介護施設で行われるレクリエーションとは?実施例と効果を解説

2023/09/07

介護施設においては、利用者さまのために定期的にレクリエーションが実施されています。

レクリエーションは高齢者が楽しい時間を過ごすだけでなく、心身の健康を維持することも重要な目的です。

また、日々の楽しみがQOL向上につながることからも、重要視されています。

今回は、介護施設で行われる高齢者のためのレクリエーションの概要をはじめ、その効果や具体的な方法を紹介します。

介護施設で行われる高齢者レクリエーション

デイサービスや老人ホームなどの介護施設では、さまざまなレクリエーションが実施されています。その頻度や内容は、介護施設によって異なります。

単調になりがちな介護施設での生活にメリハリを与えたり、身体機能を向上させたりと、高齢者にとって重要な意味を持ちます。

レクリエーションを通じて他の人と交流することで、孤独感を減らし、心穏やかな暮らしが実現可能です。

利用者さまの健康維持と、自立した生活の継続という観点からも、高齢者レクリエーションは大きな役割を果たすと考えられます。

介護施設で行われるレクリエーションの効果

介護施設では、さまざまなレクリエーションが行われます。定期的に実施されることで、どのような効果が期待できるのか見ていきましょう。

利用者同士の交流を深める

1つ目の効果は、利用者間の交流が深められることです。スタッフとコミュニケーションをとったり信頼関係を構築したりすることもできます。

高齢になると、社会とのつながりが薄れ、1日のほとんどを施設や自宅で過ごす方も少なくありません。そのような環境下でレクリエーションに参加することにより、刺激がプラスされます。

