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高齢者の食事が楽しくなる工夫とは?食べない原因から実践的な解決策まで徹底解説
2025/10/17

高齢のご家族の食が細くなり、「食事を楽しめていないのでは?」と心配になることはありませんか。
食事は、単に栄養を摂るためだけの行為ではありません。
特に高齢者にとっては、日々の生活に彩りを与え、生きる意欲にもつながる大切な時間です 。
しかし、加齢による心身の変化や環境要因によって、食事を楽しめなくなる方は少なくありません。
この記事では、高齢者が食事を楽しめなくなる原因を深く掘り下げ、今日から実践できる具体的な解決策を解説します。
また、介護するご家族の負担を軽くするヒントもあわせて紹介します。
目次
高齢者にとって「食事の楽しみ」が重要な理由
高齢者にとって、食事を楽しむことは心と体の健康を維持する上で非常に重要です。
なぜなら「美味しい」と感じる気持ちや、誰かと食卓を囲む喜びは、生活の質(QOL)を向上させ、前向きな気持ちを引き出します 。
人は満腹になると「幸せホルモン」とも呼ばれるオキシトシンが分泌され、幸福感を得られることがわかっています 。
食事を楽しむという行為は、このような生理的な満足感にも直結しているのです。
しかし、この「食事の楽しみ」が失われると、深刻な健康問題につながる危険性があります。
それが「低栄養」です。
この割合は年齢とともに増加し、特に85歳以上で顕著です 。
食事を楽しめなくなると食欲が低下し、食事量が減ります。
その結果、体に必要なエネルギーや栄養素が不足し、低栄養状態に陥るのです。
低栄養は、筋力や免疫力の低下を招き、転倒や骨折、感染症のリスクを高めるだけでなく、気力や認知機能の低下にもつながる可能性があります 。
このように、食事の楽しみは単なる気分の問題ではなく、高齢者の健康と自立した生活を守るための重要な要素です。
食事の楽しみを取り戻すことは、低栄養を防ぎ、健やかな毎日を送るための第一歩といえるでしょう。
高齢者が食事を楽しめなくなる主な原因

高齢者が食事を楽しめなくなる背景には、一つではなく、複数の原因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。
原因を正しく理解することが、適切な対策を見つけるための鍵となります。
ここでは、主な原因を「身体的」「病気・薬」「心理的・社会的」の3つの側面に分けて詳しく見ていきましょう。
身体的な変化による原因
加齢に伴う身体機能の自然な変化は、食欲に直接的な影響を与えます。
ご本人が「食べたいのに食べられない」と感じる背景には、以下のような身体的な問題が隠れている場合があります。
味覚・嗅覚の低下
味を感じるための器官である「味蕾(みらい)」の数は、加齢とともに減少し、新生児期に比べると高齢者は半分から3分の1になるともいわれています 。
特に「塩味」「酸味」「苦味」を感じにくくなる傾向があり、料理が物足りなく感じられるようになります 。
また、においを感じる嗅細胞も減少するため、料理の風味が分かりにくくなり、食事が味気ないものになってしまいます 。
咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)機能の低下
食べ物を噛み砕く「咀嚼」と、飲み込む「嚥下」の機能は、年齢とともに衰えていきます。
顎の筋力低下や歯の喪失、合わない入れ歯などにより、硬いものや繊維質の多いものが食べにくくなります 。
また、飲み込む力が弱くなると、食事中にむせたり、食べ物が気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」への不安から、食べること自体が苦痛になってしまうことがあります 。
口腔内のトラブル
合わない入れ歯は、食事中に痛みや違和感を生じさせ、大きなストレスとなります 。
その結果、食事そのものを楽しめなくなり、食べやすい特定の食品ばかりを食べるようになることもあります 。
また、加齢や薬の副作用で唾液の分泌量が減ると口の中が乾きやすくなり、食べ物が飲み込みにくくなる原因にもなります 。
