居宅介護支援事業所の収支・立ち上げには何が必要?

2023/09/08

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まだまだニーズが高いと考えられる介護業界。ビジネスを拡大したり、新たに参入したりしようと検討中の方も多いのではないでしょうか。

なかでもメリットが大きい分野として注目されているのが、居宅介護支援事業所です。

居宅介護支援事業所とは、介護保険サービスを受ける要介護者からの在宅介護に関する相談や計画、連絡および調整に対応するための事業所です。

今回は、居宅介護支援事業所の概要をはじめ、立ち上げのメリット・デメリット、収支について解説します。

居宅介護支援事業所とはどんな場所?

居宅介護支援事業所は、要介護者の在宅介護に関する相談を受けたり、ケアプランを作成したり、連絡・調整したりするための事業所です。

サービスを受けるためのケアプラン(介護サービス計画書)を作成することから、ケアプランセンターと称されることもあります。

居宅介護支援事業所の「居宅」については、自宅のほかに軽費老人ホームや住宅型有料老人ホームなどの居室も該当します。

なお、居宅介護支援事業所の利用料は介護保険から支出されるため、利用者負担はなしです。

また、アセスメントや関係者との相談など総合的な判断として、居宅での介護が困難という場合には、介護保険施設(特別養護老人ホームなど)への紹介を行うこともあります。

居宅介護支援事業所を立ち上げるメリット

居宅介護支援事業所を立ち上げるメリット

居宅介護支援事業所を立ち上げるメリットは、以下のとおりです。

・自宅でも開業できる
・低コストで開業できる
・フリーランスのような自由さがある
・主任ケアマネージャーの資格があれば1人で開業できる

居宅介護支援事業所は、自宅で開業できるほか、低コストで開業できることがメリットとしてあります。

他のサービス事業所では必須となるような、場所や介護用具を準備する必要がないことから、開業しやすいと考えられます。

また、フリーランスのように、働き方や自分の給料の給料を采配できることも魅力の一つです。

主任ケアマネージャーの資格さえあれば、1人で開業することが可能です。

居宅介護支援事業所を立ち上げるデメリット

居宅介護支援事業所を立ち上げるメリットは、以下のとおりです。

・営業能力が求められる
・収支をプラスにするには、1~2年かかるケースもある
・一定以上の知識が必要
・1人で開業する場合、必要な準備が多い

自分で自由に業務をこなせるということは、営業力が求められるということでもあります。

営業力がないと、収支をプラスにすることが困難です。また、事業を軌道に乗せて収支をプラスにするまでには1〜2年ほどかかるケースも少なくありません。

事業を成功に導くには、専門的な知識も必要です。

介護業界に関することだけでなく、売上や経費の管理、社会保険料の計算などの知識も求められます。

開業にあたってはさまざまな手続きが必要になることに、難しさを感じる人もいるでしょう。

居宅介護支援事業所を立ち上げる為に必要な事

居宅介護支援事業所の立ち上げには、以下の準備が必要です。各要件を満たしたうえで、各市町村へ申請して指定を受ける必要があります。

準備すべきことは多岐にわたるので、早めに取りかかることをおすすめします。

①主任ケアマネージャーの資格

常勤の管理者として主任ケアマネージャーがいることが、居宅介護支援事業所の開業の要件となります。

事業主が資格を取得すれば、別に雇い入れる必要はありません。

なお、2021年4月以前に開業していた事業所については2027年3月までの適用猶予が設けられています。

②法人格を取得している

居宅介護支援事業所の立ち上げにあたっては、法人格を取得することが必要です。法人格を取得することには、以下の利点もあります。

・社会的信用が得られる
・税制上の優遇措置が受けられる
・補助金・助成金を利用しやすい
・節税効果が得られる

法人の種類については、事業拡大を視野に入れているならば株式会社、設立費用を抑えたいなら合同会社が適しています。

③人員基準を満たす

主任ケアマネージャーの配置のほか、人員基準が設けられています。

さらに利用者35人につき、1人のケアマネージャーが必要です。

そのため、自信が主任ケアマネージャーとして開業した場合でも、今後の事業所規模や利用者数によってはケアマネージャーの増員を検討する必要が出てきます。

④施設・設備基準を満たす

自宅であるいは事務所で開業可能ですが、いずれの場合も以下の施設基準を満たすことが必要です。

具体的な基準は以下のとおりです。

・作業を行う事務室と、相談者のプライバシーが守られる相談室を設ける
・洗面所、アルコール消毒液・石鹸など衛生面に配慮する
・机・椅子およびそれらが設置できるだけのスペースを確保する
・鍵付きのキャビネットを設置する
・運営規定を、目がつくところに掲載する

