介護需要の増加で起こることは?超高齢社会 日本の高齢化の推移

2023/09/08

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日本は2010年には高齢化率は23%を超えており、「超高齢社会」を迎えています。

今後も平均寿命は延びていくことが予想されており、高齢者の人口が増加して介護の需要は増大すると見込まれています。

人生100年時代を迎える日本における高齢化率の推移と、介護需要について考えてみましょう。

超高齢社会とはどんな状態?

まず初めに超高齢社会とは、65歳以上人口が国の人口の21%以上を占めている社会のことを指しています。

現在の日本における超高齢社会の背景として、第二次世界大戦後の第一次ベビーブームと近年の少子化があります。

第一次ベビーブームは1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)であり、1949年の出生率は4.32でした。

1組の夫婦に4人の子どもがいるイメージです。翌年1950年からは出生率は低下し、その子ども世代にあたる第二次ベビーブームの1971年(昭和46年)から1974年(昭和49年)は、出生率2.1台で推移していました。

現在、第一次ベビーブーム期に生まれた人たちが現在高齢者となっており、第二次ベビーブーム世代がこれから高齢者となっていきますが、平均寿命が延びていることもあって高齢者人口は増加していきます。

さらに近年の少子化によって日本の総人口が減少していることが、高齢化率の上昇に拍車をかけているといえます。

高齢化率の推移について

現在は65歳以上の人口を「高齢者人口」として、高齢者人口の総人口に占める割合を高齢化率と呼びます。高齢化率は次の式で計算できます。

「高齢化率=65歳以上人口/総人口×100」

昭和25年(1950年)、65歳人口は総人口の5%にとどかず、昭和45年(1970年)に7%を超えました。

平成6年(1994年)には14%を超えて上昇を続け、令和元年(2019年)10月、28.4%に達しました。

以下に過去の人口や高齢化率と今後の推計を示します。

各数値は内閣府のホームページ、厚生労働省のホームページより抜粋していますが、参照する統計資料によっては数値が異なることがあります。

昭和25年(1950年)

昭和25年生まれの人は令和5年現在73歳です。

この年の総人口は8,411万人で65歳以上人口は416万人、高齢化率は4.9%、出生数は233万7,507人、合計特殊出生率は3.65です。

64歳以下の人口の方が圧倒的に多く、15歳~64歳の生産年齢世代12.1人で1人の65歳以上の高齢者を支えるイメージです。

平均寿命は男性58.00歳、女性61.50歳なので、65歳を迎える人は長生きと考えられていたかもしれません。

昭和25年(1950年)

昭和45年(1970年)

昭和45年生まれの人は令和5年現在53歳です。

この年の総人口は10,467万人で65歳以上人口は740万人、高齢化率は7.1%、出生数は193万4,239人、合計特殊出生率は2.13です。

人口の維持に必要な合計特殊出生率が2.06~2.07といわれており、出生数は減少していますが、総人口が維持できる子どもの数であり、生産年齢世代9.8人で1人の65歳以上の高齢者を支えるイメージです。

この年の平均寿命は男性69.31歳、女性74.66歳であり、20年で男女ともに10歳程度平均寿命が延びています。

平成7年(1995年)

平成7年生まれの人は令和5年現在28歳です。

この年の総人口は12,557万人で65歳以上人口は1,826万人、高齢化率は14.6%、出生数は118万7,064人、合計特殊出生率は1.42です。

生産年齢世代4.8人で1人の65歳以上の高齢者を支えるイメージです。

この年の平均寿命は男性76.38歳、女性82.85歳で女性の寿命が80歳を超えています。総人口は増加していますが、合計特殊出生率は1975年以降2.0を下回っており、今後はこれまでの総人口を維持できなくなっていくと考えられます。

平成27年(2015年)