消化機能の低下
胃腸の働きも加齢とともに低下し、消化に時間がかかるようになります。
そのため、少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになったり、胃もたれや便秘を起こしやすくなったりします 。
このような不快感が、食欲不振につながることがあります。
これらの身体的変化は、一つが起こると他の問題を引き起こす悪循環に陥りやすい特徴があります。
例えば、入れ歯が合わないために肉を避けるようになると、筋肉の維持に必要なタンパク質や、味覚に重要な亜鉛が不足します。
亜鉛が不足すると味覚障害が進行し、さらに食欲が低下するという連鎖が起こりうるのです 。
根本的な原因(この場合は入れ歯の調整)に対処することが、食欲回復の近道になる場合があります。
病気や薬の影響による原因
食欲不振が、何らかの病気のサインであったり、服用中の薬の副作用であったりする可能性も考えられます。
食事の様子に変化が見られた場合は、これらの要因も視野に入れることが大切です。
認知症の影響
認知症が進行すると、食べ物を認識できなくなる「失認」や、箸やスプーンの使い方が分からなくなる「失行」といった症状が現れることがあります 。
これは「食欲がない」のではなく、食べる行為自体が困難になっている状態です。
また、認知症の周辺症状である「アパシー(無気力・無関心)」によって、食事への意欲そのものが失われてしまうこともあります 。
うつ病や気分の落ち込み
高齢期は、大切な人との死別や役割の喪失など、気分の落ち込みにつながる出来事が増える時期です。
うつ病や抑うつ状態になると、何事にも興味や関心がなくなり、食欲も著しく低下することがあります 。
慢性疾患や体調不良
がんや胃腸の病気、逆流性食道炎、慢性的な便秘といった疾患は、直接的に食欲不振を引き起こします 。
また、風邪やインフルエンザなどの一時的な体調不良でも、食欲は低下します 。
薬の副作用
高齢者は複数の薬を服用していることが多く、薬の副作用が食欲に影響しているケースも少なくありません。
鎮痛剤や心不全の治療薬、抗うつ薬など、様々な薬が食欲不振や味覚の変化、吐き気などの原因となり得ます 。
新しい薬を飲み始めてから食欲が落ちた場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
心理的・社会的な要因
食事は身体的な活動であると同時に、心理的・社会的な側面も強く持っています。
特に高齢者にとっては、心の状態や生活環境が食欲に大きく影響します。
孤食(一人で食事をすること)
一人で食べる「孤食」は、食事の楽しさを半減させる大きな要因です 。
会話のない静かな食卓では、食事は単なる作業になりがちです。
誰かと一緒に「おいしいね」と語り合いながら食べることで、食事は楽しくなり、食も進みます 。
ストレスや環境の変化
配偶者との死別、住み慣れた家からの転居、施設への入所といった大きな環境の変化は、強いストレスとなり食欲を奪います 。
慣れない環境や人間関係の中で、安心して食事を摂ることが難しくなるのです。
生活意欲の低下や役割の喪失
定年退職や子どもの独立などにより、社会的役割を失うと、生活全体への意欲が低下することがあります。
「誰かのために食事を作る」といった目的がなくなると、食事の準備が億劫になり、食事への関心も薄れてしまいがちです 。
買い物や調理の負担
加齢により身体機能が低下すると、買い物や調理自体が大きな負担になります。この負担感から、食事の準備を簡単なもので済ませたり、食事を抜いたりすることが増え、食生活が乱れる原因となります。
このように、食欲低下の背景には、ご本人の心の問題や取り巻く環境が深く関わっています。食事そのものだけでなく、ご本人がどのような気持ちで毎日を過ごしているかに目を向けることが、解決の糸口となるでしょう。
食事の楽しみを取り戻すための具体的な工夫9選

原因が多岐にわたるように、解決策も一つではありません。
ここでは、ご家庭ですぐに試せる食事の楽しみを取り戻すための具体的な工夫を9つ紹介します。
ご本人の状態に合わせて、できそうなことから取り入れてみてください。
【工夫1】五感を刺激して食欲を引き出す
