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特定施設入居者生活介護における令和6年度介護診療報酬改定の主な改定事項とは?
2024/02/22
令和6年度の介護診療報酬改定は、診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の改定と重なるトリプル改定の年であり、重要な節目となります。
この記事では、令和6年度の介護報酬改定の特定施設入居者生活介護の主な変更点について解説します!
目次
令和6年度の介護報酬改定のポイントは?
令和6年度は「医療・介護・障害福祉」の診療報酬が同時に改訂する「トリプル改定」の年です。
これら3つが同時に改訂されるのは6年に1度しかなく、注目度の高い改定となります。
令和6年度の介護報酬改定の改定率は、「+ 1.59%」であり、そのうち介護職員の処遇改善分が「+ 0.98%」となります。
その上で、賃上げ税制を活用しつつ、介護職員以外の処遇改善を実現できる水準として、+0.61%が措置されました。
このほか、改定率の外枠として、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や、光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果が見込まれ、これらを加えると、+0.45%相当の改定となります。
改定の基本的な柱には地域包括ケアシステムの深化・推進、自立支援・重度化防止に向けた対応、良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり、制度の安定性・持続可能性の確保などが挙げられています。
特定施設入居者生活介護の主な改定点とは?
特定施設入居者生活介護は、基準上は医師の配置が求められておらず、また、要介護3~5の入居者が全体の約45%を占めています。
そのため、夜間の看護体制や医療的ケアの対応が課題となっていました。
令和6年度の介護報酬改定における特定施設入居者生活介護の主な改定点
夜間看護体制加算
特定施設入居者生活介護における夜間の看護職員の体制強化し、医療的ケアを要する者の積極的な受入れを促進する観点から、特定施設入居者生活介護等における夜間看護体制加算を見直し、「夜勤又は宿直の看護職員の配置」を行う場合について評価する新たな区分が設けられます。
その際、現行の加算区分については、新たな加算区分の取組を促進する観点から「夜勤・宿直の看護職員を配置している」場合と「オンコールで対応している」場合の評価に差を設けることが提案されています。
【算定要件等】
<夜間看護体制加算(Ⅰ)>(新設)
(1) 常勤の看護師を1名以上配置し、看護に係る責任者を定めていること。
(2) 夜勤又は宿直を行う看護職員の数が1名以上であって、かつ、必要に応じて健康上の管理等を行う体制を確保していること。
(3) 重度化した場合における対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。
<夜間看護体制加算(Ⅱ)> ※現行の夜間看護体制加算の算定要件と同様
(1) 夜間看護体制加算(Ⅰ)の(1)及び(3)に該当すること。
(2) 看護職員により、又は病院若しくは診療所若しくは指定訪問看護ステーションとの連携により、利用者に対して、24時間連絡できる体制を確保し、かつ、必要に応じて健康上の管理等を行う体制を確保していること。
【単位数】
<現行> | <改定後> | |
夜間看護体制加算 10単位/日 | 夜間看護体制加算(Ⅰ) 18単位/日(新設)
夜間看護体制加算(Ⅱ) 9単位/日(変更) |
入居継続支援加算の見直し
特定施設入居者生活介護において、中重度の要介護者が約半数を占め、医療的ケアの対応を要する者が11%を占めることから、たんの吸引または経管栄養等の医療的ケアが必要な入居者の割合が一定以上である場合等を評価する入居継続支援加算が設けられています。
次回改定では、「膀胱留置カテーテル」、「在宅酸素療法」「インスリン投与」についても新たに追加し、看護職員がこれらのケアを行うことを評価することが提案されています。
【算定要件等】
<入居継続支援加算(Ⅰ)>
(1)又は(2)のいずれかに適合し、かつ、(3)及び(4)のいずれにも適合すること。
(1) 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為(※1)を必要とする者の占める割合が入居者の100分の15以上であること。
(2) 社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号に掲げる行為(※1)を必要とする者及び次のいずれかに該当する状態(※2)の者の占める割合が入居者の100分の15以上であり、かつ、常勤の看護師を1名以上配置し、看護に係る責任者を定めていること。
※1 ①口腔内の喀痰吸引、②鼻腔内の喀痰吸引、③気管カニューレ内部の喀痰吸引、④胃ろう又は腸ろうによる経管栄養、⑤経鼻経管栄養
