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リハビリテーション事業所が算定できる移行支援加算とは? 算定要件など解説
2023/11/15
団塊の世代の全てが75歳以上となる2025年に向けて、高齢者の自立支援・重度化防止の取り組みを推進する観点から、リハビリテーションについても質の高いサービスの提供が求められるようになっています。
リハビリテーション事業所が算定できる「移行支援加算」について説明します。
目次
移行支援加算とは?
移行支援加算は、リハビリテーションによって日常生活動作(ADL)や手段的日常生活動作(IADL)が向上して、他のサービス(指定通所介護、認知症対応型通所介護、一般介護予防事業等)に移行できた場合や、家庭での家事や社会参加につながった場合などに算定できる加算です。
移行支援加算対象事業者
移行支援加算を算定できる事業者は、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションのサービスを提供する事業者です。
訪問リハビリテーションとは
訪問リハビリテーションは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職が、利用者の自宅を訪問してリハビリを行うサービスです。
厚生労働省では「居宅要介護者について、その者の居宅において、その心身の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション」と定義されています。
訪問リハビリテーションを利用できるのは、リハビリテーションを行う病院や施設に通うことが困難な人で、主治医が訪問リハビリテーションが必要であると認めた場合です。
訪問リハビリテーションのメリットとデメリット
利用者の身体的な負担を軽減でき、慣れた環境で落ち着いてリハビリを受けることができるのは、訪問リハビリテーションの大きなメリットです。
またリハビリ専門職が、自宅の生活環境を把握したうえでリハビリを実施することで、より個人の状態と生活環境に合わせた具体的な効果が期待できます。
反対に大掛かりなリハビリ機器を持ち込むことができないため、実施できるリハビリテーションの内容には制限があります。
通所リハビリテーションとは
通所リハビリテーションは、リハビリテーションを行う施設に日帰りで通い、生活機能向上のためのリハビリテーションを受けたり、食事や入浴などの生活支援を受けるサービスです。
厚生労働省では「介護老人保健施設、病院、診療所その他厚生労働省令で定める施設で行う、居宅要介護者に対する、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるための理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション」と定義されています。
通所リハビリテーションを利用できるのは、要支援1・2、または要介護1~5の要介護認定を受けている人で、主治医が訪問リハビリテーションが必要であると認めた場合です。
通所リハビリテーションのメリットとデメリット
通所リハビリテーションでは医師、看護師、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職が在籍し、利用者の状態に応じて専門的なリハビリや健康管理、医療的ケアを受けることができます。
マシンを使ったトレーニングなどの個別リハビリの他、他の利用者と一緒に行う集団リハビリをでは、他者との交流も生まれ、モチベーションの維持にもつながります。
送迎があるので移動手段の心配はありませんが、体力的に負担になったり、他者とのコミュニケーションが得意ではない場合には、慣れるまでに時間を要することがあります。
移行支援加算の目的とは
移行支援加算の目的は、適切なリハビリテーションを受けることで身体機能が向上し、家庭内での家事や社会参加等を指標として、質の高いリハビリテーションを提供する事業所を評価するものです。
そのため算定要件に「リハビリテーション終了者の社会参加や他サービスへの移行状況」と「サービスの利用の回転」を勘案することとなっています。
移行支援加算の算定要件と算定単位
移行支援加算の算定要件と算定単位は以下の通りです。算定要件の全てを満たした場合に、所定の単位が算定できます。
訪問リハビリテーション
算定要件は次の4件です。
・評価対象期間においてリハビリテーション終了者のうち、指定通所介護等を実施した者の割合が、100分の5を超えていること。
・リハビリテーションの利用の回転率が12月/平均利用延月数≧25%であること。
・評価対象期間中にリハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、リハビリテーション終了者に対して、電話等により、指定通所介護等の実施状況を確認し、記録すること。
・リハビリテーション終了者が指定通所介護等の事業所へ移行するにあたり、当該利用者のリハビリテーション計画書を移行先の事業所へ提供すること。
以上の算定要件を満たした場合に17単位/日が算定できます。
通所リハビリテーション
算定要件は次の4件です。
・評価対象期間においてリハビリテーション終了者のうち、指定通所介護等を実施した者の割合が、100分の3を超えていること。
・リハビリテーションの利用の回転率が12月/平均利用延月数≧27%であること。
・評価対象期間中にリハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、リハビリテーション終了者に対して、電話等により、指定通所介護等の実施状況を確認し、記録すること。
・リハビリテーション終了者が指定通所介護等の事業所へ移行するにあたり、当該利用者のリハビリテーション計画書を移行先の事業所へ提供すること。
以上の算定要件を満たした場合に12単位/日が算定できます。
移行支援加算のQ&A
移行支援加算の算定要件について、厚生労働省から提示されたQ&Aを抜粋して紹介します。
Q1:訪問リハビリテーションまたは通所リハビリテーションと通所介護を併用している利用者が、リハビリテーションを終了して通所介護の利用を継続する場合は算定が可能か?
A1:「訪問リハビリテーションまたは通所リハビリテーションを終了した後、通所事業を実施した者」として取り扱うことができるので、算定が可能です。
Q2:移行支援加算は事業所の取り組んだ内容を評価する加算であるが、同一事業所において、当該加算を取得する利用者と取得しない利用者がいることは可能か。
A2:同一事業所で、加算を取得する利用者と取得しない利用者がいることはできません。
Q3:利用者が訪問リハビリテーションから通所リハビリテーションへ移行して、通所リハビリテーション利用開始後2月で通所介護に移行した場合、訪問リハビリテーションの移行支援加算の算定要件を満たしたこととなるか。
A3:算定要件を満たしたこととなります。
Q4:移行支援加算で通所リハビリテーションから通所介護、訪問リハビリテーションから通所リハビリテーション等に移行後、一定期間後元のサービスにもとった場合、再び算定対象とすることができるか。
A4:移行支援加算では、通所リハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、通所リハビリテーションの従業員が、通所リハビリテーション終了者が指定通所介護などを実施していることを確認し、記録していることが必要です。
なお、3月以上経過していて、リハビリテーションが必要であると医師が判断した場合には、新規利用者とすることができます。
リハビリテーション事業所が算定できる移行支援加算とは?
移行支援加算は訪問リハビリテーションまたは通所リハビリテーションを、医師の指示の下で計画的に実施し、利用者のADLやIADLが向上して、家庭での家事や社会とのつながりが可能となったり、他のサービスに移行できるなど、効果的なリハビリテーションを実施する事業所を評価するものです
。介護報酬の加算については、算定要件を正しく解釈することが必要です。
それぞれの事業所の実情と照らして、厚生労働省のホームページなどで必要事項を確認しましょう。