介護食の特徴とは?高齢者が安全に食べるための注意点について解説

2025/12/19

介護食は噛む力や嚥下機能(飲み込みの機能)が弱くなった方でも、安全に食事ができるように調整された食事です。高齢者の食事の機能に合わせて食べやすいように設計されています。

「高齢者が食事中によくむせる」「歯が弱くて噛みづらい」などと、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、介護食の種類や選び方、安全に食べるための注意点について解説します。

「高齢者に安心して食事を摂って欲しい」「食べやすくて栄養のある食事を提供したい」という方は、ぜひ最後までお読みください。

介護食とは?

介護食とは、噛む力、嚥下機能(飲み込む機能)が弱い方でも食べやすいように工夫された食事のことです。加齢により歯の本数が減ったり飲み込みの反射が弱くなったりすると、食事がうまく摂取できなくなることが多くあります。

そのため、

  • 噛みやすい

 

など、食事の機能が低下した方でも食べやすく、かつ栄養バランスが整っているのが特徴です。

介護食は食べ物を柔らかくしただけでなく、高齢者が必要な栄養を補給しつつ、安全に食事が摂取できるように配慮されています。

介護食の区分と選び方について解説

1.スマイルケア食

スマイルケア食とは、噛む力や嚥下機能が弱い方でも、安心しておいしく摂取できる食品です。噛みやすく、飲み込みやすい食品を提供しています。
スマイルケア食は以下の3つに分類され、それぞれにマークが表示されています。以下がスマイルケア食の分類とマークの図です。

<スマイルケア食の分類とマーク>

出典1:スマイルケア食(新しい介護食品)(農林水産省)

このように、

  • 青マークは、栄養摂取が必要な方
  • 黄マークは、噛む力が弱い方
  • 赤マークは、嚥下機能が弱い方

 

の3種類に分けられ、食べる方の食事の機能に合ったものを選びます。

また、以下はスマイルケア食の適切な選び方を示した図です。質問に答えながら矢印を辿っていくと、対象者に合った食品がわかるようになっています。

<スマイルケア食の選び方>

出典1:スマイルケア食(新しい介護食品)(農林水産省)

高齢者の状態に合った食品を選択すると、食事をする負担が少なくなります。介護食を選ぶ際は、どの区分に当てはまるか確認してから購入しましょう。

2.ユニバーサルデザインフード

ユニバーサルデザインフードとは、介護食のみならず普段の食事でも使える、食べやすさに配慮した食品です。

種類も豊富で、

  • レトルト
  • 冷凍食品
  • とろみ調整食品(注1)

 

まで、幅広く揃えています。

また、それぞれの食品にはユニバーサルデザインフードマークが、とろみ調整食品にはとろみ調整食品マークが表示されています。

(注1)とろみ調整食品は、食べ物や飲み物に混ぜるだけで、とろみをつけることができる食品です。飲み込んだ際に食事がゆっくりとのどへと流れるため、誤嚥予防に役立ちます。

<ユニバーサルデザインフードマーク>

出典2:ユニバーサルデザインフードとは(日本介護食品協議会)

<とろみ調整食品マーク>

出典2:ユニバーサルデザインフードとは(日本介護食品協議会)

さらに、このマークがついた商品は「ユニバーサルデザインフード区分表」で、以下の4つに区分されます。

  • 容易に噛める
  • 歯ぐきでつぶせる
  • 舌でつぶせる
  • 噛まなくてよい

 

以下の区分表を参考にしながら、「噛む力、嚥下機能」を考慮して食品を選んでみましょう。

 

<ユニバーサルデザインフード区分表>

出典2:ユニバーサルデザインフードとは(日本介護食品協議会)

介護食の作り方や6つのポイントについて解説

1.  噛みやすいようにする

介護食を作る際は、高齢者が噛みやすいように工夫することが大切です。主に以下の方法をおすすめします。

<介護食の調理方法>

食材 内容
・筋を切る、ハンバーグやつくねなどの挽肉料理にする。

・鶏肉は皮を取る。

・骨がなく、水分や脂分がやや多いものを選ぶ。

・ネギトロ、つくね、ハンバーグなどにする。

野菜 ・歯茎でつぶせる程度に軟らかくする。

・トマト、ナスなどは皮をむく。

・葉物は食べやすい葉先を使う。

・繊維を断ち切る。

 

出典3:お年寄りの方に食事を作るときのポイントを教えてください。(千葉県)

出典4:嚥下(飲み込み)(順天堂東京江東高齢者医療センター)

