高齢者の元気の定義とは?基本チェックリストをご紹介

アイキャッチ

たまたま高齢者様と電車やバスで乗り合わせ、席を譲ろうとした時、「年寄り扱いするな!」と怒られたり、逆に「席を譲ってもらえない」と言われたりしたことはありませんか?

高齢者とはいったい何歳から?また、何をもって元気というのかはなかなか難しいところですね。

今回はそんな高齢者様の元気をはかるバロメーターについて考えてみましょう。

「高齢」の定義とは?

日本は、世界でも特に高齢化が進んでいる国の一つです。では、高齢者とは何歳からを指すのでしょうか?

世界保健機関(WHO)では、高齢者を65歳以上と定義しています。

また、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)では、「65-74歳までを前期高齢者」、「75歳以上を後期高齢者」と呼ぶとしています。

しかし、同じ80歳の方を比べてみても、何らかの疾患や認知症を発症してしまった方、持病がないにもかかわらず、日常生活に何らかのサポートが必要になってしまった方がいる一方で、日常の家事だけでなく、毎日ウォーキングや庭仕事、畑仕事をこなしておられる方もいらっしゃいます。

一般的な年齢だけでは、その方が元気でいらっしゃるかどうかを計ることはできませんね。

元気の基準を考える

元気の基準を考える

高齢になっても身の回りのことはできるだけ自分でこなし、毎日趣味を楽しむなど、充実した日々を過ごしていただきたいものですね。

そのためには、当然ながら「元気」でなくてはなりません。

元気の定義とは?

年齢をかさね、仕事や子育てが終わった世代の方々にとって、どのような生活が理想でしょうか?

例えば、たっぷりの時間があり、趣味を楽しむことができる。病気を抱えることなく、食べたいものを食べることができる。

自分の身の回りの世話は自分で行うことができる。常にプラス思考で物事をとらえることができる。

一人一人の環境は様々なので、趣味や生活において重きを置く部分は当然変わってきますが、このように理想の暮らしに沿った生活ができているかどうか、ということは、元気であることの定義の一つですね。

心身ともにいかに健康であるかを知るために

ご両親様が健康で元気である、とは思っていても、他の高齢者様と比べ、どのように健康であるか、どの程度生活機能が低下しているかを知るために使うツールとして、「基本チェックリスト」があります。

基本チェックリストは、2006年の介護保険制度改正時に、介護予防把握事業の一部として導入されました。

介護に関する総合事業サービスを受ける際に行う心身の状態を確かめるためのチェックリストですが、これを用いて現在の高齢者様の状態を把握することができます。

No. 質問事項 回答  
1. バスや電車で1人で外出していますか 0.はい 1.いいえ 日常の生活に関する動作について
2. 日用品の買い物をしていますか 0.はい 1.いいえ
3. 預貯金の出し入れをしていますか 0.はい 1.いいえ
4. 友人の家を訪ねていますか 0.はい 1.いいえ
5. 家族や友人の相談にのっていますか 0.はい 1.いいえ
6. 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか 0.はい 1.いいえ 運動機能について
7. 椅子に座った状態から何もつかまらずにたちあがっていますか 0.はい 1.いいえ
8. 15 分くらい続けて歩いていますか 0.はい 1.いいえ
9. この 1 年間に転んだことがありますか 0.はい 1.いいえ
10. 転倒に対する不安は大きいですか 0.はい 1.いいえ
11. 6 ヵ月間で 2~3kg 以上の体重減少がありましたか 0.はい 1.いいえ 低栄養状態について
12. 身長 cm 体重 kg(BMI= )(注) 0.はい 1.いいえ
13. 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか 0.はい 1.いいえ 口腔機能について
14. お茶や汁物等でむせることがありますか 0.はい 1.いいえ
15. 口の渇きが気になりますか 0.はい 1.いいえ
16. 週に1回以上は外出していますか 0.はい 1.いいえ 閉じこもりについて
17. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか 0.はい 1.いいえ
18. 周りの人から「いつも同じことを聞く」などの物忘れがあるといわれますか 0.はい 1.いいえ 認知機能について
19. 自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか 0.はい 1.いいえ
20. 今日が何月何日かわからない時がありますか 0.はい 1.いいえ
21. (ここ2週間)毎日の生活に充実感がない 0.はい 1.いいえ 抑うつ気分について
22. (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった 0.はい 1.いいえ
23. (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる 0.はい 1.いいえ
24. (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない 0.はい 1.いいえ
25. (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする 0.はい 1.いいえ

(注)BMI(=体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m))が 18.5 未満の場合に該当とする。

上記リストを「はい、いいえ」で回答し、抑うつ気分を除いた20項目中10項目以上を「はい」で回答した場合、近い将来、自立機能を失う危険がある、つまりは元気でいることが難しくなる可能性があるとされています。

心身の健康状態は、風邪を引いて少し寝込んでしまった、かわいがっていたペットと悲しい別れがあった、などといったことでも変化します。毎月決まった日にチェックをして、健康状態を確認しておくとよいですね。

いつまでも元気でいるために必要なこと

このように、心身の健康状態を確認して継続してケアを行っていく以外に、高齢者様が元気でいられるためには、毎日を楽しく充実して過ごすのが一番です。

趣味を持つ

若いころであれば、残念ながら仕事や子育てに時間を割くため、趣味を楽しむ時間が取れない方も多くいらっしゃいます。

しかし、高齢になって仕事を引退し、子どもが自立している方の場合は、家事を行う時間や孫のお世話などを除いて、比較的時間を作りやすくなります。

空いた時間を、昼寝や座ってテレビを見るだけで過ごすのではなく、例えば何かの趣味を見つけてみてはいかがでしょうか?

趣味を持つ

新たに始める趣味のために、外出し、共通の趣味がある友人ができることもあるでしょう。

また、手先を使うことならば、何かを考えるきっかけが生まれ、脳の活性化にもつながりますね。

スポーツを楽しむ

趣味の一つとして、ウォーキングや、ゲートボールなどのスポーツもおススメです。

残念ながら、若い世代のようにハードなスポーツを高齢になってから始めるのは少し無理があるかもしれませんが、それぞれの体力に応じたスポーツを少しずつ始めることで、筋力の低下を抑え、フレイルの予防にもなります。

学生の頃にやっていたスポーツがあるのなら、久しぶりに始めてみるのもよいですね。

スポーツを楽しむ

今できる最上の笑顔で楽しむ

高齢でも、趣味に、自身の身の回りの世話にと、忙しくも元気に過ごすのは、多くの方が思い描く理想の老後の姿だと思います。

しかし、残念ながら筋力が衰えたり、なんらかの持病や認知症などが出てきたりする方もいらっしゃいます。

そうなると、もう元気ではいられない?いえ、そんなことはないと思います。

どうしても避けられない老化ではありますが、今できる最上の笑顔で、楽しめることがあることこそ、高齢者様の元気の定義ではないでしょうか?