食事は味覚だけでなく、見た目、香り、音、食感といった五感全体で楽しむものです 。
五感を意識的に刺激することで、眠っている食欲を呼び覚ますことができます。
視覚:目で楽しむ
料理は見た目が大切です。赤、黄、緑といった彩り豊かな食材を使うと、食卓が華やかになり食欲をそそります。きれいなお皿やランチョンマットを使うだけでも気分が変わります。
嗅覚:香りで誘う
出汁の香り、スパイスやハーブの香り、ご飯の炊ける匂いなどは、食欲を刺激する強力なスイッチです。調理中にキッチンの近くにいてもらうのも良い方法です。
聴覚:音で期待感を高める
ジュージューと食材を焼く音や、トントンと野菜を切る音は、食事への期待感を高めます。また、家族の楽しそうな会話や心地よい音楽も、食事を美味しく感じさせます。
味覚:味付けで満足感を
味を感じにくい場合は、塩分を増やすのではなく、出汁の旨味や薬味、酢や香辛料をアクセントに使いましょう。味に深みと変化が生まれます。
触覚:温度や食感で変化を
料理は適切な温度で提供することが基本です。温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま出すことで、より美味しく感じられます。また、飲み込む力に問題がなければ、「サクッ」「ふわっ」といった食感のコントラストを残すことも楽しみにつながります
【工夫2】本人の好みや思い出の味を取り入れる
ご本人が「食べたい」と思うものを用意することが、何よりの食欲増進剤になります。
好きな料理や、子どもの頃に食べた懐かしい故郷の味(ふるさとの味)などをメニューに取り入れてみましょう 。
「今日は何が食べたい?」と尋ね、食事の決定に参加してもらうことも、食事への意欲を高める上で効果的です 。
【工夫3】季節感のある食材や行事食で変化をつける
旬の食材は栄養価が高く、味も濃いため、食事の満足度を高めてくれます。
春にはたけのこご飯、夏には冷やし中華、秋には栗ご飯、冬にはお鍋など、季節を感じるメニューは食卓に変化と楽しみをもたらします 。
お正月のおせち料理やクリスマスのチキンなど、特別な行事食を用意することも、良い刺激になります 。
【工夫4】誰かと一緒に食べる「共食」の機会を作る
一人で食べる「孤食」を避け、誰かと一緒に食べる「共食」の機会を意識的に作りましょう 。
家族や友人と食卓を囲む時間は、食事を美味しくする最高のスパイスです 。
遠方に住んでいる場合は、定期的に訪問して一緒に食事をする、あるいはテレビ電話をつないで顔を見ながら食事をするだけでも、孤独感の軽減につながります。
【工夫5】食事に集中できる環境を整える
食事中は、食べることに集中できる環境を整えることが大切です。
テレビがついていると、注意が散漫になり、特に嚥下機能が低下している場合は誤嚥のリスクが高まります 。
食事の前にトイレを済ませ、ゆったりと落ち着いた雰囲気の中で食事ができるよう配慮しましょう 。
【工夫6】食べやすい調理法や食器を選ぶ
食材が硬くて食べにくい場合は、調理法を工夫しましょう。肉の筋を切ったり、野菜の繊維を断ち切るように切ったりするだけで、格段に食べやすくなります。「煮る」「蒸す」といった調理法や、圧力鍋の活用もおすすめです。
また、持ち手が太いスプーンやすくいやすいお皿などの自助食器(福祉用具)を使うことも、食べる意欲につながります 。
【工夫7】少量でも栄養価を高める工夫をする
一度にたくさん食べられない場合は、少量でも効率よく栄養が摂れるように工夫しましょう。
例えば、パンにバターやチーズをのせる、サラダにマヨネーズやツナを加える、味噌汁に卵を落とすといった簡単な工夫で、エネルギーやタンパク質を補給できます 。
食事の際は、ご飯や汁物でお腹がいっぱいになる前に、筋肉の材料となるタンパク質が豊富な主菜(肉や魚、卵、大豆製品)から先に食べてもらうのも良い方法です 。
【工夫8】時には外食や中食(惣菜)も活用する
毎日手作りの食事を用意するのは大変です。時には気分転換を兼ねて外食をしたり、お店の弁当や惣菜(中食)を活用したりするのも良いでしょう。いつもと違う環境や目新しいメニューが食欲を刺激することもあります。介護者の負担軽減にもつながり、心に余裕が生まれることで、より穏やかに本人と接することができるようになります。
