介護におけるアセスメントとは?書き方と情報収集の必要性について

2022/11/28

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介護現場において適切なサービスを提供するためには、「アセスメント」という過程が必要です。

具体的には、介護サービスを受けるためのケアプランを作成するために実施されるものです。

介護サービスの利用者一人ひとりに沿ったサービスを提供することを目的として行われます。

今回はそんなアセスメントについて、その概要をはじめとして、アセスメントにおける情報収集の必要性や、アセスメントシートの書き方を解説します。

今回は、介護サービス提供におけるアセスメントの役割や重要性、アセスメントの実施方法とポイントを解説します。

「アセスメント」とは

「アセスメント」は、英語の「assessment」が語源で「評価・査定する」という意味を持ちます。ビジネスシーンで用いられることも多く、介護福祉業界以外でも広く活用されています。

では、介護分野におけるアセスメントとはどのようなものでしょうか。

介護におけるアセスメントとは?

介護サービスを提供するうえで、利用者にとって「どのような介護サービスが必要なのか」「ご本人やご家族は何を希望しているのか」などを把握・分析することを目的として行われます。

アセスメントによって、本当に必要としている介護サービスは何かを正しく評価・査定することが可能です。

そのためには、要介護者本人や家族の状況、交友関係、住居状況、周辺環境、生活サイクルなどについて、多角的に情報収集することが求められます。

アセスメントを実施するタイミングは?

アセスメントはケアプランの元となるため、ケアプラン作成時に実施されます。

ただし、ケアプラン作成のためのアセスメントを実施したらそれで終わりというわけではありません。

介護サービスの利用中、利用者を取り巻く環境や必要とされるサービス内容は変動していきます。その変動に伴い、適宜ケアプランの見直しが求められます。

そのため介護サービスの継続期間中は、アセスメントも随時実施する必要があるものだと考えられます。

アセスメントでは情報収集が大事!

アセスメントでは情報収集が大事!

アセスメントは、利用者一人ひとりに合ったケアプランを作成するために欠かせません。

たとえ同じ介護度であっても、ADL(日常生活動作)や生活環境、本人や家族の要望などは人それぞれ異なります。

介護度に応じて画一的なサービスを提供していると、利用者の満足度にはつながりません。

そこで、一人ひとりに適切なサービスを提供するためのアセスメントが求められます。またそのためには、情報収集が不可欠といえます。

情報収集の対象者

アセスメントのために情報収集を行う際、ヒアリング対象となるのは、介護サービスの利用者本人だけではありません。

そのご家族も対象者となるのが一般的です。また場合によっては、親戚や友人知人など、介護に関わりを持つ人であれば、アセスメントにおける情報収集の対象となり得ます。

その他、通院している医療施設の医師や看護師、地域の民生委員などが挙げられます。すでに介護サービスを利用している場合には、その介護サービス担当者も情報収集の対象者に該当します。

情報収集する内容

介護のアセスメントでは、生活状況や食事、排泄、買い物・掃除など、生活に必要な動作が可能かどうかを確認します。

また現状を把握するだけでなく、利用者自身が「どのような生活を送りたいのか」「どのような部分に問題を抱えているのか」を明らかにしていくことが重要です。

情報収集する際、利用者だけではなく家族からもヒアリングして多角的に情報を集めることで、よりきめ細かなサービスの提供が実現します。

「体」だけでなく「心」にも目を向けた情報収集を

介護現場におけるアセスメントでは、「どのような動作ができるのか」といった身体的機能に注目してしまいがちです。

しかし、利用者の真のニーズに応えるためには、精神的な側面にも配慮する必要があります。

心に目を向けるには、ただ質問するだけでなく、言葉や行動を観察してそこから心の内を探ることが大切です。

精神面での課題に加えて、自身の生活がどうありたいのかといった要望にも耳を傾けるようにしましょう。

アセスメントを実施する際のポイント

アセスメントのために情報収集をするときには、まず利用者が「困っていること」に焦点を当てるのが大事なポイントです。

介護サービスを受けている人のほとんどが、生活上の困難を抱えています。いちばんの困り事として生活課題が明確になれば、ケアプランの目標も定めやすくなります。

またADLやIADLを考えるときには、単純に「できる」「できない」だけで捉えないことも重要です。

ある動作ができるか否かということには、グレーゾーンも存在することを意識しておきましょう。

一人ひとりに適した支援を、と考えたときに、画一的に判断していたのでは、柔軟な対応が難しくなります。

アセスメントシートの書き方

アセスメントシートとは、ケアプランの作成時に使用するツールです。

アセスメントシートを活用すると、利用者が必要としている介護サービスは何か、その背景にはどのような問題があるのかといった情報を、簡潔にまとめることが可能です。

アセスメントシートの目的

アセスメントシート作成の目的は、要介護者本人や介護に関わる人々から情報収集した内容をまとめることです。

アセスメントシートを見るだけで、利用者の心身の状態や家族が置かれている状況、日常生活の現状などが把握できます。

ケアプランの作成はもちろん、利用者の情報を介護に携わるすべての人々の間で共有するという役割も担っています。

作成する際のポイント

アセスメントシートを作成する際は、利用者本人からヒアリングした内容を中心に記入していくのがポイントです。

前述したように多角的に情報収集することは大切ですが、あくまでも本人の要望を第一に考慮することが求められます。

また、アセスメントシートには誰が見ても分かるように記入することも重要です。多職種との連携をスムーズに行うためにも、必要な情報が一目で理解できるように作成するのがポイントです。

アセスメントシートの項目

アセスメントシートの書式はさまざまですが、以下のような項目について記入するのが一般的です。

・家族状況とインフォーマルな支援の状況
・サービス利用状況
・住居等の状況
・本人の健康状態・受診等の状況
・本人の基本動作等の状況と援助内容の詳細
・全体のまとめ
・1日のスケジュール

誰もがわかりやすいように記入するためには、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識することや、「どこまで一人でできるのか」「どこから一人でできないのか」を書き分けることが大切です。

また略語は使用せず、正式名称を使用するようにしましょう。

より良質な介護サービスを提供するために

アセスメントはケアプランを作成する際に欠かせないものであり、介護サービスの質を左右する重要な過程といえます。

適切に情報収集を行い、利用者やその家族の現状、ニーズを正しく理解することが重要です。

利用者一人ひとりに応じた介護サービスを提供することは、要介護者にとっての生きがいやQOL向上にもつながります。

より良質なケアを行うためにも、アセスメントの基本や目的を十分理解したうえで実施していきましょう。