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介護施設の食事の実態は?入居前に確認すべき5つのポイントについて解説
2025/09/22

介護施設では入居者の好みや健康状態に合わせ、さまざまな種類の食事を提供しています。食事は単なる栄養補給ではなく、治療や日々の楽しみといった役割があるからです。
通常食の他、イベント食や選択食なども用意されており、おやつの種類も豊富です。
嚥下機能(飲み込む力)が弱くなっている方でも安心して摂取できるよう、介護食も提供しています。
とはいえ、入居を希望する方は「介護施設ってどんな食事が提供されているの?」「味は美味しいのかな?」などと不安に思うこともあるでしょう。
そのため、事前に施設を見学して食事を試食し、食事中の雰囲気を確認することをおすすめします。
そこで本記事では、
- 介護施設で提供している食事の種類
- 介護施設における食事の苦情内容
- 入居前に確認しておくべき食事のポイント
などをご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
介護施設における食事の大切さ
介護施設へ入居される方にとって、食事は気になるポイントといえるでしょう。食事は栄養の摂取はもちろん、施設で生活する上での楽しみでもあります。
厚生労働省は、施設に入所している要介護高齢者の楽しいことの第1位は食事であると述べています。
出典1: 高齢者にとっての「食べること」の意義
他にも食事には、
- 精神面を安定させて生活の満足度を高める
- 他の入居者と食事を共にすることで社会的なつながりが保たれる
- 決まった時間に食事をすることで、生活リズムが規則正しくなる
などの効果も期待できます。
厚生労働省の「高齢者にとっての食べることの意義」には、高齢者の生活リズムと一日の生活のなかでの規則的な食べることのリズムが、高齢者に規則的な生体リズムを形成し、体内の消化酵素やホルモンの分泌、神経調節、臓器組織の活性のバランスを保ち、日常の食欲や規則的な便通が保持されることにつながると記載されています。
出典2: 高齢者にとっての「食べること」の意義
また、病気や嚥下機能など、それぞれの体調にあった食事を提供することも重要です。大切な日々の食事だからこそ、入居前にしっかり確認しておきましょう。
介護施設で提供される食事の種類を詳しく解説
介護施設の食事は利用者のニーズに答えるため、バラエティーに富んだメニューが用意されています。
- 通常食
- イベント食
- 選択食
- おやつ
順番に解説していきます。
1.通常食
高齢者施設の食事では、和食から洋食まで豊富なメニューが提供されています。以下で通常時の朝・昼・夕の献立例を紹介します。
<献立 例1>
メニュー | |
朝食 | ご飯、味噌汁、鮭のムニエル、小松菜のお浸し、牛乳 |
昼食 | ご飯、鶏肉の照り焼き、筑前煮、マカロニサラダ、スープ、りんご |
夕食 | ご飯、焼き鯖、かぼちゃの煮物、なすの煮浸し、味噌汁、みかん |
<献立 例2>
メニュー | |
朝食 | ご飯、味噌汁、焼き海苔、スクランブルエッグ、バナナ |
昼食 | ご飯、鶏のから揚げ、かぼちゃのサラダ、ほうれん草の胡麻和え、スープ、ゼリー |
夕食 | ご飯、鮭のムニエル、かぼちゃの煮物、白菜のお浸し、味噌汁、みかん |
献立のポイントは以下です。
- 主食、主菜、副菜、汁物、果物を揃える。
- 毎食、魚・肉・卵・大豆製品のいずれかを使用し、タンパク質を摂れるようにしている。
- 野菜を毎食とり入れて、ビタミンやミネラルを摂れるようにしている。
このように、栄養バランスを考えた上で、バリエーション豊かなメニューを提供しています。
2.イベント食
クリスマス、七夕などでは「イベント食」を取り入れて、季節感や特別感が得られるよう工夫しています。以下で一例を紹介します。
<イベント食の例>
イベント名 | メニュー |
お正月 | ・おせち料理
・お雑煮 |
ひな祭り | ・ちらし寿司
・ひなあられ |
七夕 | ・そうめん
・星型ゼリー |
クリスマス | ・ローストチキン
・クリスマスケーキ |
イベント食は、
- 食べる喜びを感じる
- 行事を通して生活リズムを実感する
- 入居者同士や職員と交流して社会的なつながりを持つ
などが目的です。食べやすく、なおかつイベントに合った食事を工夫して提供しています。
3.選択食
選択食とは、介護施設で提供される数種類のメニューの中から、入居者が好きなものを選んで食べる食事のことです。
入居者にとって、以下のようなメリットがあります。