平成27年生まれの人は令和5年現在8歳です。

この年の総人口は12,709万人で65歳以上人口は3,347万人、高齢化率は26.6%、出生数は100万5,721人、合計特殊出生率は1.45です。

生産年齢世代2.3人で1人の65歳以上の高齢者を支えるイメージです。

第一次ベビーブームの「団塊の世代」と呼ばれる人たちが65歳以上となったのが平成27年(2015年)で、平均寿命は男性80.77歳、女性87.01歳と男女ともに80歳を超え、65歳以上人口のうち75歳以上人口が1,613万人、65歳~74歳人口が1,734万人と、前期高齢者と後期高齢者がほぼ同等の人数になってきています。

令和7年(2025年)

この頃の総人口は12,254万人で65歳以上人口は3,677万人、高齢化率は30.0%、合計特殊出生率は1.33前後と推計されています。

第一次ベビーブーム世代が75歳以上になり、65歳以上人口のうち75歳以上人口が2,180万人、65歳~74歳人口が1,497万人と、後期高齢者の割合が多くなっています。

以降、令和36年(2054年)までは75歳以上人口は増加が続くと見込まれており、生産年齢世代1.9人で1人の65歳以上の高齢者を支えるイメージです。

平均寿命は男性82.39歳、女性88.72歳と推計されています。

令和47年(2065年)

この頃の総人口は8,808万人で65歳以上人口は3,381万人、高齢化率は38.4%、出生数は56万人程度、合計特殊出生率は1.33前後と推計されています。

生産年齢世代1.3人で1人の65歳以上の高齢者を支えるイメージです。

この年の平均寿命は男性84.95歳、女性91.35歳と女性は90歳を超えると推計されており、この頃には第二次ベビーブーム世代が生存していれば90歳を超えていることになり、65歳以上人口の増大に伴って死亡者数も増加し、2070年頃までは多死社会が続くと見込まれています。

令和47年(2065年)

介護需要が増える超高齢社会

令和3年の統計では、65歳以上の人の7人に1人、85歳以上の人の2人に1人が介護サービスを受けているという状況です。

疾患などの影響によって60代から介護が必要となるケースもありますが、80歳を過ぎると介護保険の受給者数は増加傾向となり、90歳を過ぎると約半数以上の人が要介護認定を受けている状況にあります。

このことから今後40~50年間は介護需要も増大すると予測できます。

介護需要の増加で起こること

現在でも「老老介護」「高齢者への虐待」など、介護に関連するさまざまな問題が生じています。

これらの問題を引き起こす要因ともなる状況について挙げます。

介護給付費の増大

要介護認定を受けている高齢者が増加するということは、高齢者の介護や医療にお金がかかるということです。

高齢化だけではなく少子化も急速に進んでいる日本では、高齢者本人の自己負担が増えるだけではなく、保険料の値上げなど国民全体の負担が増加する可能性があります。

介護人材の不足

現在でも介護人材の不足は問題となっていますが、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人の介護職員を増員する必要があると予測されています。

近年、介護職員は微増傾向にあるといわれていますが、要介護者の増加による介護需要を満たすものではありません。

さらに今後は少子化の影響によって生産年齢人口が減少し、労働力そのものが不足する懸念もあります。

介護難民

介護難民とは、介護が必要な状態であるにもかかわらず、必要な介護サービスや介護施設の利用ができていない人を指します。

介護難民となる原因は、介護保険についての知識不足や経済的な理由、地域によっては介護サービスの種類や量、介護人材が不足していることなどがあります。

介護離職の増加

現在も仕事と介護の両立が難しいことを理由に転職や働き方を変える、退職するなどのケースがあります。

訪問系や通所系の介護サービスを利用していても、状況によっては正社員として働くことは時間的にも体力的にも難しいことがあります。

令和4年(2022年)度から介護休業法が改正され、国も介護離職を防ごうと対策を進めていますが、今後は介護のための休暇や休養が当たり前に取得できるような会社や社会の環境を整えていくことも必要です。

介護離職の増加

介護需要が増加する超高齢社会の日本

日本の高齢化の推移をみれば介護需要が増大することは明らかです。

それに伴って起こることがおおよそ予測できているにもかかわらず、決定的な打開策が見つかっていない現状もあります。

今後数十年継続すると予測される超高齢社会と、それに伴う介護需要の増加に対して、早急に有効な対策が望まれます。