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介護職のストレスの要因と対処法
2022/12/19

介護職は「体力的にきつい仕事」「精神的につらい仕事」「お給料が少ない」など、マイナスのイメージが強くあります。
仕事の主な対象となる高齢者やその家族にはいろいろな人がいますし、介護現場には多くの職種がかかわっています。
さらに不規則な勤務体制の職場も多いため、ストレスの要因が多い仕事であることは事実です。介護職のストレスの要因と、その対処法について考えてみます。
目次
介護職がストレスを感じる理由
介護職のストレスの要因にはいろいろなものが考えられます。肉体的にきついと感じる人もいれば、人間関係など精神的に負担を感じる人もいます。
介護職に就く人は思いやりがあって気配りができ、責任感の強い人が多いだけに、自分の感情よりも相手の気持ちを優先したり、1人あたりの仕事量が過剰になりやすいこともストレスの要因となります。
また夜勤があるなど不規則な勤務体系の場合、自律神経のバランスが乱れやすいことも、体調不良を招く要因となることがあります。
職員同士の人間関係
人間関係のストレスはどのような仕事においても生じる可能性がありますが、現在の介護現場では介護職以外にも多くの専門職がかかわっており、人間関係のトラブルを招く要因となることがあります。
目標が同じであっても職種や立場によって視点が異なるため、価値観の違いが生じやすく、妥協点を見出すことが難しいことがあります。
また同じ介護職であっても中途採用者であったり、年齢や職歴もさまざまな人が働いていると、前の職場や前の職業と比較してしまうことで、意見の相違などが生じることもあります。
体力的な負担
高齢者の入浴や排泄、移乗介助など、介護は人の体を支えることが必要な動作があるため、介護者の体に負担が多い仕事ではあります。
慢性的に足腰に痛みを抱える介護職員は多く、痛みが心身のストレスとなるケースは多いといえます。
さらに職場の種類によっては、夜勤があるなど不規則な勤務体制であることも、自律神経のバランスが崩れて体調不良を引き起こす可能性があります。
考え方の不一致
職場の責任者の運営方針や上司の考え方などが自分の考えと異なる場合、自分が理想とする介護ができないことでストレスを感じることがあります。
また同じ立場の介護職同士であっても、それぞれ介護に対する考え方や理想は異なるため、意見が食い違うこともあります。
利用者様との関係
高齢者の方は人生の大先輩であり、戦中~戦後の日本を生き抜いてきた尊敬に値する方々です。
それだけに中には厳しい方もいて、最善を考えて行った仕事にもかかわらず怒られてしまったり、ときにはひどい言葉を投げられることもあります。
また認知症のある方は特にコミュニケーションをとることが難しく、嫌な内容の話や同じ話を根気強く聞いたり、理不尽な事柄も多く発生します。
介護職は自分の感情を抑えたりコントロールして仕事にあたらなければならないため、ストレスを感じることがあります。
給料と仕事量が見合わない
令和2年の厚生労働省の調査でも、介護職員の平均年収は日本人の平均年収を下回っており、決して高賃金の仕事とはいえません。
高齢者の命を見守り、高齢者の生活のすべてにかかわる仕事であるにもかかわらず、給料や待遇が見合っていないといわざるを得ません。
老人福祉施設協議会や介護業界のリーダーたちは介護職の待遇改善に尽力しており、一部の政治家は福祉にかかわる職員の待遇改善に向けて働いてはいますが、介護職の給料は仕事量と見合っていない職場が多いのが現状です。
将来への不安
結婚や出産などライフステージの変化は、自分の仕事や収入について考えるきっかけとなることがあります。
特に家族が増えるときには、今後給料が増えていくのか、現在の収入で生活が継続していけるのか、など経済面に不安を感じることがあります。
また今後自分が年をとっていったときに、体力的に続けられる仕事なのかどうかも将来への不安につながることがあります。
ストレスの対処法
ストレスの感じ方には個人差があり、イライラしたり気分が落ち込むなど精神面に不調を感じる人もいれば、倦怠感や睡眠の不調など体調面に表れる人もいます。
まずは客観的にストレスの原因が何なのかを探ってみましょう。
現在は労働者が50人以上いる事業所では年に1回のストレスチェックが義務化されています。
職場でストレスチェックを受けられない場合は、アプリなどで簡易チェックをしてみることもできます。
ストレスの原因を根本的に解決できれば一番よいのですが、解決が難しいことの方が多いかもしれません。
自分のストレスに早期に気づき、ストレスをうまくかわして、溜め込まない方法を考えてみましょう。
やりがいをみつける
介護職は高齢者の生活全般を支援する仕事であり、人から感謝される場面も多いはずです。
嫌な場面が記憶に残りがちですが、仕事中の良かったことに注目してみると、利用者様やそのご家族から感謝の言葉をいただいたり、職員同士で協力し合って仕事をしていく中で達成感が得られる場面もあります。
嫌なことに注目するのをいったん止めて毎日の業務に没頭してみると、やりがいを再発見できることがあります。
人に話す
ひとりで抱え込んでいるとストレスは増幅していきます。家族や友人など、職場とは関係のない人に愚痴を言うだけでも気持ちが軽くなることもあります。
言葉にして話すことで、改めて自分の気持ちが整理できたり、ひとりでは気づかなかった解決策がみつかることもあります。
仕事に関するストレスの原因や悩みが具体的にわかっている場合は、信頼できる上司や同僚に相談してみるのもよいでしょう。
休む
不規則な勤務体制で働くことが多い介護職は、生活のリズムが乱れやすく、休日も心身がしっかりと休まらないこともあります。
疲れたと感じたら、有給休暇を利用して体を休めたり、気分をリフレッシュする時間をとりましょう。
有給休暇は労働者が取得できる当然の権利なので有効に利用すべきです。あらかじめ仕事内容や勤務の調整をしたり、同僚と協力し合って、休む時間をつくるようにしましょう。
環境を変える
仕事内容や人間関係がストレスとなっている場合は、環境を変えることで解決できることがあります。
職場によっては配置換えや異動が可能な場合もあるので、上司に相談してみましょう。さらに大きく環境を変えるには転職もひとつの方法です。
転職して職場の環境が変わることで、やりがいを持って介護職を続けることができるかもしれません。
介護職のメリット
デメリットがクローズアップされがちな介護職ですが、もちろんメリットもあります。厚生労働省の試算では、2025年には約32万人の介護職員が不足すると見込まれています。
その後も高齢者人口は増加していくため、さらに介護職員の不足は深刻化します。
当面、介護職員の需要がなくなることはなく、社会福祉法人や医療法人は社会的信用も高いので就職先として安定しているといえます。
また介護職には正規雇用の他にパートや派遣などいろいろな雇用形態があり、常勤で夜勤がある職場もあれば、パートで在宅を訪問するなど短時間だけ働くことも可能です。
デイサービスのように日中の定時勤務や社会福祉協議会のように公務員に準ずるような働き方ができる職場もあります。
自分のやる気次第で資格取得によってスキルアップでき、年齢や性別、経歴に関係なく続けることができる仕事でもあります。
介護職のストレスの原因と対処法
介護職は心身ともにストレスの要因が多い仕事であることは事実です。心身に不調を感じたら早期に対処しましょう。
客観的にストレスの原因をみつけ、ひとりで抱え込まず誰かに話してみることは有効ですが、ストレスに対処しきれなくなったり、ストレスの要因を根本的に解決することが難しい場合は、思い切って転職を検討するのもひとつの方法です。
ストレスには早期に適切に対処し、介護職をやりがいのある仕事として続けていきましょう。