【工夫9】長生きにつながる食材を意識する
健康寿命を延ばすためには、日々の食事で摂る食材も重要です。
筋肉の衰え(フレイル)を防ぐためには、肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質が欠かせません 。
骨を丈夫にするカルシウム(乳製品、小魚など)や、体の調子を整えるビタミン・ミネラル(野菜、果物)もバランスよく摂ることが大切です 。
特に、サバやイワシなどの青魚に含まれるDHA・EPAは、健康維持に役立つとされています 。これらの食材を意識的にメニューに取り入れることで、食事を楽しみながら健康な体づくりを目指しましょう。
飲み込む力が心配なときは?安全に美味しく食べるための嚥下調整食

加齢とともに飲み込む力(嚥下機能)が低下すると、誤嚥のリスクが高まり、食事への不安が大きくなります。
しかし、適切な工夫をすれば、安全を確保しながら食事を楽しむことは可能です。
ここでは、嚥下機能が低下した方向けの食事(嚥下調整食)のポイントを解説します。
食べやすい食事形態と調理のポイント
嚥下調整食とは、本人の飲み込む力に合わせて食事の形態を調整したものです。代表的なものに、きざみ食、ミキサー食、ゼリー食などがあります。調理の際は、以下のポイントを意識しましょう。
調理の際は、以下のポイントを意識しましょう。
十分に加熱して柔らかくする
食材は、時間をかけて「煮る」「蒸す」などして、舌でつぶせるくらいの柔らかさを目指します 。
とろみをつける
水やお茶、汁物などのサラサラした液体は、気管に入りやすく誤嚥の原因になります。
市販のとろみ調整食品を使って適度なとろみをつけることで、喉をゆっくり通過し、飲み込みやすくなります 。
まとまりやすくする
きざみ食やひき肉など、口の中でバラバラになりやすい食品は、あんでまとめたり、マヨネーズや卵をつなぎに使ったりすると、一つの塊として飲み込みやすくなります 。
食べやすい食品・避けるべき食品リスト
安全に食事を進めるためには、食材選びも重要です。
以下の表を参考に、食べやすい食品と、注意が必要な食品を把握しておきましょう。
安全に食事を進めるためには、食材選びも重要です。 以下の表を参考に、食べやすい食品と、注意が必要な食品を把握しておきましょう。
市販の介護食やとろみ調整食品の活用法
毎日、嚥下調整食を手作りするのは大変な労力がかかります。 市販の介護食(ユニバーサルデザインフードなど)や栄養補助食品を上手に活用しましょう 。 これらは、食べる人の状態に合わせて「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」など、硬さや粘度が調整されており、温めるだけで手軽に安全な食事を用意できます 。
とろみ調整食品は、液体に混ぜるだけで簡単にとろみをつけられる便利な製品です 。 製品によってとろみのつき方が異なるため、説明書をよく読み、ダマにならないように少量ずつ混ぜるのがコツです 。
簡単・美味しい!高齢者向け彩りレシピ3選
ここでは、食欲がない時でも食べやすく、彩りも豊かで、介護する方も簡単に作れるレシピを3つご紹介します。
【レシピ1】彩り野菜のふんわり茶碗蒸し
卵のやさしい味わいと、なめらかな口当たりが特徴です。タンパク質も手軽に補給できます。
- 材料(2人分)
- 卵:2個
- だし汁:300ml
- 薄口醤油:小さじ1
- みりん:小さじ1
- 塩:少々
- 具材:鶏ささみ(茹でてほぐしたもの)、ほうれん草(柔らかく茹でて刻んだもの)、人参(すりおろしたもの)など、お好みの柔らかい具材
- 作り方
- ボウルに卵を割り入れ、よく溶きほぐします。
- だし汁、薄口醤油、みりん、塩を加えて混ぜ合わせ、一度こしてなめらかにします。
- 耐熱の器に具材を入れ、2の卵液を静かに注ぎ入れます。
- 蒸気の上がった蒸し器に入れ、弱火で10分〜15分ほど蒸します。竹串を刺して透明な汁が出れば完成です 。
【レシピ2】白身魚の和風あんかけ
淡白な白身魚は消化が良く、とろりとしたあんが喉ごしを良くしてくれます。
- 材料(2人分)
