特養の食事代はいくらかかる?負担を減らす方法も合わせて解説!

2025/12/19

「特別養護老人ホーム(特養)に入れたから、これでお金の心配はなくなる」

もし、あなたがそう思って安心しているなら、少し危険かもしれません。かつて「終の棲家」として圧倒的なコストパフォーマンスを誇った特養ですが、2024年、2025年と続く制度改正、そして止まらない物価高騰の波が、その「安さ」の神話を揺るがしています。

特に今、現場で議論の的となっているのが「食事代」です。

この記事では、介護業界の最前線を知る編集長が、複雑な特養の食事代の仕組みを解説します。なぜ負担が増えるのか、施設側では何が起きているのか、そして賢い家族だけが実践している「負担を減らすテクニック」まで、お伝えします。

こだわりシェフおてがるシェフ

目次

1. そもそも「特養の食事代」はどう決まる?知られざるカラクリ

まず、基本となる「お金の仕組み」を整理しましょう。特養の請求書を見て「思ったより高い」と感じる原因の多くは、この基本構造の誤解にあります。

国が決める「基準費用額」と「実費」のギャップ

特養の食費は、施設が自由に決められるわけではありません。厚生労働省が「平均的な食事コストはこれくらい」と定めた基準費用額というものがあります。

  • 基準費用額(日額):1,445円(2025年12月現在)

これは「朝・昼・夕の3食とおやつ」を含んだ金額の目安です。しかし、ここには大きな落とし穴があります。この1,445円という金額は、近年の猛烈なインフレを十分に反映できていません。

実際、2025年11月に発表された調査によると、入所者1人あたりの実際の食事コスト(実勢価格)は約1,788円に達しています。つまり、施設側は1人1日あたり約343円もの赤字を抱えながら食事を提供しているのが実情です。

この「見えない赤字」が、巡り巡ってサービスの質や、今後の料金改定に跳ね返ってくるのです。

「おやつ」や「イベント食」は別腹?

「基準費用額」に含まれるのは、あくまで基本的な食事のみです。

  • 特別メニュー(行事食):お寿司や敬老の日の御膳など
  • 嗜好品:個人的に楽しむお菓子やアルコール
  • 選べるメニュー(アラカルト)

これらは「利用者の希望」として、別料金が請求されることが一般的です 。また、特養の食事代は原則非課税ですが、こうした「特別な食事」には消費税がかかるケースもあるため、請求明細は毎月しっかりチェックしましょう

2. 資産の壁とは?あなたの親はどの段階?

特養の費用負担で最も重要なのが、「負担限度額認定制度」です。所得や資産に応じて、食費と居住費(部屋代)が4つの段階に分けられ、安く利用できる仕組みです。

しかし、ここには「1円の差で天国と地獄」が分かれる厳しいラインが存在します。

第1段階〜第4段階の「運命の分かれ道」

以下の表で、ご家族がどこに当てはまるか確認してください(2025年8月改定版準拠)

段階 対象者の目安(所得) 資産要件(預貯金等) 食費負担(日額) 月額目安(30日)
第1段階 生活保護受給者など 単身1,000万円以下 300円 9,000円
第2段階 非課税世帯+年金80.9万円以下 単身650万円以下 390円 11,700円
第3段階① 非課税世帯+年金120万円以下 単身550万円以下 650円 19,500円
第3段階② 非課税世帯+年金120万円超 単身500万円以下 1,360円 40,800円
第4段階 上記以外(課税世帯など) 基準なし 1,445円(全額) 43,350円

注意すべき「500万円の壁」

特に注意が必要なのが第3段階②です。

もし、お父様の預貯金が501万円あったとしましょう。たった1万円、基準の「500万円」を超えているだけで、認定を受けられず第4段階(全額自己負担)になってしまいます。

  • 第3段階②なら:月額 約40,800円
  • 第4段階なら:月額 約43,350円

「あれ? 数千円しか変わらない?」と思われたかもしれません。しかし、これは食費だけの話です。居住費(部屋代)も同時に跳ね上がります。トータルで見ると、月額数万円単位の負担増になるケースがほとんどです

3. 2024年・2025年の制度改正で何が変わった?

