介護食の種類とは?老人ホーム入居前に施設による食事の違いを確認しておこう!

2023/09/06

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日々の楽しみの一つに食事をあげる方が多いと思います。

特に、年齢を重ね、体の自由が利かなくなって来られた方にとっては、日々の大きな楽しみの一つになっていることでしょう。

本コラムでは、施設への入居後困らないために、介護食を含めた食事の面からの施設の選び方を考えてみたいと思います。

日々の食事の大切さ

日々の食事の大切さ

健康で若いうち、食事の支度をする時間もないほど忙しい時には、簡単にファストフードで済ませてしまうこともあるかもしれません。

しかし、年齢を重ねると義歯の不具合や嚥下障害、持病による食事制限など、身体的、健康上の問題から、食べられるものが限られてしまうことがあります。

高齢者にとって、日々の大きな楽しみにもつながる食事は、若い世代以上に丁寧に選びたいものです。

介護施設を選ぶ際には、食事の献立表を入手し、以下のような観点から食事が作られているかを確認してみましょう。

栄養バランスが整ったメニューであるかどうか

私たちの体は、食べたものでできています。そのため、日々の栄養管理は大切です。

しかし、年齢を重ね、食べられる量が減っていくなか、実際どのようなものをどの程度食べるのがよいのか?を、きちんと把握するのは難しいですね。

しっかりと栄養が取れていなければ、栄養不足、さらにはフレイル(※1)に陥りやすくなってしまいます。

(※1)フレイル=加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像

料理は彩りよくおいしそうなものであるか

誰しも、幼いころの遠足でお弁当箱を開けるときのワクワク感を覚えておられることと思います。

また、おいしそうな食べ物が用意されると、とてもうれしいですね。料理はただ食べるだけではなく、おいしそう!とワクワクする気持ちを生み出します。

何気ない普段の食事であっても、ちょっとした添え物や小鉢がついていたり、料理の盛り付けに工夫がされていたりすると、おいしそう!と、気持ちが高まることもありますね。

日々の食事に少しの工夫やあしらいが加わっていることで、生活にめりはりがついたり、前向きな気持ちになれたりすることもあります。

旬の食材や行事食を大切にしているかどうか

四季がある国、日本では、正月のお節料理にはじまり、ひな祭り、こどもの日、七夕…と、行事食が多く作られます。

旬の食材を大切にすることからも、食事から季節の移り変わりを感じることができますね。

旬の食材や行事食は、子どものころや過去に住んでいた土地の記憶と重なることもあり、脳の活性化にも役立ちます。

また、旬の食材はその季節に体が求める栄養や健康効果をしっかりと含んでいるといわれています。

段階別、病態別の介護食を個人に合わせて用意できるかどうか

年齢を重ね、義歯や歯槽膿漏などの口腔状態、また、嚥下の状態によって、料理の柔らかさや形状を調整しなければなりません。

また、糖尿病や高血圧といった持病がある方は食事制限が必要になってきますね。

このように身体的、健康上の理由から、家族と同じ料理を食べることができず、介護食や療養食が必要な方もいらっしゃいます。

施設のメニュー表からは確認しづらい、個人の体調に合わせた献立を用意してもらえるかどうかも、大切なチェックポイントになります。

知っておきたい介護食の区分

介護食は、食べる方の咀嚼力・嚥下力に合わせて、4つの区分に分けられています。

分け方にはいくつかありますが、最も一般的なユニバーサルデザインフードの区分を見てみましょう。

知っておきたい介護食の区分

出典:日本介護食品協議会

噛める、飲み込めるといった基準は、おおまかには上の表のように区分されています。

このような基準のもとに調理してもらえるのか、小さく刻んで提供する刻み食への対応ができるのかどうかも確認しておきましょう。

病気による食事制限への対応

高齢になると、何等かの持病を抱えておられる方が増えていきます。

そのため、たんぱく質や塩分、また、カリウム、糖質などの摂取制限をしなければならない場合が多くなります。

病態により食事制限の程度は様々になるほか、中には介護食の項で述べたような、柔らかさにも配慮が必要なケースも出てきます。

個別に細やかに対応してもらえるのかどうかも、確認しておくほうがよいでしょう。

施設の見学時にはぜひ試食を

施設への入居を前提に見学に行くときは、できれば試食をさせてもらいましょう。料理の味付けには、個人の好みがあります。

ベースとなる味が、いずれ利用することになる高齢者様の好みに合うものなのかどうか、また、食事時間に同席させてもらうことで、施設ごとの食事対応を知ることができます。

元気なうちに入居をするのであっても、万が一食事介助が必要になった時にどのようなケアを受けることができるのかも、あらかじめ確認しておくと安心です。

まとめ

今回のコラムでは、介護施設、老人ホームへの入居を前提に、施設の献立表や見学時に選ぶポイント、ヒントになりそうなことがらをご紹介しました。

入居する予定のご本人だけでなく、できれば家族も一緒に見学に行き、施設の職員だけでなく、入居者の方が楽しそうに食事をされているかどうかもしっかりと確認されることをお勧めします。