訪問看護計画書とは?書き方のポイントと注意点を徹底解説

2023/09/07

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訪問看護サービスの提供にあたっては、看護・リハビリテーションの目標や、それを達成するために必要なサービスを具体的に記載する必要があります。

そこで有効なのが、訪問看護計画書です。

訪問看護計画書の記載事項は多く、苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、訪問看護計画の書き方と注意点について解説しているので、訪問看護計画書の書き方に不安がある方はぜひ参考にしてください。

訪問看護計画書とはどんなもの?

訪問看護の計画書は、利用者にどのような訪問看護サービスを提供するかを記載するものです。

訪問看護サービスでは、主治医から訪問看護の内容に関する「訪問看護指示書」を受け取り、それに基づいた計画を立ててサービスを提供します。

訪問看護指示書には、以下の内容が記載されています。

・利用者の傷病
・現在の病状
・治療状態
・薬剤
・医療機器
・留意事項 など

訪問看護で達成する目標や、問題点・解決策などは示されていないことから、訪問看護計画書によってそれらを補う必要があります。

訪問看護指示書と、ケアプランに沿って計画書の項目を定めます。

訪問看護計画書を作成・更新するタイミング

訪問看護計画書は、訪問看護サービスの提供前に作成する必要があります。

訪問看護指示書やケアプランなどの書類からの情報に加えて、利用者自身やその家族と面会したうえで、訪問看護計画書を作成することになります。

また、その内容については、利用者および家族に説明したうえで、同意を得ることが必要です。

また、訪問看護計画書はケアプランの更新に合わせて更新することが一般的です。

そのほか、利用者の状態に変化があったときや、主治医からの訪問看護指示書の内容に変化があったとき、ケアプランの変更が行われたときにも、適宜訪問看護計画書の見直し・更新が必要です。

訪問看護計画書の書き方のポイント

訪問看護計画書の書き方

ここでは、訪問看護計画書の書き方のポイントをまとめています。

①利用者の基本情報
②看護・リハビリテーションの目標
③問題点・解決策
④評価
⑤衛生材料等が必要な処置の有無
⑥備考
⑦作成者名

 

①利用者の基本情報

利用者の基本情報として、以下を記載する必要があります。

・氏名
・生年月日
・要介護度
・住所 など

②看護・リハビリテーションの目標

看護・リハビリテーションの目標については、訪問看護指示書の内容や、居宅サービス計画書の目標もふまえて設定する必要があります。

以下を意識して目標設定するとよいでしょう。

・ケアプランに沿った内容か
・主治医の指示に準じた内容か
・利用者とその家族の要望が盛り込まれているか

ケアプランの内容や主治医の指示に加えて、利用者本人とその家族の要望もふまえた目標設定が必要です。

③問題点・解決策

問題点・解決策の項目では、看護・リハビリテーションの目標と関連付けて記載することがポイントです。

問題点としては、現状課題や、その状態が続くことによって引き起こされる問題などを取り上げます。

解決策では、それらを解決するための具体的な手法を明示します。

④評価

評価は、月初に計画した内容に対する評価を行います。

そのため、計画書の評価欄については、初回は空白で交付することとなります。翌月の計画書の評価欄に、前月の評価を記載します。

取り上げた問題点・解決策を踏まえて看護サービスを提供した結果、どのような成果が得られたのかを記載します。

維持・改善ができなかった場合には、再度アセスメントを行ったうえで、記載した計画の継続あるいは変更を検討していくことがポイントです。

⑤衛生材料等が必要な処置の有無

処置の内容ごとに。衛生材料(種類・サイズ)の有無に〇をつけたり、必要量を記載したりします。

主な衛生材料は、以下のとおりです。

・ガーゼ、脱脂綿、綿棒、アルコール綿
・包帯、伸縮包帯、粘着包帯、
・マスク、手袋、エプロン、PPT用品、
・絆創膏、サージカルテープ、ドレッシング材

これらの内容が変更される場合は、その都度訪問看護計画の変更が必要です。必要量の欄では、1か月分の使用量を記載します。

⑥備考

備考欄では、各項目に書き切れない内容を記載します。

・特別な対応や管理が必要なケース
・他の介護・医療保険、保健サービスの利用状況 など

⑦作成者名

作成者名の欄には、計画書作成担当者の氏名を記載します。該当する職種の記載も必要です。

訪問予定の職種欄では、訪問予定の職種およびその訪問日について、利用者に分かるように記載する必要があります。

<例>

1・4・8・11・16・22・29 日:看護師
2・8・15・22 日:理学療法士

 

看護職員:週に2回、火・木曜日に訪問
理学療法士:週に1回、金曜日に訪問

 

⑧ 作成年月日

計画を作成した日にちについても、記載が必要です。看護計画の見直しや修正をした場合には、年月日も修正日にしておきます。

訪問看護計画書の見直しを毎月行っている場合には、見直しを行った日付に変更します。

⑨ 事業所名・管理者名

事業所名と管理者の氏名については、各欄に記載が必要です。

訪問看護の計画書を作成するときの注意点

訪問看護の計画書を作成するときの注意点

訪問看護の計画書作成にあたっては、以下の注意点があります。

目標作成は利用者の視点で記載する

看護・リハビリテーションの目標を設定する際は、利用者の目線で考え、利用者の視点で記載します。看護師の視点で目標の立案をしないように注意しましょう。

× 看護師目線:誤嚥させない
〇 利用者目線:誤嚥しない

曖昧な表現は避ける

看護・リハビリテーションの目標については、目標達成の目安を明確にすることも重要です。

× 曖昧な表現:なるべく長時間車いすで過ごす
〇 正しい表現:1日1回、30分間車いすに座って過ごす

また、このような具体的な目標を設定する際、達成困難な目標にしないことが大切です。

現在の利用者の状態に沿った内容かつ、短期で達成可能なものにする必要があります。

定期的に見直す

利用者の状態は日々変化します。また看護師等の介入による変化もあるため、問題点・解決策は定期的な見直しが必要です。

その際、問題の優先度も検討しつつ、何を課題とするのか適宜見直すことがポイントとなります。判断が難しい場合には、カンファレンスにかけることも有効です。

最低2年間の保存が必要

訪問看護計画書などの記録は、情報開示が求められることもあります。偽りのない内容を記載するとともに、最低2年間は保存することが必要です。

また、あまり病状の変わらない利用者の場合に、毎月内容をコピーしているだけになっているケースも見られますが、これは避けましょう。

利用者の小さな変化を見流さないようにするためにも、きちんと記載していくことが重要です。

訪問看護利用者のこれからを考えるために

今回は、訪問看護における計画書の書き方について解説しました。

計画書の内容は、ポイントを押さえて記載するとともに、定期的な見直しが必要です。

利用者一人ひとりに合わせた質の高いケアを提供していくためにも、訪問介護計画の立案は非常に重要な作業です。利用者の状態の変化に直結することもあります。

ケアプランの内容や主治医の指示を踏まえて、利用者やそのご家族に満足してもらえるような計画を立案していきましょう。