介護保険制度は3年に一度大きく変わりますが、最近は毎年のように負担増のニュースが続いています。

【2024年8月】居住費が月1,800円アップ

すでに実施されていますが、特養の居住費(光熱水費相当)が日額60円引き上げられました 7。

「たった60円」と侮ってはいけません。月額で約1,800円、年間で2万円以上の負担増です。年金生活の高齢者にとっては痛手です。

【2025年8月】多床室の室料負担(特養はセーフ?)

2025年8月から、老健(介護老人保健施設)などの多床室(相部屋)で、新たに月額8,000円程度の「室料負担」が導入されました 。

しかし、特養の多床室はこの対象外となっています。つまり、相対的に見れば「特養の安さ」が際立つ結果となり、これまで以上に特養への入所希望者が殺到し、待機期間が長くなることが予想されます。

【2025年12月】食費基準額の引き上げ議論

そして今、最も注目されているのが「食費そのもの」の値上げ議論です。

厚生労働省の審議会では、実勢価格との乖離(343円の赤字)を埋めるため、基準費用額自体の引き上げが検討されています。もしこれが決定すれば、第4段階の方の負担額は、2026年以降さらに上がることになるでしょう。

4. 家族が今すぐできる「3つの防衛策」

制度は変えられませんが、知識で武装することはできます。最後に、賢い家族が実践しているテクニックを紹介します。

① 「世帯分離」で負担段階を下げる

これが最強の節約術です。

特養の費用は「世帯の課税状況」で決まります。親と子が同じ住民票(世帯)にいて、子に一定の収入がある場合、親の年金が少なくても「課税世帯(第4段階)」とみなされます。

そこで、役所で「世帯分離」の手続きを行い、親を単独世帯にします。親本人の所得が低ければ、非課税世帯(第2・3段階)として認定され、月額費用が数万円安くなる可能性があります 。

※ただし、夫婦間での世帯分離には制限(配偶者ルール)があるため、役所の窓口で相談が必要です。

② 更新時期(7月)前の「資産調整」

負担限度額認定証は、毎年夏(7月末)に更新があります。この時、通帳のコピーを提出し、預貯金額のチェックを受けます。

もし更新直前に「500万円の壁」を超えそうなら、その前に必要な支出を済ませましょう。

  • 古くなった車椅子の買い替え
  • 入れ歯や補聴器の調整
  • 施設で使う衣類や家具の購入

これらは「資産隠し」ではなく、必要な生活防衛です。有効にお金を使って、資産要件をクリアしましょう。

③ 入院・外泊時の「欠食届」を忘れずに

特養の食費は、食べた分だけ支払うのが原則ですが、急なキャンセルには費用が発生することがあります。

多くの施設では「○日前の○時までに届け出があれば欠食扱いにする」というルールがあります 。

  • 「年末年始に数日帰宅する」
  • 「検査入院が決まった」

こうした予定が分かった時点で、すぐに施設へ連絡しましょう。これだけで数千円の節約になります。

【導入事例】共生型サービスのケース

特養に限らず、食材費高騰や人手不足はすべての介護施設に共通する課題です。
だからこそ、より複雑な制度の中で運営されている“共生型サービス”の成功事例には、大きなヒントがあります。

ここでは、広島県の共生型サービスの企業様が、
どのように食事提供の課題を解決したのかをご紹介します。

人手不足とコスト課題を同時に解決した“高品質冷凍食材”という選択

広島県で高齢者と障がい者の双方を受け入れる共生型サービスを展開する企業様に、施設立ち上げ時に「こだわりシェフ」を導入して頂きました。

導入の背景には、現場ならではの課題と、それを解決するための明確な理由がありました。

導入の決め手①:高齢者・障がい者の双方に対応

多くの高齢者向け配食サービスは、障がい者施設で求められる 「食事提供体制加算」 の要件を満たせないケースがあります。
そうなると加算が取れず、結果として施設のコスト負担が増えることに。