- 食べたいメニューを選べるため、食事の楽しみが増える
- 自分で選択することで食への意欲が高まる
- 好きな食事を選べるため、食べ残しが減る可能性が高くなる
以下に選択食の例をまとめましたので、施設をご検討の方は参考にしてください。
<選択食の例>
種類 | メニュー |
昼食の主菜 | A:鮭の塩焼き
B:から揚げ |
和食 or 洋食 | A:ご飯、鯖の味噌煮、筑前煮、味噌汁
B:パン、スクランブルエッグ、シーザーサラダ、スープ |
イベント食 | クリスマス
A: チキン B:鮭のムニエル |
このように、選択食は入居者が自ら食べたいものを選択し、好きなものが食べられます。食事をより楽しみたいとお考えの方は、選択食を導入している施設を検討してみましょう。
4.おやつ
おやつは、入居者のエネルギー補給と満足感を得る役割があります。嚥下機能や健康状態に配慮しながら、食べやすくて見た目が良いものを選ぶと良いでしょう。
以下が介護施設で提供されているおやつの一例です。
<おやつの例>
種類 | メニュー |
洋菓子 | ・プリン
・ヨーグルト ・ムース ・ゼリー |
和菓子 | ・羊羹
・どら焼き ・まんじゅう(飲み込みやすいこし餡が多い) ・甘納豆 |
季節のおやつ | ・水ようかん
・かき氷 ・スイートポテト ・ぜんざい |
このように、おやつは入居者に合わせて飲み込みやすい形態のものを選んだり、イベントに合うものを選んだりして提供されています。
介護施設に入居前にチェックすべき食事の種類3つ
介護施設の食事は、
- 高齢者食
- 介護食
- 治療食
に分類されており、利用者の状態に合わせて提供しています。ここでは、高齢者に適した食事形態について確認していきましょう。
1.高齢者食
高齢者食とは、特別な食事ではなく加齢に伴う体の変化に対応した食事のことです。不足しがちな水分を補ったり、噛み切りやすいよう工夫されていたりします。
主な特徴は以下です。
- 噛む力が低下している方でも、必要に応じて一口大に切って食べられるように柔らかくなっている
- 見た目にも配慮し、食欲を刺激するようになっている
- 水分を補うため、水分量が多くなっている
高齢者食は入居者に「ご飯を食べたい」と思わせるような、加齢による体の変化に適した食事となっています。
2.介護食
高齢者食よりもさらに食べやすくなっているのが「介護食」です。嚥下機能が低下している方向けに6種類あります。
以下に詳しくまとめたので、希望の施設が導入しているかどうか確認してみてください。
<介護食の種類・対象者>
種類 | 特徴 |
きざみ食 | おかずを細かく刻んだもの |
ソフト食 | 食事の見た目はなるべく変えずに、具材を柔らかく調理したもの |
ムース食 | 柔らかく調理した食材をすりつぶし、とろみ剤などで成型したもの |
ミキサー食 | 通常の食事にだし汁やスープを加えて、ミキサーでペースト状にしたもの |
ゼリー食 | 食事をペースト状にして、ゼラチンや寒天などを加えてゼリー状に固めたもの |
水分補給食 | 飲み物などをゼリー状にして水分補給しやすくしたもの |
高齢者は嚥下機能が低下し、普通食を食べることが困難な方も多くいます。栄養バランスのとれた食事を摂取するためにも、飲み込みやすさや食べやすさは食事をとる上で重要なポイントといえるでしょう。
3.治療食
治療食とは、症状を改善するために栄養バランスを考慮した食事のことです。
- 糖尿病
- 高血圧
- 腎臓病
など、様々な疾患に合わせた食事を摂取することが望ましいといえます。
薬を飲むことも大切ですが、食事も治療の一つです。持病をお持ちの方は、治療食が適切に導入されている施設を検討してみましょう。
介護施設の食事でよくある2つの苦情
介護施設では食事内容や職員の介助に対してなど、さまざまな苦情が入ることがあります。
ここでは、入居者から寄せられる苦情について解説していきます。
食事内容についての苦情
味や見た目の苦情では、以下の項目が多くなっています。
- 味が濃い・薄い
- 料理が冷めてしまっている
- 食材が固い
- メニューのバリエーションが少ない
- 苦手な食材が入っている
- 塩分量や味にばらつきがある など
施設では一人ひとりの要望に応えることは困難なため、不満を感じてしまう入居者がいるのも事実です。
入居者の満足度を高めるため、イベント食や選択食の回数を増やすなどの対策が求められるでしょう。
サービスについての苦情
食事内容だけではなく、職員の対応などに不満を感じている入居者もいます。
内容は以下の通りです。
- 職員が誤って違う方のお膳を配膳してしまった