- 白身魚(たら、かれいなど):2切れ
- だし汁:150ml
- 醤油:大さじ1
- みりん:大さじ1
- おろし生姜:少々
- 水溶き片栗粉:片栗粉小さじ1+水小さじ2
- 作り方
- 白身魚は骨を取り除き、蒸すか茹でるかして火を通します。
- 小鍋にだし汁、醤油、みりん、おろし生姜を入れて火にかけ、煮立たせます。
- 一度火を止め、水溶き片栗粉を回し入れ、よく混ぜながら再び火にかけ、とろみをつけます 。
- 器に盛った1の白身魚に、3のあんをかければ完成です。
【レシピ3】豆腐と鶏ひき肉のそぼろあん
豆腐と鶏ひき肉で、タンパク質をしっかり摂れる一品です。ご飯やおかゆにかけても美味しくいただけます。
- 材料(2人分)
- 絹ごし豆腐:150g
- 鶏ひき肉:100g
- だし汁:100ml
- 醤油:大さじ1.5
- 砂糖:大さじ1
- みりん:大さじ1
- 水溶き片栗粉:適量
- 作り方
- 豆腐はキッチンペーパーで包み、軽く水切りをしておきます。
- 小鍋に鶏ひき肉と調味料(だし汁、醤油、砂糖、みりん)を入れ、火にかける前に箸でよく混ぜ合わせます。
- 火にかけ、ひき肉に火が通るまで混ぜながら煮ます。
- 豆腐を手で崩しながら加え、温まったら水溶き片栗粉でとろみをつけます 。
介護者の負担を軽くするためにできること

ご家族の食事を毎日用意することは、愛情があっても大きな負担になることがあります。 介護する方が心身ともに健康でいることが、結果的にご本人のためにもなります。 ここでは、介護者の負担を軽減するための考え方やサービスを紹介します。
完璧を目指さない考え方
毎食、栄養バランスの取れた手作りの食事を用意しなければ、と気負う必要はありません。 「食べきれなかった」「残してしまった」と落ち込むのではなく、「一口でも食べられた」と前向きに捉えることが大切です 。 時には市販の惣菜や冷凍食品に頼るなど、上手に手を抜きながら、無理なく続けられる方法を見つけましょう。
宅配弁当や配食サービスの賢い利用法
調理や買い物の負担を軽減するために、高齢者向けの宅配弁当(配食サービス)を賢く利用する方法があります。 管理栄養士が監修した栄養バランスの取れた食事が届くため、献立を考える手間や調理の手間が省けます 。 きざみ食やムース食など、嚥下状態に合わせた食事形態を選べるサービスも増えています。
毎日利用するのではなく、「週に数日だけ」「昼食だけ」といったように、生活スタイルに合わせて部分的に取り入れるのも良い方法です。 これにより、介護者は時間的・精神的な余裕を持つことができ、その分、本人とゆっくり向き合う時間を作ることができます。
自治体によっては、高齢者向けの配食サービスに助成金を出している場合もあるため、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに問い合わせてみましょう 。
周囲への相談と公的サービスの活用
食事に関する悩みは、一人で抱え込まないことが重要です。 かかりつけの医師や歯科医師、管理栄養士、ケアマネジャーなどの専門家に相談すれば、具体的なアドバイスをもらえます 。 また、ホームヘルパーに調理や食事介助を依頼するなど、介護保険サービスを活用することもできます 。
家族や親戚、友人に協力を求めるなど、周りのサポートを得ながら、無理のない介護を続けていきましょう。
まとめ
高齢者にとって食事は、生きる喜びそのものです。 食事が楽しめなくなる原因は、身体的な変化から心理的な問題まで様々ですが、一つひとつの原因に丁寧に向き合い、小さな工夫を重ねることで、再び食事の楽しみを取り戻すことは可能です。
大切なのは、ご本人の「食べたい」という気持ちに寄り添い、食事が「義務」ではなく「楽しみ」な時間になるようサポートすることです。 彩り豊かな盛り付け、心安らぐ香り、楽しい会話、そして何よりも介護する方の笑顔が、最高の調味料になります。
毎日の食事作りは大変なことですが、完璧を目指す必要はありません。 便利なサービスを上手に活用しながら、介護する方自身の心と体の健康も大切にしてください。 この記事で紹介した工夫が、ご本人とご家族の食卓に、再び笑顔と楽しさをもたらす一助となれば幸いです。




