訪問看護が算定できる、介護保険の単位数について

2024/02/22

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介護保険では介護保険サービスごとに介護報酬の単位数が定められています。

訪問看護においても、介護保険が適用されるサービスについては、基本報酬に加算減算の項目を加減して単位数を計算し、単価をかけることで金額を算出することができます。

今回は訪問看護が算定できる単位についてまとめます。

訪問看護とは

訪問看護とは、疾病又は負傷等によって居宅で継続して療養が必要な状態の人に対して、看護師等が居宅での療養上の世話や必要な診療の補助を行うことです。

訪問看護のサービスが提供できるのは訪問看護ステーション又は病院・診療所で、利用者の年齢や疾患、要介護認定の有無などによって医療保険又は介護保険のいずれかが適用されます。

介護保険の単位とは

訪問看護の主な収入源は介護保険の介護報酬か医療保険の診療報酬であり、どちらが適用されるかは利用者の状態等で変わります。

診療報酬は医療行為ごとに「点数」が定められており、1点は全国一律で10円に換算されます。

一方、介護報酬は介護サービスの種類ごとに「単位」が設定されており、1単位は10円を基本に、物価や人件費を考慮して地域ごとに定められています。

介護保険の単位とは

事業所の形態による基本報酬の違い

訪問看護は独立した事業所として指定を受けている訪問看護ステーションと、病院や診療所など医療機関が行う訪問看護があります。

訪問看護の基本報酬は事業所の形態によって「訪問看護ステーション」「病院・診療所」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスと連携」に分けて単位数が決められています。

訪問看護の基本報酬は1回あたりの時間によって単位数が変わります。

訪問看護ステーションの場合

1回あたりの訪問時間
20分未満:313単位
30分未満:470単位
30分以上1時間未満:821単位
1時間以上1時間30分未満:1,125単位

理学療法士による訪問:293単位

病院・診療所の場合

1回あたりの訪問時間
20分未満:265単位
30分未満:398単位
30分以上1時間未満:573単位
1時間以上1時間30分未満:842単位

定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスと連携する場合

1月につき:2,954単位

地域区分による単位の単価

介護報酬の1単位当たりの単価は、1単位10円を基本として、それぞれの地域の物価や人件費を考慮して地域区分によって異なります。

地域区分は1級地から7級地とその他に分けられています。

同じ都道府県内の事業所でも市区町村によって異なるため、実際の介護報酬単価は、事業所の所在地の地域区分を確認することが必要です。

・1級地(東京都特別区):11.4円
・2級地(東京都多摩市、神奈川県横浜市、大阪府大阪市など):11.12円
・3級地(神奈川県鎌倉市、埼玉県さいたま市、愛知県名古屋市など):11.05円
・4級地(東京都立川市、神奈川県厚木市、兵庫県神戸市など):10.84円
・5級地(神奈川県横須賀市、茨城県水戸市、京都府京都市など):10.70円
・6級地(埼玉県川越市、宮城県仙台市、栃木県宇都宮市など):10.42円
・7級地(埼玉県熊谷市、北海道札幌市、群馬県前橋市など):10.21円
・その他(1~7級地以外):10.00円

地域区分による単位の単価

訪問看護の加算と単位数

介護保険の訪問看護サービスでは、加算の種類ごとに定められた算定要件を満たすことで、所定の単位を算定できます。

算定要件や算定単位は3年ごとの介護報酬改定の際に変更されることがあり、厚生労働省のホームページなどで最新情報の確認が必要です。

また詳細については自治体によって異なる場合があるため、不明点は指定権者である自治体に確認しましょう。

夜間・早朝加算、深夜加算

夜間・早朝、深夜の時間帯にサービス提供をした場合に算定できる加算です。

それぞれの時間帯は、夜間:18時から22時、深夜:22時から6時、早朝:6時から8時と定められています。

算定単位は、夜間又は早朝1回につき:所定単位の25%、深夜1回につき:所定単位の50%です。

要介護5の利用者にサービス提供

要介護5の利用者に対して、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と連携した訪問介護を提供した場合に算定できる加算です。算定要件を満たした場合、1月に800単位が算定できます。

複数名訪問加算(Ⅰ)(Ⅱ)