その点「こだわりシェフ」は制度に適合しており、
共生型施設でも無理なく活用できる点が大きな導入理由だったといいます。

導入の決め手②:廃棄ロスをほぼゼロに

お弁当型サービスでは、最低注文数や消費期限の短さから廃棄が出てしまうことが課題でした。

冷凍パック型なら、

  • 必要な分だけ使用
  • 余った食材は冷凍保存して後日提供

ができるため、食材ロスを根本から削減できます。

代表は、
「食材の無駄が出ないのは本当に大きい」
とその効果を実感されています。

導入の決め手③:利用者からの“味”の評価が高い

食事の満足度は、サービス継続の大きな決め手です。

他施設から移ってきた利用者様が、
「前の施設より美味しい」
と喜んでくれたという声もあったとのこと。

品質面でも、従来の「冷凍=味が落ちる」というイメージを覆す結果となっています。

導入後の効果:初期費用を抑えながらスムーズに開始

施設開設時には、炊飯器や冷凍庫をはじめとした各種機器のレンタルオプションも活用され、
初期投資を抑えつつスムーズに食事提供体制を構築できた点も評価いただきました。

まとめ

今回の事例は、
「制度への適合」×「コスト最適化」×「味・満足度」
をバランスよく実現した、現代型施設運営の成功例です。

人手不足や物価高の中でも質を落とさず運営したい、
そんな施設ほど、高品質冷凍食材という選択が有効であることを示すケースとなりました。

こだわりシェフおてがるシェフ

よくある質問

特養の費用に関しては、制度が複雑で分かりにくい部分が多くあります。ここでは、よくある質問を紹介していきます。

Q1. 特養の食事代は「医療費控除」の対象になりますか?

A. はい、対象になりますが、計算方法に注意が必要です。 特別養護老人ホーム(特養)の場合、施設サービスの対価(介護費、食費、居住費の合計)として支払った自己負担額の「2分の1」が医療費控除の対象となります。 有料老人ホームでは食費が対象外となるケースが多いですが、特養は「介護老人福祉施設」として医療費控除の特例が認められています。年末調整や確定申告のために、領収書は必ず保管しておきましょう。

Q2. 入院や外泊で施設にいなかった場合、食費は返ってきますか?

A. 事前に届け出れば、食べた分だけの請求になります。 特養の食費は基本的に「1日3食」単位などで計算されますが、入院や外泊で食事をとらなかった場合は、その分の費用は請求されません(または返還されます)。 ただし、多くの施設では「欠食届は3日前の○時まで」といった期限(キャンセル規定)を設けています。急な入院などで食材の発注が止められなかった当日の分などは、費用が発生する場合があるため、施設の重要事項説明書を確認してください。

Q3. 「おやつ代」は食費に含まれていますか?それとも別料金ですか?

A. 全員に提供されるおやつは「食費」に含まれます。 午後3時などに利用者全員に提供される標準的なおやつは、基準費用額(食費)の中に含まれているため、別途徴収されることは原則ありません。 ただし、利用者個人が希望して購入したお菓子(個人的な嗜好品)や、イベント時の特別なデザートなどは「日常生活費」や「特別食」として実費請求されることがあります。

Q4. 食費が高くなったので「高額介護サービス費」で戻ってきますか?

A. いいえ、食費は対象外です。 「高額介護サービス費」は、1ヶ月の介護サービス利用料(1割〜3割負担部分)が上限を超えた場合に払い戻される制度ですが、食費と居住費(滞在費)はこの制度の対象外です 。 食費の負担を減らすには、記事内で解説した「負担限度額認定(資産要件のクリア)」を受けるしかありません。だからこそ、世帯分離や資産管理による対策が非常に重要なのです。

まとめ:品質とコストのバランスを見極めよう

特養の食事代は、今後も上昇圧力が続くことは間違いありません。

しかし、ただ不安になるのではなく、今回紹介した「負担限度額の仕組み」を理解し、「世帯分離」などの対策をとることで、家計への影響は最小限に抑えられます。

また、施設選びの際は、「食事は手作りですか?」と聞くだけでなく、「どのような工夫でコストと味を両立していますか?」と聞いてみてください。「こだわりシェフ」のような高品質な完調品を導入している施設は、経営感覚が鋭く、スタッフの働き方改革にも熱心な「良い施設」である可能性が高いと言えます。

大切なご家族が、美味しい食事を楽しみながら、経済的にも安心して暮らせるよう、ぜひご自身にあった選択をしてください。

「人手不足」や「コスト」など、施設のお食事に関するお悩みはありませんか?

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「委託費や食材費の値上げで、食事部門が赤字だ」

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※本記事の内容は一般的な制度の概要説明であり、個別の税務・社会保険等のアドバイスではありません。
最終的な取り扱いについては、お住まいの市区町村窓口や税理士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

 

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