訪問介護事業所が算定できる初回加算とは?

2023/12/27

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介護報酬にはさまざまな加算があります。それぞれに算定要件が定められており、要件を満たした場合に算定することができます。

訪問介護事業所が算定可能な加算も多数あり、適正に加算を算定できることは、訪問介護事業所の欠かせない収入源となります。

今回は、訪問介護事業所が算定できる初回加算について確認します。

訪問介護の初回加算とは

訪問介護の初回加算は、訪問介護サービスを初めて受ける利用者や、以前に利用したことがあっても一定期間以上経過していて、再度利用を開始する場合に算定できる加算です。

初回加算は算定にあたって事前の申請は必要なく、該当となるケースが生じたときに「都度算定が可能」な加算のひとつです。

訪問看護や居宅介護支援などの介護保険サービスにも「初回加算」が存在しますが、算定要件が異なるため混同しないように注意しましょう。

初回加算の目的

訪問介護サービスは、訪問介護事業所のサービス担当責任者が訪問介護計画を作成し、その訪問介護計画をもとに訪問介護員が必要な介護や援助を実施します。

特に新規の契約時には利用者の情報が少なく、適切に利用者の状態を把握して訪問介護計画を作成するために、サービス担当責任者が利用者の居宅を訪問し、利用者や家族と面談して必要な説明を行い同意を得てサービスを開始することが必要です。

初回加算は、訪問介護サービスを適切かつ円滑に開始(又は再開)するための業務を評価する加算です。

算定要件と算定単位

初回加算の算定には以下の要件を満たしていることが必要です。

1.新規又は2月以上サービスの提供がなく、訪問介護計画を新規作成していること。

2.初回訪問又は初回訪問と同月内に、サービス提供責任者が訪問介護サービスを提供するか、訪問介護サービスに同行していること。

上記2つの要件を満たしている場合に、初回の利用月に限り、200単位を算定することができます。

算定要件と算定単位

初回加算、算定時の留意点

初回加算を算定する場合に、いくつかの留意点があります。

厚生労働省の示す算定要件は共通ですが、その詳細は指定権者である自治体によって異なることがあります。

算定要件と訪問介護事業所の現状とを照らして不明点がある場合は、訪問介護事業所が所在する自治体に確認しましょう。

サービス提供責任者の「同行」について

初回加算の算定には、初回訪問又は初回訪問と同月内にサービス提供責任者が訪問介護サービスを提供するか訪問介護サービスに同行することが必要です。

サービス担当責任者が訪問介護員に同行する場合には、サービス提供時間を通じて利用者宅に滞在する必要はないとされおり、利用者の状況などを確認してその場を離れても算定は可能ですが、同行した旨とともに訪問日時やその内容、状況について記録を残すことが必要です。

「2月以上」とは

初回加算は新規利用以外に、過去2か月間、当該指定訪問介護事業所から訪問介護の提供を受けていない場合にも算定できますが、この場合の「2月(2か月)」は、月の初日から末日を意味しています。

つまり11月15日に訪問介護を行う場合、同年の9月15日以降ではなく、9月1日以降に当該事業所から指定訪問介護サービスの提供がないことを確認する必要があります。

日数ではなく暦月を数えるところに注意が必要です。

複数の事業所を利用している場合

初回加算は「同一月内で複数の事業所が算定することも可能であること。」とされています。

同じ月内に、当該訪問介護事業所と訪問看護事業所の利用開始や、当該訪問介護事業と他の訪問介護事業所を併用して利用開始した場合、それぞれの事業所で初回加算を算定することが可能です。

要介護状態の変更があった場合

要支援から要介護、又は要介護から要支援に変更になった既存利用者の場合には算定が可能です。

しかし要介護区分が2区分以上変更になった場合には算定はできないので、居宅介護支援初回加算と混同しないように注意しましょう。

 担当責任者が初回加算算定のためにやるべきこと

初回加算の算定の有無にかかわらず、訪問介護サービスの提供には、事業所のサービス担当責任者が訪問介護計画を作成する必要があります。

訪問介護計画はケアマネジャーの作成したケアプランの内容に即して、訪問介護事業所のサービス提供責任者が作成し、その内容について利用者や家族に説明して同意を得ることが必要です。

訪問介護計画は定期的に評価・見直しを行い、利用者の現状に適切な内容のサービス提供ができるようにすることが必要です。

サービス担当責任者が初回加算算定のためにやるべきこと

サービス担当責任者とは

訪問介護事業所のサービス担当責任者は、介護福祉士の有資格者や、実務者研修修了者等の要件を満たしていることとされていますが、その詳細な要件は自治体によって異なることがあります。

訪問介護事業所の利用者が40名以下で1名以上、直近3か月間の事業所利用者数が40名増える毎に1人の増員が必要となります。

訪問介護計画はサービス担当責任者が作成することとされており、初回加算の算定にもサービス担当責任者が利用者の居宅を訪問して状況を把握し、アセスメントを行うことが必要です。

訪問介護計画の作成

訪問介護計画はケアマネジャーが作成したケアプランに即して作成します。

訪問介護員は訪問介護計画書に従ってサービスを実施するので、どのような介助・援助を行うかが具体的に記載されていることが必要です。

訪問介護サービスは、利用者に必要であるということだけではなく、利用者本人や家族の要望、他の介護サービスとの連携などにも配慮したうえで適切な計画を作成しなければなりません。

そのために、サービス担当責任者が利用者やその家族と面談してアセスメントを実施することが求められています。

訪問介護計画の内容説明と同意

サービス担当責任者が作成した訪問介護計画は、その内容について利用者に説明し同意を得て、利用者に交付して訪問介護サービスの提供を開始します。

訪問介護計画はケアマネジャーや他の事業所などに提出の義務はありませんが、関係事業者同士で連携を図るために、訪問介護計画を共有することは有益です。

サービス提供手順書の作成

訪問介護サービスの提供を開始し、サービス提供責任者が同行訪問等によって実情を確認後、サービス提供手順書を作成します。

サービス提供手順書は訪問介護員が適切に介助や支援を行うために、具体的な介助方法や支援内容などが記載されているものであり、できる限り詳細な手順が示されていることで訪問介護員が迷わず的確にサービスの提供をすることができます。

サービス提供手順書はサービス提供指示書などと呼ばれることもあり、必ずしもサービス提供責任者が作成しなければならないとはされていませんが、利用者の実情を理解している職員でなければ適切な手順書を作成できないため、サービス提供責任者が作成するケースが多くなっているようです。

しかし初回加算の算定要件としては、サービス提供指示書の作成は明記されていません。

サービス提供手順書の作成

訪問介護の初回加算とは?

訪問介護における初回加算は、訪問介護サービスを初めて受ける利用者や、一定期間以上利用がなかった利用者が再度利用を開始する場合に算定できる加算です。

訪問介護計画が作成され、初回のサービス利用時又は同月内に、サービス提供責任者が、利用者の居宅を訪問又は訪問介護員に同行することで、初回の利用月に限り200単位が算定できます。

初回加算は算定にあたって事前の申請は必要なく、該当となるケースが生じたときに「都度算定が可能」な加算のひとつです。

訪問介護の初回加算の算定要件は、訪問介護サービスの開始にあたって必ず実施する業務であるので、適切に加算要件を満たして漏れのないように算定しましょう。