居宅介護支援事業の『収支』について

ここでは、居宅介護支援事業の収支について解説します。

他のビジネスと比べて低コストで立ち上げ可能

居宅介護支援事業所は、事務作業する場所と相談スペース、洗面所があれば開業できるほか、自宅で開業することも可能なので、初期費用はかなり抑えられます。

例えば、介護系施設のデイサービスでは初期費用が800万円以上はかかるとされていますが、居宅介護事業所ならば100〜200万円程度です。

このように起業しやすいだけでなく、今後も高齢化が進むことが予測されるため、社会的なニーズ減による倒産リスクも低いと考えられます。

初期費用と初期の運営費用は約100〜200万円

先に触れていますが、居宅介護支援事業所の初期費用および初期の運営費用は100〜200万円ほどです。

ただし、開業後の収支は予測できない部分も大きいため、運営開始から数か月分の運営資金や給料も準備しておく必要があります。

初期費用について、一般的な内訳は以下のとおりです。

・法人設立費:6〜30万円
・賃貸契約費:20〜50万円
・光熱費:5,000円〜2万円
・設備費(デスク・チェア、応接セット、衛生用品、PCおよび周辺機器、事務用品):5〜30万円

そのほか、必要に応じてカーリース代や人件費がかかります。

居宅介護支援事業所における収支差率は3.1%

令和4年度介護事業経営概況調査によると、居宅介護支援事業所における収支差率は「税引き後で3.1%」と、前年令和3年度の数値1.8%から1.3ポイント上昇していることがわかります。

収支差率とはつまり、利益率です。

その他の多くのサービスの数字が低下しているなか、居宅介護支援事業所の利益率が大きく上昇していることは注目すべき点だと考えられます。

居宅介護支援事業所立ち上げ時の助成金制度

収支差率を高めるカギは、居宅介護支援事業所立ち上げ時の助成金制度

居宅介護支援事業所を立ち上げる際、以下のような助成金・補助金性を活用することが収支の差につながります。

①受給資格者創業支援助成金

雇用保険受給資格者自らが創業したうえで、1年以内に継続雇用する労働者を雇い入れ、雇用保険の適用事業の事業主になった場合に利用できる制度です。

会社設立前のコンサルタント費用や講習費用、設備費用などについて、1/3に相当する額が支給(上限200万円)されます。

②地域創業起業補助金

地域創業起業補助金とは、創業に必要な経費の一部を国や自治体が補助してくれる制度です。

詳細については、各自治体によって異なります。なお、一定期間内に収益を上げると返済義務が生じるケースもありますが、基本的には返済不要です。

③IT導入補助金

IT導入補助金とは、業務課題やニーズに適したITツール(介護ソフトや勤怠管理システム)の導入費用を補助する制度です。

中小企業・小規模事業者を対象としています。

④キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者や短時間労働者などの「正社員ではない」労働者を、正社員登用したり直接雇用したりした場合に受給できるものです。

居宅介護支援事業所の開業にあたっては、「正社員化コース」がよく活用されます。

居宅介護支援事業所を立ち上げ準備は入念に

居宅介護支援事業所の立ち上げにあたっては、資格の取得や法人格の取得、人員基準や設備基準を満たすための準備、経理や収支に関する勉強など、やるべきことは多岐にわたります。

利用可能な助成金や補助金について調べることも大切です。

ただし、低コストで開業できるほか、自宅で開業可能なので、比較的挑戦しやすい分野でもあります。

また収支差率についてもおおむね好調な事業所が多いということです。

介護業界に興味のある方、ビジネス拡大を検討中の方は、居宅介護支援事業所を選択肢として取り入れてみてはいかがでしょうか。