出典5:食べやすくするための工夫(魚料理)(北療育医療センター)

このように、柔らかいものや噛みやすい状態にしたものを提供しましょう。

2.  飲み込みやすいようにする

嚥下機能が低下している方は、食事をするとむせることが多くなります。誤嚥した際に、咳をして食べ物を気管から出す機能が弱くなっているからです。そのため、飲み込みやすい食事を提供する必要があります。

飲み込みやすい食事の主な調理方法は、以下の通りです。

<飲み込みやすい食事の調理方法>

調理方法 内容
つなぎになる食材を使う 生クリーム、マヨネーズ、ヨーグルト、山芋など。
適度に水分を使う パンはフレンチトースト、卵はオムレツ、じゃがいもはマヨネーズ多めのポテトサラダなど。
とろみのついた料理にする かき玉、ポタージュスープ、カレー、シチュー、あんかけチャーハンなど。

 

出典3:お年寄りの方に食事を作るときのポイントを教えてください。(千葉県)

水分の少ないもの、パサつくものはのどごしが悪くなります。調理に油分、水分などを多めに使い、飲み込みやすくしましょう。

3.  たんぱく質を取り入れる

たんぱく質は健康維持に欠かせない大切な栄養素です。筋肉や血液を作り、ホルモンの調整や免疫力を高める効果もあります。たんぱく質が多く含まれている食材は、肉・魚・卵・大豆製品などです。

また、たんぱく質の摂取量は、男性は1日60g以上、女性は50g以上が推奨されています。

以下はたんぱく質を1日約60g摂取できるメニュー例です。

<たんぱく質を1日60g摂取できるメニュー>

食材 重量(g) たんぱく質の量(g)
ごはん(茶碗小盛3杯) 450(1杯150グラム) 9.0(1杯3グラム)
卵(Mサイズ1個) 55 6.2
豚ロース(薄切り5枚) 100 17.2
鯖(1切れ) 100 17.8
木綿豆腐(3分の1丁) 100 6.8

 

出典6:たんぱく質を意識してとりましょう(神戸SDGs市民績)

このように、1日3食の献立にたんぱく質を取り入れ、必要量を摂取できるようにしましょう。

4.  栄養バランスを考える

高齢者は食事摂取量が少ない傾向にあるため、栄養不足になりがちです。栄養が不足すると低栄養になり、筋力や免疫力が低下し、感染症などを発症する原因にもなります。

厚生労働省の調査では、高齢者で低栄養傾向の方は男性が12.2%、女性が22.4%に上ることがわかっています。以下は低栄養傾向の方の割合を表した図です。

<低栄養傾向の方の割合(65歳以上、性・年齢階級別)>

 

出典7:高齢者の低栄養予防(厚生労働省)

結果、男女ともに85歳以上になると、20%以上の方が低栄養傾向に陥っていることがわかります。

予防策として、食卓には主食・主菜・副菜を揃えましょう。豚汁やミネストローネのような具だくさんのスープもおすすめです。

栄養バランスの良い食事で、低栄養予防に努めてみてください。

5.  塩分を控えめにする

高齢者は加齢により味覚が感じづらくなってしまい、濃い味を好むようになる方もいます。塩分を取り過ぎると高血圧や心筋梗塞の原因になるため、注意が必要です。

そのため、以下のように塩分を抑えながら風味を加える調理方法をおすすめします。

<塩分を抑える調理方法のコツ>

うま味を効かせる ・出汁をしっかりとる

・かつお節を使う

油を取り入れる ・油のコクで塩分が少なめでも満足感が得られる

・マヨネーズやバターを使う

牛乳を取り入れる クリーム煮や汁物に牛乳を使う
香味野菜を取り入れる 生姜、にんにく、ねぎなどを使う

 

出典6:たんぱく質を意識してとりましょう(神戸SDGs市民績)

塩分量を抑えながら食事の風味を変えることで、薄味でも食欲が満たされ、食事量の増加につながる可能性があります。

6.おいしそうな見た目にする

介護食は見た目もおいしそうにすることが重要です。目で見て「おいしそう」と感じると、食欲が刺激されます。

例えば、

  • 彩りのある食材を使う
  • つやを出す
  • 食材の切り方を変える
  • 盛り付けを工夫する

 

などの工夫だけでも食事の印象が変わります。見た目を変えることで満足感が高まり、食事量が増えることもあるでしょう。

介護食の食材選びのポイントとは?

