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ケアプランデータ連携システムとは?介護施設に導入するメリット
2023/11/17
慢性的な人材不足が続く介護業界では、介護人材の確保が急務となっています。
解決の糸口は、介護現場の負担軽減や職員の待遇改善です。
近年、国をあげての取り組みとして、さまざまな対策が講じられています。その一つに、「ケアプランデータ連携システム」の構築が挙げられます。
データ連携システムにより、介護事業所における事務作業の負担が大幅に軽減されることが期待されています。
今回は、ケアプランのデータ連携システムの概要をはじめ、導入の流れやメリットについて解説します。
目次
ケアプランデータ連携システムとは
ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所との間をオンラインで書類のやりとりをするための、共通の情報連携基盤のことです。
厚生労働省が主導となり、2023年4月から開始されました。
今のところシステム利用の義務はありませんが、今後は義務化されたり、優遇措置がとられたりする可能性も考えられます。
ケアプランとは?
ケアプランとは、サービスの利用者や家族に対して、提供する介護サービスの内容、解決すべき課題と目標などを記載した計画書のことです。
介護サービスの提供にあたって、利用者やそのご家族に対してプランの内容を提示するために必要となります。
ケアプランを提出することにより、安心して介護サービスを受けてもらうことが可能です。ケアプランには、以下の3種類があります。
・居宅サービス計画書
・施設サービス計画書
・介護予防サービス計画書
ケアプランデータ連携システムで連携可能な範囲は?
ケアプランデータ連携システムを導入することで、ケアプランやサービス利用票のやりとりをオンライン上でできるようになります。
なお、連携できる対象範囲は以下のとおりです。
・居住サービス計画書(第1表)
・居住サービス計画書(第2表)
・サービス提供票(第6表)
・サービス提供票別表(第7表)
データ連携する目的は?
データを連携して、オンラインでやりとりできるようにすることの目的は、業務負荷の軽減です。
情報連携がスムーズになり、ケアプランやサービス利用票のやりとりにかかる時間や手間を削減すると、コア業務に注力できます。
すると、介護サービスの質を高めることとなり、ひいては利用者やそのご家族の利益にもつながるということです。
データ連携システムを導入する方法
ケアプランデータ連携システムの導入方法は、次のとおりです。
近い将来、導入が義務化されたり優遇措置がとられたりする可能性を考慮すると、以下を見て導入を検討されるとよいでしょう。
導入の流れ
ケアプランデータ連携システムを導入するときは、以下の流れで進めます。
ケアプランデータ連携システムの導入方法
1. 利用申請 2. クライアントソフトのインストール 3. 電子証明書の確認 4. 電子証明書の申請 5. 電子証明書のダウンロード |
まずは、公益社団法人「国民健康保険中央会」のサイトから利用申請を行います。利用申請が承認されたら、同サイトからクライアントソフトをインストールできるようになります。
そして、介護給付費請求に必要な電子証明書があるかどうかを確認します。確認できない場合には、電子請求受付システムのサイトで発行申請を行う必要があります。
電子請求受付システムのサイトから、電子証明書をダウンロードしたら、システム導入が完了です。
データ連携にあたって必要な準備
ケアプランデータ連携システムを導入する前には、次のような環境を整備しておくことが必要です。具体的には、以下が求められます。
・厚生労働省のケアプラン標準仕様に適した介護ソフトの導入
・介護給付費請求に用いる電子証明書
・書類をオンラインでやりとりするデータ連携のクライアント
ケアプランデータ連携システムを導入することのメリット
ケアプランやサービス利用票のやりとりについては、送受信までに時間がかかることや、人的ミスや情報漏えいのリスクがあることが課題としてありました。
ケアプランデータ連携システムの導入により、これらの課題を解決し、以下のような効果が期待できます。
①業務の効率化
ケアプランデータ連携システムを導入することで、業務の効率化につながることがメリットの一つです。
具体的には、ケアプランへの記載時間が削減できたり、記載ミスを防止できたりします。これらが改善されることで、介護従事者の負担を軽減することが可能です。
②コスト削減
ケアプランデータ連携システムを利用することで、コスト削減にもつながります。
削減できるコストには、以下が挙げられます。
・人件費
・印刷費
・郵送費・通信費
・交通費
厚生労働省によると、ケアプランデータ連携システムを導入することで、年間約81万6,000円のコスト削減が実現できる見込みだということです。
③ヒューマンエラーのリスク低減
ケアプランデータ連携システムでは、データはCSVでのやりとりとなり、介護ソフトに取り込むだけで反映されます。手入力によるミスなど、ヒューマンエラー防止に役立ちます。
誤送信や返戻リスクが低減できるほか、情報漏洩リスクについても減らせると期待できます。
ケアプランデータ連携システムにはデメリットも
事業所の経営者やスタッフ、そして利用者やそのご家族にとって導入メリットが大きいシステムですが、デメリットがあることも理解しておく必要があります。
1つは、利用料金がかかることです。
事業所の規模や収益の状況等によっては、ケアプランデータ連携システムを導入することで、予算オーバーする可能性があります。
導入前には、導入コストはもちろん、費用対効果と併せて検討することが重要です。
もう1つのデメリットは、システムの定着までに時間を要することです。
ITシステムを利用する必要があるので、人によっては苦手意識を持っているケースもあります。
システム操作に慣れるまでに時間を要する場合は特に、作業時間がかかり不満につながることもあるでしょう。
また、従来のケアプランによる業務に慣れていると、新しいシステムの利用方法や、マニュアルを覚えることへの手間を負担に感じる可能性があります。
システムの導入前には、導入メリットや具体的な使用方法を周知し、スタッフの理解を得ておくことが必要です。
導入時には研修や勉強会などを開き、使い方を説明することも大切です。
連携システムで介護施設の経営効率化を図ろう
事業所においてケアプランデータ連携システムを導入することで、ケアプラン作成や管理にかかるタスクを軽減できます。
業務効率化やコスト削減、ヒューマンエラー防止などの効果につながります。
また、スタッフの業務負荷が低減されることで事務作業等の時間や負担が減らせれば、コア業務である介護サービスの提供にリソースを割けるようになります。
経営の効率化にも有効です。
このようなメリットが多いケアプランデータ連携システムですが、導入コストがかかることや、定着までに要する時間についてはデメリットとなるケースもあるので注意が必要です。
導入する際は、メリット・デメリットに加えて、費用について十分考慮したうえで導入を検討するようにしましょう。