看護師等2名又は看護師等1名と看護補助者1名で訪問看護を提供した場合に算定できる加算です。

複数名訪問加算(Ⅰ)(Ⅱ)の区分それぞれに、1回あたりの訪問看護サービスの提供時間によって算定できる単位が異なります。

複数名訪問加算(Ⅰ)30分未満:254単位、30分以上:402単位
複数名訪問加算(Ⅱ)30分未満:201単位、30分以上:317単位

長時間訪問看護加算

特別な管理が必要な利用者に対して、1時間30分以上の訪問看護を提供した場合に算定できる加算です。算定要件を満たした場合、1日に300単位が算定できます。

特別地域訪問看護加算

訪問看護ステーション等の確保が困難な地域等で事業所を設置して介護サービスを提供し、介護サービスの確保に貢献していることを評価する加算です。

算定要件を満たした場合、所定単位数の15%が加算されます。

中山間地域などにおける小規模事業所加算

豪雪地帯などの中山間地域等において小規模事業所を設置し、介護サービスを提供していることを評価するための加算です。算定要件を満たした場合、所定単位数の10%が加算されます。

 

中山間地域に居住する者へのサービス提供加算

厚生労働大臣が定める離島や中山間地域等に居住する利用者へサービス提供をした場合に算定できる加算です。

算定要件を満たした場合、1回あたり所定単位数の5%が加算できます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携した場合には、1月に所定単位の5%が加算できます。

中山間地域に居住する者へのサービス提供加算

緊急時訪問看護加算

24時間365日、緊急時の訪問依頼や緊急連絡・相談等に対応する体制を整えている場合に算定できる加算です。

算定要件を満たした場合、訪問看護ステーションでは1月に574単位、病院又は診療所では1月に315単位が算定できます。

特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)

特別な管理を必要とする利用者に対して、訪問看護において計画的な管理を行うことで算定できる加算です。

特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)は、利用者に必要な管理の内容によって分けられています。算定要件を満たした場合、特別管理加算(Ⅰ)は1月500単位、(Ⅱ)は1月250単位が算定できます。

ターミナルケア加算

ターミナルケアを行う体制を整え、ターミナル期にある利用者にターミナルケアを実施することで算定できる加算です。

算定要件を満たし、使用者の死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合に、死亡月に2,000単位が算定できます。

初回加算

新規の利用者、又は一定期間利用がなかった利用者に対して、新たに訪問看護計画書を作成した場合に算定できる加算です。算定要件を満たした場合、1月に300単位が算定できます。

退院時共同指導加算

病院等から退院・退所する利用者に対して、入院していた病院などの医師やスタッフと共同して指導し、退院・退所後に訪問看護を行うことで算定できる加算です。

算定要件を満たした場合、1回600単位が算定できます。

看護・介護職員連携強化加算

訪問介護事業所と連携して、喀痰吸引などが必要な利用者に対しての支援等について評価する加算です。算定要件を満たした場合、1月に250単位が算定できます。

看護・介護職員連携強化加算

看護体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)

中重度の要介護者の在宅療養での医療ニーズへの対応を強化する目的で、「緊急時訪問看護加算」「特別管理加算」「ターミナルケア加算」等について一定以上の実績等がある事業所を評価する加算です。

看護体制強化加算(Ⅰ)と(Ⅱ)では算定要件が異なり、それぞれどちらかの算定要件を満たした場合、看護体制強化加算(Ⅰ)は1月に550単位、(Ⅱ)は1月に200単位が算定できます。

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)

訪問看護サービスの質を向上させるための取り組みを行っている事業所を評価するための加算です。

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)と(Ⅱ)では算定要件が異なり、それぞれどちらかの算定要件を満たした場合、訪問看護ステーション、病院又は診療所ではサービス提供体制強化加算(Ⅰ)は1回6単位、(Ⅱ)は1回3単位が算定できます。

定期巡回・随時対応訪問介護看護事業所と連携する場合、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)は1月50単位、(Ⅱ)は1月25単位が算定できます。

訪問看護が算定できる、介護保険の単位数について

介護保険で実施される訪問看護サービスは、基本報酬と加算の算定によって単位が得られます。

基本報酬は事業所の形態によって単位数が異なり、加算はそれぞれの算定要件を満たすことで所定の単位を算定することができます。

単位の合計に地域区分に従った単価をかけることで、金額として計算することができます。