1.柔らかい食材・ぬめりがある食材を使う

介護食を作る際のポイントは、やわらかい食材・ぬめりがある食材を使うことです。噛みやすい、飲み込みやすい食材を選ぶ必要があります。

おすすめの主な食材は、以下の通りです。

<介護食におすすめの食材>

種類
野菜 ・なす

・ズッキーニ

・パプリカ

・玉ねぎ

・アボカド

・山芋

・里芋

・かぼちゃ

・大根

・かぶ

・ブロッコリー

・ほうれん草 など

・ヒレ肉

・しゃぶしゃぶ用の肉

・ひき肉

・鶏のささみ など

・銀ダラ

・鮭

・スズキ など

 

出典8:ソフト食づくりの基本ワザ(新富町)

介護食を作る際は、食べる機能が弱っている方でも食べやすい食材を使いましょう。

2.硬いもの・パサパサしている食材などは使用しない

おすすめの食材とは反対に、硬いものやパサつくものは誤嚥の原因になるため、使用しないほうが良いでしょう。介護食に向いていない食材は以下の通りです。

<介護食に向いていない食材>

種類
硬い ・ごぼう

・れんこん

・たけのこ

・いか

・たこ など

貼りつく ・海苔

・わかめ

・レタス

・もなかの皮 など

パサパサする ・パン

・ゆで卵

・カステラなど

粘り気が強い ・餅

・かまぼこ など

酸味が強い ・柑橘類

・酢の物 など

すすって食べる 麺類 など

 

出典9:二戸二戸健康レシピ(二戸市総合福祉センター 国保予防課 )

硬いものやパサつくもの以外にも、粘り気が強いものやすすって食べるものはむせの原因になるので使わないようにしましょう。酸味が強いものも、むせを誘発しやすいので控えた方が無難です。

介護食を提供する具体的な手順について解説

1.食事の準備の手順

  • 事前に排泄を済ませる。
  • テーブルを消毒し、清潔にする。
  • 食事前の声かけを行い、目を覚ましているか確認する
  • 口の中を清潔にして、口の中の状態を確認する。入れ歯があれば装着する
  • 誤嚥防止のため、口の中を湿らせておく。
  • 食前薬がある場合は服用する。

 

高齢者が快適に食事をするために、入念に準備しましょう。

2.椅子・車椅子で食事をする準備の手順

  • 深く椅子または車椅子に座り、足の裏は床にしっかりと着ける。
  • 頭は後ろに反らないようにし、あごを引く。
  • テーブルの高さは、テーブルに乗せた肘が90度になるくらいが望ましい。
  • 軽い前傾姿勢で重心を前にする。背中にクッションを入れると良い。

 

食事をする際に姿勢を良くするとむせづらくなります。意識して行ってみてください。

3.ベッド上で食事をする準備の手順

  • 自力摂取の場合は約90度、介助が必要な場合は約60度にギャッジアップする。
  • 腰はベッドの折り目にしっかりと合わせて、膝は軽く曲がるようにする。
  • 必要に応じて後頭部の後ろに枕やクッションを置いて、首が反り過ぎないようにする。

 

ベッド上で摂取する方も食べやすい姿勢を保つことで、誤嚥を予防できます。

4.食事介助の手順

  • 介助者の目線は高齢者と同じにする。
  • 1回の食事量はティースプーンに一杯程度が目安。
  • のどの動きを見て飲み込んだことを確認し、タイミングを見ながら次のスプーンを運ぶ。急かさないよう本人のペースに合わせる。
  • 1口飲み込んだ後、何回か唾液を飲み込んで、のどの奥に食物が残らないようにする。
  • 主食、副食、水分とバランスよく摂取できるようにする。

 

高齢者のペースを守りながら、安全に食事ができるようにしましょう。

5.  食後の手順

  • 食後は歯みがきや、入れ歯を洗って口腔内の清潔を保つ。
  • 胃や食道からの逆流を予防するため、食後はすぐに臥床せず30分は座っておく。
  • 食後薬がある場合は服用してもらう。

 

食後のケアは口腔内の清潔を保つためには重要なポイントです。忘れずに行いましょう。

出典10:健やかだより(白鳥病院訪問看護担当)

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飲み込みの反射や嚥下機能が弱くなった高齢者には、介護食を提供しましょう。

介護食は

  • 容易に噛める
  • 舌でつぶせる
  • そのままでも飲み込める

 

など、食事の機能が低下した方でも食べやすく、かつ栄養バランスが良いのが特徴です。

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