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訪問看護はビジネスとして成功しやすい?一人当たり売上や売上アップの方法を解説!
2023/11/17
介護事業のなかでも、訪問看護は比較的他業種からの新規参入がしやすい分野だとされています。
訪問看護ステーションの経営によって事業の安定や継続、成長を目指すことは、利用者の利益、ひいては地域貢献にもつながります。
訪問看護の開設を目指している、あるいは売上アップを図りたい経営者のなかには、「売上向上のためにできることは何?」「一人当たり売上がどれくらいか知りたい」といった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、訪問看護ステーションにおいて、看護師一人当たり売上がどれぐらいなのかをはじめ、売上アップのコツについても解説します。
目次
訪問看護における売上の平均は約296万円
厚生労働省が発表した令和4年度介護事業経営概況調査結果によると、訪問看護ステーションの月間平均の売上は約296万円でした。また、看護職員常勤換算数は平均4.8人という結果です。
月間平均売上の内訳については、月間の延べ訪問回数は平均377.5回、訪問1回当たりの売上は平均8,041円だということです。
※介護報酬、介護予防含む
出典:厚生労働省『令和4年度介護事業経営概況調査結果』
看護師の一人当たり売上は約60万円
令和4年度介護事業経営概況調査結果によると、常勤の看護職員一人当たりの月間訪問回数は71.3回だということです。
ここから計算すると、看護師一人当たり売上は、約60万円となります。
8,056円(訪問1回当たりの売上)×71.3回(常勤の看護職員一人当たりの訪問回数) =574,392円(看護師一人当たり売上) |
出典:厚生労働省『令和4年度介護事業経営概況調査結果』
介護保険で算定率が高い訪問看護の項目
訪問介護事業で売上向上を目指すには、訪問件数と訪問時間を増やすことが有効です。それに加えて、加算を算定していくことで売上の単価アップを目指すことも重要といえます。
介護保険のなかでも、算定率が高い項目は以下のとおりです。
・緊急時訪問看護加算
・特別管理加算(Ⅰ)
・特別管理加算(Ⅱ)
・初回加算
・サービス提供体制強化加算
訪問看護ステーションの稼働率は60%以上が理想
訪問看護ステーションの稼働率は、60%以上を目指すとよいとされています。
稼働率は、以下のように算出します。
稼働率=1か月のサービス提供時間数の合計÷1か月の勤務時間数の合計 |
事業所で請求ソフトや勤怠管理ソフトを利用している場合、1か月のサービス提供時間数や勤務時間数はすぐに算出できるはずです。
なお、60%以上の稼働率を目指すということは、例えば8時間勤務のうち4.8時間以上を訪問看護の提供時間に費やすことになります。
その際、1回の訪問での提供時間と、次の訪問先への移動にかかる時間まで考慮する必要があるため、現場の実態に合わせて現実的な稼働率の目標設定が求められます。
訪問看護ステーションで赤字になるのはナゼ?
