例えばテレビを見ている時には、コマーシャルの時には立ったり座ったりを繰り返す、または、座ったままかかとを上げたりおろしたり、といった、すきま時間にほんの少しの軽い運動を意識してみてはいかがでしょうか。
テレビコマーシャルの時間といえば、ほんの数分です。リハビリが億劫だと感じる方でも少しの時間にできることであれば、苦にはならないかもしれませんね。
この、すきま時間の運動であっても、一日に何度か行うことで、今ある筋肉、筋力をある程度は維持することができます。
少しずつ運動の量が増えていけば、日常の生活の中で、自分でできること、外出できる範囲が増えていくとともに、動くことで血流が促進され、脳も活性化します。
体が動き、脳が活性化してくると、食欲も出てくるでしょう。
また、お手洗いや入浴など、ご本人の尊厳にかかわる介護サービスを受ける頻度が減ることも期待できます。
「もう年だから」とあきらめていたことにもチャレンジすることができるようになるなど、様々なことに意欲的に取り組む気持ちも生まれてくることでしょう。
食事をとるための支援
食事をとるための支援には、①栄養バランスを整えること、②食べるための咀嚼や嚥下をスムーズにすることの2つがあります。
栄養バランスを整える
私たちが生きていくうえで大切なものの一つが食事です。ここでいう食事とは、ただ空腹を満たすだけのことではなく、きちんと栄養バランスが取れた料理を、自らの手で美味しくいただく、ということです。
食事は3食食べている、という方であっても、うどんやご飯、パンなど、主食が多くなり、肉類はあまり食べていない、という場合や、野菜は調理が大変だから、と不足している場合、また、食が進まないからと1日に1食や2食になり、カロリーそのものが不足している場合があります。
日本人の食事摂取基準では、以下のようにカロリーを摂取しておくことが推奨されています。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) |
65~74歳 | 2,050 | 2,400 | 2,750 | 1,550 | 1,850 | 2,100 |
75歳以上 | 1,800 | 2,100 | ― | 1,400 | 1,650 | ― |
咀嚼・嚥下への支援
高齢になると筋肉の衰えや虫歯、歯槽膿漏などによる口腔内の不調から、固いものが食べにくくなったり、嚥下に不安が出てきたりする方が増えてしまいます。
もちろん、食べることに不自由が出てしまった場合には柔らかい食事や専用の嚥下食に移行する必要がありますが、できることなら普段からの歯磨きや定期的な歯科の訪問などで、虫歯や歯槽膿漏の治療、予防に努めておきましょう。
噛むことに不自由がない方は、普段のおやつには干し芋やスルメ、昆布など、噛まないと食べられないものを用意し、噛むことを意識しておくのもおススメです。
しっかりと噛むことで脳が活性化されるほか、唾液の分泌も盛んになります。
唾液にはアミラーゼやマルターゼという消化酵素が含まれているほか、殺菌作用、虫歯予防、また、ガンや老化の防止といった作用が期待されています。
唾液の分泌は年齢と共に減少するため、しっかりと噛んで食べることを意識しておくと良いですね。
噛む以外には、舌のトレーニングも大切です。
舌先で歯の内側、外側を右から左、左から右へと動かしたり頬を舌でツンツンと突いてみたりすることで、さらに唾液の分泌が盛んになるほか、嚥下のためのトレーニングにもつながります。
舌のトレーニングは高齢者の自立のためだけではなく、顔のたるみやかみ合わせのずれを予防するためにも役立ちます。
水分摂取の支援
高齢になると、喉の渇きを感じにくくなってしまいます。そのため、ついつい水分の摂取が少なくなってしまいます。
私たち人間の体内水分量を平均すると、新生児で約80%、成人で約60%なのに対し、高齢者になると約55%にまで減ってしまいます。
そのため、意識して水分を取っておかないと、ちょっとしたことで熱中症や脱水症状を引き起こしてしまいます。
また、腸の蠕動運動が衰えていくことと事と合わさり、乾燥性の便秘を起こす原因にもなります。
さらに、皮膚の乾燥からくる肌荒れや痒みの原因になってしまうなど、さまざまな支障が出てしまいます。
時間を決めてお茶を飲む、利尿作用があるカフェインを含む緑茶や紅茶、コーヒー、またアルコール類は控えめに、カフェインを含まない番茶を飲んだり、食事の際にはスープやみそ汁を用意したりするなどして、積極的に水分を取るように勧めましょう。
嚥下に不安がある場合には、とろみのあるポタージュや、片栗粉、市販のとろみ食品を利用して粘度を調整しましょう。
お手洗いの支援
先ほどもご紹介したとおり、高齢になると腸の蠕動運動が鈍くなったり、水分摂取量が減少したりして便秘を起こしやすくなります。
また、便意や尿意そのものを感じにくくなったり、逆に頻尿になったりすることもあります。
そのため、急に尿意を催してお手洗いに間に合わないことなどから、おむつや尿取りパッドを使用する方もありますね。
先ずは、時間を決めてお手洗いに誘ってみましょう。失禁については、女性の場合には骨盤底筋のトレーニングが有効な場合があります。
男性は加齢だけでなく、前立腺の疾患が原因となっている場合もありますので、先ずは医師の診察を仰ぎましょう。
また、週に2~3回は自然に排便できるのが理想です。
おなかに力を入れやすく、いきみやすい体勢を確認することのほか、適度な水分摂取や食事の量をかかりつけの医師やケアマネージャーと相談して、見つけていきましょう。
高齢で腸の動きが鈍っているにも関わらず、便秘がちだからと食物繊維を多く取り過ぎると、腸の中で滞っている食べ物の水分がどんどん失われ、固くなってさらに便秘を助長してしまいます。
出来ればジャガイモやサツマイモ、かぼちゃといったホクホクとした野菜を使ったポタージュスープを一品、メニューに加えてみてくださいね。
まとめ
今回は高齢者の自立について、大きな4つの柱をご紹介しました。
年齢をかさね、介護が必要になったご両親に、少しでも元気を取り戻し、自分でできることを増やしていただきたいと願う気持ちは、誰しもがもっていることでしょう。
ご本人の要望を受け入れ、楽しんで続けることができるリハビリで自立の支援ができるとよいですね。