- 食べ終わった食器がなかなか下膳されない
- カップの飲み口に職員の手が触れていた
- 食事スペースへの入居者の誘導が遅い など
このように、食事の準備やテーブルへ着く際の介助に関しての苦情が多いようです。人員不足や業務効率化の改善などが、対策として挙げられるでしょう。
介護施設の入居前に確認すべき食事のポイント5選
入居にあたり、食事サービスが良い施設を選びたいという方もいるでしょう。入居後のトラブルを防ぐためにも、事前に食事の味や職員の介助などを確認しておく必要があります。
- 職員の介助は適切か確認する
- 食事環境や雰囲気を確認する
- 見学時に試食をして味を確認する
- 月間や週間の献立を確認する
- 朝食はこだわっているか確認する
順番に解説していきます。
職員の介助は適切か確認する
見学時には、食事における職員の介助が適切かを見る必要があります。食事の味や献立が良くても、職員の介助に不満がある場合は苦情につながりやすいからです。
主に以下の点について確認しておきましょう。
- 配膳時や食事の前に「ご飯を食べましょうね」「お膳を置きますね」などと声かけをしているか
- 入居者の食べるペースに合わせ、急がせずに介助しているか
- 食事にむせたり咳き込んだりしたときに、適切に対応できているか
- 入居者の残存機能を活かし、自分で食べられる部分はサポートできているか
このように、見学時には声かけの仕方や安全への配慮などができているかなどを確認することが重要です。
食事環境や雰囲気を確認する
食事の味だけでなく、食事場所の環境や雰囲気も大切なチェックポイントです。味が美味しくても、環境が良くなければ食事を楽しむことができません。
明るく清潔感がある場所で食べたり、入居者同士や職員との会話があったりしたほうが食事は美味しく、楽しく感じられます。
農林水産省の研究では、共食(他の人と交流しながら食事をする)の方はストレスがない、自分が健康だと感じているとの結果が出ています。
出典3: 食育の推進に役立つエビデンス(根拠)
このように、食事環境は心身の健康に大きな影響を及ぼします。見学時には、食事場所の清潔感や入居者の食事中の雰囲気を確認してみてください。
見学時に試食をして味を確認する
介護施設へ見学に行った際は、食事を試食してみましょう。食事の場面を見学することも大切ですが、実際に食べたほうが入居後の生活イメージが湧きやすいのでおすすめです。
食事をする上で大切な
- 温度
- 味付け
- 固さ
- 香り
などは、実際に食べてみなければわかりません。
食事中の雰囲気を把握して、試食をして、食事サービスが適切か確認することが大切です。
月間や週間の献立を確認する
見学の際は、食事の週間や月間の献立を確認することも大切です。メニューは豊富か、季節感があるメニューかなどを事前にチェックしておくことで、入居後の満足度が変わってきます。
主な確認ポイントは以下です。
- メニューにバリエーションはあるか
- 季節感はあるか
- カタカナ表記のメニューにはわかりやすい説明が載っているか
特に献立名はカタカナ表記だと、どんな料理なのかわからない場合が多くあります。例えば「ビシソワーズ(冷製スープ)」などのように、カタカナ名の後にわかりやすいように日本語表記表示があると良いでしょう。
入居者の食への満足度を上げるためにも、わかりやすい献立名にすることが重要です。
朝食にはこだわっているか確認する
介護施設にとって一日の中で最も忙しいのが、時間や人員が最も制限される起床から朝食時といえるでしょう。
そんな中でも、手を抜くことなく朝食が提供できているか否かで、食事に対する姿勢を知ることができます。
朝食を大切にしている施設は、日々のケアも丁寧におこなっている可能性が高いといえるでしょう。
朝食は一日のスタートを切る大切な時間です。朝食のメニューや提供方法、選択食の提供など確認してみましょう。
介護施設の食事は入居者の好みや状態を考慮して決める
介護施設の食事サービスは入居者にとって栄養補給はもちろん、精神面の安定のためにも重要です。入居前の見学時には食事メニューや味付けの他、環境や食事中の雰囲気もしっかり確認しましょう。
また、施設側は入居者のニーズや健康状態に合った食事を提供しなければなりません。多様なメニューの他、介護食や治療食までさまざまな種類の食事を用意する必要があります。
「入居者の希望に合った食事を提供して満足度を上げたい」「食事の準備に時間がかかる」などとお悩みの方には、冷凍弁当をおすすめします。
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