訪問看護事業は、新規参入しやすく売上を伸ばしやすいとされる分野であると考えられています。
ニーズの拡大が背景にあり、”黒字化することができる事業”として、近年新設数が伸びているサービスの一つです。
ただし、当然すべての事業所が黒字運営を実現しているわけではなく、経営が上手くいかず、赤字を出してしまい早々に事業撤退してしまうケースも少なくありません。
訪問看護ステーションで赤字になってしまう原因としては、以下が考えられます。
・地域における認知度が低い
・地域のニーズにマッチしていない(利用者数が少ない)
・職員の入れ替わりが多い、定着率が低い
・職員数に比べて、利用者数あるいは訪問回数が少ない
・経営体制が整っていない
訪問看護ステーションの売上アップを目指すための6つの方法
看護師の一人当たり売上を高め、訪問看護ステーションの売上アップを目指すには、次の5つの取り組みが必要だと考えられます。利用者数の増加と、職員の定着率向上を図ることが重要です。
①マーケティング活動を行う
1つ目は、マーケティング活動の実施です。
まずは、地域において事業所の存在を認知してもらうことが必要です。積極的に広報活動を行うことで、問い合わせ件数の増加を目指しましょう。
在宅療養が必要な方やそのご家族が気軽に相談できる場所として認識してもらうことが重要です。例えば、以下のような方法が有効です。
▼マーケティング活動の例
・新聞折込で広告を配布する
・ポスティング
・スーパーや掲示板、回覧板などにチラシを掲載する
・タウン情報誌などに出稿する
・自治体や地域での活動・イベントに参加する
・SNSで情報発信する
②医療機関やケアマネジャーへの営業活動に注力する
2つ目は、医療機関やケアマネジャーへの営業活動です。
訪問看護ステーションにおいては、医療機関や居宅介護支援事業所のケアマネジャーから利用者を紹介されるケースが多くなっています。
そのため、地域住民の方だけでなく、地域の医療機関やケアマネジャーへの営業活動が不可欠です。
具体的には、以下の機関および担当者への営業活動が必要と考えられます。
・居宅介護支援事業所、地域包括支援センターのケアマネジャー
・近隣の診療所、クリニック等の医師
・病院の地域医療相談室の医療ソーシャルワーカー など
営業活動を行うときは、日程調整の連絡を事前に行った上で、訪問した対面で話すと効果的です。また、定期的に訪問し続けることで関係を構築していくことも重要です。
③訪問スケジュールを見直す
3つ目は、訪問スケジュールの見直しです。
看護師の一人当たり売上をアップさせるには、訪問スケジュールを見直すことで、移動時間を短縮するなどして訪問件数を増やすことがポイントです。
非効率な移動箇所はないか、移動手段は適切かなどを確認します。
その際、職員にとって無理のない範囲でスケジュール調整をすることが重要です。
④業務効率化によって訪問件数を増やす
4つ目は、事業所における業務効率化を図ることです。
非効率的な業務をなくしたり効率化を図ったりすることで、訪問に充てられる時間数を増やすことも一つの方法です。
事務作業などのノンコア業務については、ツールを導入することで効率化できます。
紙で記録や帳票管理を行っている場合、電子カルテ・請求ソフトなどを導入することで、時間が短縮できるほか、人的ミスの防止にも役立ちます。
また、無駄なミーティングや定例会議等が行われていないかなど見直すことも大切です。
⑤サテライト拠点を開設する
5つ目は、サテライト拠点の開設です。
原則として指定訪問看護ステーションは事業所ごとの指定が必要だとされていますが、出張所のような目的で追加拠点(サテライト)を開設することが認められています。
サテライト拠点を設置することで利用者が増えると、売上アップが見込めます。サテライトの設置は、在宅医療を必要としている地域住民にとっても利益となります。
なお、サテライトの設置にあたっては、以下の基準を満たすことが必要です。
・利用申し込みの調整をはじめ、提供状況の把握、職員への指導が一体的に行われること
・職員の勤務体制・内容等が一元的に管理されていること
・必要に応じて、事業所や他のサテライト間で相互支援ができる体制が構築されていること
・苦情処理や損害賠償等に対して、一体的な対応ができる体制にあること
・事業の目的や運営方針、営業日・営業時間、利用料等サービスに関する同一の運営規定が設けられていること
⑥労働環境の見直し・改善
6つ目は、労働環境の見直しおよび改善です。
訪問看護ステーションで売上アップを図るには、訪問回数の増加が不可欠です。
ただし、看護師をはじめとする従業員の負担への配慮も必要です。定期的に面談を実施するなどして、労働環境の見直し等を行いましょう。
従業員の離職を防ぎ、定着化を目指すことが、安定経営につながります。
訪問介護の一人当たり売上をアップするには定期的な見直しが必要!
今回は、看護師一人当たり売上の平均や、一人当たり売上アップの方法について解説しました。
訪問看護ステーションで売上アップを目指すには、訪問回数を増やすとともに、従業員の定着を図ることが必要です。
そのためには、広報活動をはじめ、地域の医療機関との連携を図ること、業務効率化に取り組むことが求められます。
また、訪問回数や従業員の労働環境については、定期的な見直し・改善が不可欠です。