すると、生きがいが感じられたり、コミュニケーションが促進されたりといった効果が期待できます。脳機能の維持にも有効です。

身体機能・脳機能の維持と向上

2つ目の効果は、身体機能・脳機能の維持と向上です。

介護施設で行われるレクリエーションは、高齢者が健康的な生活を送れるように考えられているため、身体機能や脳機能の維持・向上を目的とするものが多いことが特徴です。

加齢に伴い、身体機能や脳機能は低下しますが、このようなレクリエーションに参加することで、予防効果が期待できます。

生活習慣を整える

3つ目の効果は、生活習慣を整えることです。

身体を動かしたり、頭を使ったりする機会がないと、あまり食欲がわかず睡眠の質も悪くなることがあります。

レクリエーションに参加して日中にしっかり活動することで、おなかがすきやすく、深い眠りにつきやすくなります。

すると、生活習慣が整い、健康的な生活が送れます。

QOLを高める

4つ目の効果は、QOLの向上です。

身体を動かしたり、人とコミュニケーションをとったりすることは、日々の生活にメリハリが生まれ、QOL向上につながります。

また、レクリエーションの活動をとおして、一つのことをやり遂げたり継続したりすると達成感が得られます。

それは生きる喜びや目的につながり、何事にも前向きに取り組む姿勢へとつながります。

そうした環境づくりが、高齢者の生活の質を高めるうえで不可欠です。

介護施設で行われるレクリエーションの種類

介護施設で行われるレクリエーションの種類

介護施設でよく行われているレクリエーションはさまざまですが、大きくわけて5種類のレクリエーションがあります。

ここでは、5つのタイプと具体例を紹介します。

①身体を動かすレクリエーション

軽い運動や体操など、身体を動かすレクリエーションです。楽しみながら身体を動かすことで、身体機能や運動機能を高めるほか、リフレッシュ効果も期待できます。

▼身体を動かすレクリエーションの例

・ラジオ体操
・リハビリ体
・ボウリング
・風船バレー
・輪投げ
・バトンつなぎ など

点数を競い合ったり、チーム戦で戦ったりする要素のある運動は、より楽しく盛り上がれます。

その際は、誰もが勝てるチャンスがあるようにレベル設定することがポイントです。

②頭を使うレクリエーション

クイズや頭を使うゲーム、脳トレなど、頭を使うレクリエーションも有効です。認知症予防としても、ぜひ取り入れたい種類のレクリエーションといえます。

▼頭を使うレクリエーションの例

・ 脳トレクイズ
・ パズル
・クロスワード
・ しりとり
・間違い探し
・囲碁
・将棋 など

認知機能の衰えを予防するには、頭と同時に手を動かす要素があるとより効果的です。

③手先を使うレクリエーション

手や指を動かすことも、脳機能の低下を抑制します。また、創作物を作製することは、達成感を得やすいのもポイントです。

▼手先を使うレクリエーションの例

・折り紙
・編みもの
・手芸
・工作
・書道
・俳句
・絵手紙
・塗り絵
・料理 など

利用者同士で協力し合って一つの成果物を仕上げることも有効です。コミュニケーションの促進や、より大きな達成感を得ることにつながります。

④リフレッシュできるレクリエーション

とくに音楽を活用するレクリエーションは、リフレッシュ効果が期待できます。

高齢者の不安な気持ちやストレスを解消することにつながり、心穏やかな生活が送れるようになります。

▼リフレッシュできるレクリエーションの例

・ 合唱する
・カラオケ
・音楽を聴く
・楽器を演奏する など

リラックス効果のあるクラシックを聴くだけでなく、懐かしい曲を聴くことも効果的です。芸術鑑賞として、絵を見たり映画を観たりする方法もあります。

⑤外出するレクリエーション

介護施設や、利用者さまの心身の状態によっては、外出を伴うレクリエーションを行うこともあります。

外出すると、運動になるだけでなく、リフレッシュにも有効です。脳への刺激につながることもあるでしょう。

▼外出するレクリエーションの例

・散歩
・お花見
・動物園
・水族館
・観劇
・買いもの など

ただしデイサービス利用者の場合、レクリエーションが「効果的な機能訓練」として認められない外出だと介護保険外のサービスになるので注意が必要です。

高齢者レクリエーションを実施するときのコツ

高齢者レクリエーションを実施するときのコツ

介護施設で高齢者レクリエーションを実施するときは、次の5つを押さえておくと効果的です。

コツ①参加者のレベルに合わせた難易度設定

とくに複数人が参加するレクリエーションの場合、全員が楽しめるような内容、難易度にすることがコツです。

ルールが複雑な内容だと、楽しく参加できない利用者さまもいます。

反対に、レベルが低すぎると子ども扱いされているように感じ、自尊心を傷つけてしまう可能性もあるため配慮が必要です。

参加者の介護度や、運動機能、認知機能レベルをふまえて、できるだけ多くの人が参加できるような工夫が求められます。

コツ②参加を強制しない

せっかくレクリエーションを行うのであれば、できるだけ多くの人に参加してもらいたいと考えがちです。

しかし、体調や気分、身体の状態によっては参加することでかえってストレスに感じてしまうこともあります。

あくまでも自由参加とし、本人の意思を尊重する姿勢が重要です。

コツ③シミュレーションを行う

とくに身体を使うレクリエーションは、事故やケガなどのトラブルにつながる恐れがあるため注意が必要です。

さまざまなシチュエーションを想定して、事前にしっかりシミュレーションを行なうようにしましょう。

安全面には十分な配慮が求められます。

コツ④大きな声でハッキリと話す

レクリエーションを実施するときは、進行役が内容を説明したりサポートしたりすることがあります。

その際、声が小さく早口だと、参加者がうまく聞き取れず、信仰がスムーズにいきません。

高齢だと耳が遠いこともあるので、なるべく大きな声でハッキリと話すようにしましょう。

高齢者が聞き取れずレクリエーションがうまく進行できなくなってしまいます。

コツ⑤実施内容を振り返る

介護施設で定期的にレクリエーションを実施する場合、実施内容を振り返って、次の機会に活かすことも大事なコツです。

よりスムーズに、効果的にレクリエーションを行うためにも、課題や改善法を見直す必要があります。

介護施設のレクリエーションを実施して高齢者のよりよい生活を実現

介護施設で行われるレクリエーションは、高齢者の体や心の健康につながるだけでなく、コミュニケーションの場を提供できる重要な場所です。QOLの向上に有効な取り組みの一つでもあります。

レクリエーションの効果を意識しながら、「どうやったら楽しんでもらえるか」「満足度の高い内容となるのか」などを考えながら実施することが重要です。

安全面に十分配慮しながら、できるだけみんなが楽しんでもらえるレクリエーションを実施して、高齢者のよりよい生活を実現させましょう。