通所介護におけるモニタリングについて

2024/02/22

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介護サービスの種類や加算の算定要件としてモニタリングの内容や期間が定められていることがあります。

通所介護で実施するモニタリングでは、ケアマネジャーや他事業所などとの連携が必要なこともあります。

今回は通所介護で実施するモニタリングについて確認しましょう。

モニタリングとは

モニタリングとは「監視」や「観察」「観測」等の意味があります。介護においては、継続的に対象となる物事や人について観察し、定期的に記録することを指します。

介護保険ではケアプランを初めいろいろなサービス計画が作成され、計画に基づいたサービス提供がされます。PDCAサイクルと呼ばれる、計画を作成し(Plan)、その計画を実行後(Do)、評価をして(Check)、計画を適切に改善していく(Action)という手法に基づき、計画の評価のために計画を一定期間実行後、モニタリングを行うことが必要となります。

モニタリングの目的

介護サービスが計画に沿って実行されているかどうか、また計画に掲げた目標の達成度や利用者や家族の満足度等を観察・確認することで利用者の現状を把握し、サービスの適正化や新たな課題を発見に役立てます。

モニタリングの結果によっては再度アセスメントを行い、計画の見直しが必要な場合もあります。

モニタリングの目的

通所介護で必要なモニタリングとは

居宅介護支援でケアマネジャーが作成したケアプランに、通所介護が位置付けられることで、通所介護の利用が開始されます。

通所介護の事業所ではケアプランの内容をもとに、サービス提供責任者が、具体的にどのようなサービス提供を行うのかを示した「通所介護計画書」を作成します。

通所介護計画に対してのモニタリングはケアプランのモニタリングにも反映されるため、ケアマネジャーとの連携が必要となります。

通所介護計画に対するモニタリング

通所介護計画はケアプランに基づいて、通所介護サービスに対する個別支援計画として作成するものです。

サービスの利用目標を設定し、目標達成に向けて通所介護サービスを提供する過程で、進捗状況をチェックするためにモニタリングを実施します。

通所介護計画に対してのモニタリングには特定の期間が定められていませんが、ケアプランの設定期間に合わせて実施したり、利用者の状態に変化があった場合にモニタリングが必要となります。

ただし自治体によっては、モニタリングの期間についての詳細が異なる場合があるので、不明点がある場合は指定権者である自治体に確認しましょう。

通所介護のモニタリングシート

通所介護計画に対するモニタリングシートに決まった様式はありませんが、記入にあたっては次の項目を抑えておくようにしましょう。

また、できるだけ具体的に客観的事実を記入し、数値なども用いて利用者や家族にもわかりやすく記載することが必要です。

通所介護サービスの実施状況
通所介護計画に沿ったサービスが提供されたかどうかを記録します。計画通りに実施できなかった場合には、その理由についても記載します。

サービス利用目標の進捗状況
通所介護計画で設定したサービス利用目標に対して、その時点での進捗状況と達成度を記載します。

利用者や家族の満足度
提供されているサービスに、利用者や家族が満足しているかどうかを記録します。満足していない場合はその理由も記載します。

今後の方向性
現在の通所介護サービスを継続するか、一部内容を変更して継続するか、又はサービスを中止するか等について記載します。大きくサービスの変更や中止が必要と考えられる場合にはケアマネジャーと連携し、計画の見直しが必要となることがあります。

その他
身長や体重、バイタルサイン等の体調変化や、利用時の様子の変化なども記載できるとよいでしょう。

加算算定等のためのモニタリング

通所介護で算定できる加算の中には、算定要件として計画を作成し、計画に沿ったサービス提供が必要なものがあります。

そのような加算の場合には、作成した計画に対して定期的なモニタリングが必要となることがあります。モニタリングの期間や内容については、自治体によって詳細が異なる場合があるので、不明点がある場合は指定権者である自治体に確認しましょう。

個別機能訓練加算に対するモニタリング

個別機能訓練加算を算定している場合には個別機能訓練計画の作成が必要です。

個別機能訓練加算では機能訓練指導員を配置して個別機能訓練計画を作成し、その計画に沿った機能訓練が実施されますが、個別機能訓練計画の内容はケアプランや通所介護計画に基づいて作成されることが必要です。

個別機能訓練計画は機能訓練指導員等が協同して作成するとされており、作成者の職種などは特に定められていません。

モニタリングの期間も特に定められていませんが、個別機能訓練加算の算定要件として「進捗状況の調査を3ヶ月に1回以上実施し、必要に応じて個別機能訓練計画の見直し等を行う」とされているため、少なくとも3か月に1回のモニタリングが必要と考えられます。

口腔機能向上加算に対するモニタリング

口腔機能向上加算は、口腔機能が低下している、またはその恐れがある利用者に対して、口腔機能向上の取り組みを行った場合に算定できる加算です。

その算定要件の中には、言語聴覚士、歯科衛生士、看護師、介護職員、生活相談員等が共同して口腔機能改善管理指導計画を作成し、計画に従って言語聴覚士、歯科衛生士、看護師が口腔機能向上サービスを行い、計画の進捗状況を定期的に評価することが必要とされています。

モニタリングの期間等は定められていませんが、算定要件として「利用者の口腔機能を定期的に記録し、口腔機能改善管理指導計画の進捗状況を定期的に評価していること」が必要であり、利用者の口腔機能の状態に応じて1か月に1回を目安に、少なくとも3か月に1回のモニタリングが必要と考えられます。

口腔機能向上加算に対するモニタリング

栄養改善加算に対するモニタリング

栄養改善加算は、一定の条件に該当し栄養改善が必要と認められた利用者に対して、栄養状態の改善を図る取り組みを評価するものです。

算定要件の中には、栄養ケア計画に従って管理栄養士等が栄養改善サービスを行い栄養状態を定期的に記録し、計画の進捗状況を定期的に評価していることが必要とされています。

算定要件としてモニタリングの期間は定められておらず、栄養ケア計画の内容に応じて定期的なモニタリングが必要と考えられますが、低栄養リスクが低リスクの場合はおおむね3か月ごと、高リスクの場合には2週間ごとが目安とされています。

モニタリングの内容は「低栄養状態のリスク」「食生状況」「多職種による栄養ケアの課題」等とされており、モニタリングの模範様式が厚生労働省等で示されています。

入浴介助加算に対するモニタリング

入浴介助加算には(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分があり、入浴介助加算(Ⅱ)を算定する場合には、機能訓練指導員、看護職員、生活相談員、その他の職種が共同して個別の入浴計画を作成し、計画に基づき、利用者の居宅の状況に近い環境で入浴介助を行うこととされています。

モニタリングについて期間は定められていませんが、利用者の身体状況や居宅の浴室の環境に変化があった場合などには、再評価や入浴計画の見直しを行うこととされているため、定期的なモニタリングが必要と考えられます。

入浴介助加算に対するモニタリング

通所介護におけるモニタリングについて

モニタリングは計画に対しての現状を客観的に観察した記録です。

通所介護事業所ではケアプランの内容をもとに、サービス提供責任者が通所介護計画書を作成します。通所介護計画に沿ったサービスが提供されているかどうか、目標が達成に近づいているかどうか、利用者や家族が満足しているかどうか等を定期的にチェックするために行うのがモニタリングです。

通所介護計画のほかにも、加算の算定要件として計画の作成が必要な場合には、それぞれの計画の実施状況や目標の進捗状況等をチェックするために、定期的なモニタリングが必要となります。