※2 ①尿道カテーテル留置を実施している状態、②在宅酸素療法を実施している状態、③インスリン注射を実施している状態
(3) 介護福祉士の数が、常勤換算方法で、入居者の数が6又はその端数を増すごとに1以上(※3)であること。
※3 テクノロジーを活用した複数の機器(見守り機器、インカム、記録ソフト等のICT、移乗支援機器等)を活用し、利用者に対するケアのアセスメント・評価や人員体制の見直しを行い、かつ安全体制及びケアの質の確保並びに職員の負担軽減に関する事項を実施し、
機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し必要な検討等を行う場合は、当該加算の介護福祉士の配置要件を「7又はその端数を増すごとに1以上」とする。
(4) 人員基準欠如に該当していないこと。
<入居継続支援加算(Ⅱ) >
入居継続支援加算(Ⅰ)の(1)又は(2)のいずれかに適合し(※4)、かつ、(3)及び(4)のいずれにも適合すること。
※4 ただし、(1)又は(2)に掲げる割合は、それぞれ100分の5以上100分の15未満であること。
令和6年度介護診療報酬改定で特定施設入居者生活介護の基本報酬はどうなる?
○特定施設入居者生活介護(単位/日)
<現行> | <改定後> | |
要支援1 | 182単位 | 183単位 |
要支援2 | 311単位 | 313単位 |
要介護1 | 538単位 | 542単位 |
要介護2 | 604単位 | 609単位 |
要介護3 | 674単位 | 679単位 |
要介護4 | 738単位 | 744単位 |
要介護5 | 807単位 | 813単位 |
○地域密着型特定施設入居者生活介護(単位/日)
<現行> | <改定後> | |
要介護1 | 542単位 | 546単位 |
要介護2 | 609単位 | 614単位 |
要介護3 | 679単位 | 685単位 |
要介護4 | 744単位 | 750単位 |
要介護5 | 813単位 | 820単位 |
特定施設入居者生活介護に関わるその他の改定事項について
【全サービス共通の改定事項】
①人員配置基準における両立支援への配慮
②管理者の責務及び兼務範囲の明確化等
③いわゆるローカルルールについて
④「書面掲示」規制の見直し
【特定施設入居者生活介護改定事項一覧】
○ 特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護 基本報酬
①特定施設入居者生活介護等における夜間看護体制の強化
②特定施設入居者生活介護等における医療的ケアの推進に向けた入居継続支援加算の見直し
③協力医療機関との連携体制の構築
④協力医療機関との定期的な会議の実施
⑤入院時等の医療機関への情報提供
⑥高齢者施設等における感染症対応力の向上
⑦施設内療養を行う高齢者施設等への対応
⑧新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携
⑨業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入
⑩高齢者虐待防止の推進
⑪特定施設入居者生活介護における口腔衛生管理の強化
⑫科学的介護推進体制加算の見直し
⑬アウトカム評価の充実のためのADL維持等加算の見直し
⑭介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化
⑮テレワークの取扱い
⑯利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置の義務付け
⑰介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進
⑱生産性向上に先進的に取り組む特定施設における人員配置基準の特例的な柔軟化
⑲外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し
まとめ
令和6年度の特定施設入居者生活介護の診療報酬改定事項をまとめました。
特定施設入居者生活介護に関わる改定事項には、夜間の看護体制加算や入居継続支援加算の見直しを始め、口腔衛生管理体制加算の廃止と基本報酬化、介護ロボットやICT等のテクノロジー活用を評価する加算の新設等が設けられました。
また、これまでとは異なり、一部の医療系サービス(訪問看護 • 訪問リハビリテーション • 居宅療養管理指導 • 通所リハビリテーション)の施行日は令和6年6月1日からとなるため、注意が必要です。
(参考)
厚生労働省, 特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護(改定の方向性)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001168446.pdf
(引用)
厚生労働省, 令和6年度介護報酬改定における改定事項について
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001195264.pdf