食事提供体制加算の算定要件|厚労省基準と必要書類

2026/06/19

食事提供体制加算は、障害福祉サービスの利用者へ食事を提供する体制を評価する加算です。令和6年度の報酬改定で算定要件が見直され、満たすべき条件が増えました。本記事は施設の事務・管理者の方に向けて、算定要件と必要書類を整理します。単位数や所得要件、令和9年度(2027年度)の経過措置までを最新基準で解説します。数値や要件は2026年6月時点の厚生労働省告示・通知に基づきます。

この記事では、「食事提供体制加算」の算定要件について解説します。

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目次

食事提供体制加算の基本構造と対象サービス・単位数

食事提供体制加算とは|制度の趣旨と低所得者への食事支援

食事提供体制加算は、施設が提供する食事の費用負担を軽減する制度です。低所得の利用者が受ける食事サービスの自己負担を減らす目的があり、公費による支援として、調理にかかる人件費相当分を報酬で支給します。

施設が責任を持って食事を提供する体制を整えている場合に算定でき、単なるコスト補填ではなく、利用者の自立支援を支える役割を担います。食事の質の維持と健康増進のため、専門的な栄養管理が求められます。

くわしくは下記の記事をご覧ください。

関連記事:食事提供体制加算とは|要件・区分・外部委託をわかりやすく解説

対象サービスと単位数一覧

単位数は、提供する障害福祉サービスの種別によって異なり、通所系サービスと宿泊系サービスで単位数が分かれています。

区分 対象となる障害福祉サービス 単位数(1日)
通所系 生活介護、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労選択支援、自立訓練(機能訓練・生活訓練) 30単位
宿泊系 短期入所、宿泊型自立訓練 48単位
児童発達支援Ⅰ 栄養士による指導や献立確認など 30単位
児童発達支援Ⅱ 管理栄養士による指導や研修会の開催など 40単位

 

引用元:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.5(厚生労働省)

通所系サービスを例に、金銭的な影響を試算します。対象利用者が5人、1か月に20日間、食事提供を受けたと仮定し、地域区分を1単位10円とした場合、計算式は次のとおりです。

30単位 × 5人 × 20日 × 10円 = 30,000円。

1か月あたり30,000円が、給付費として事業所へ支払われます。利用者が増えるほど、運営に与える影響額は大きくなります。

加算の算定対象となる利用者の所得要件

食事を提供しても、全員分を加算算定できるわけではありません。対象は、収入が一定額以下の世帯に属する利用者に限られます。

所得区分 世帯の所得要件 受給者証の確認
生活保護受給世帯 生活保護法に基づく支給を受けている世帯 「該当」の記載
市町村民税非課税世帯 世帯全員が市町村民税非課税である世帯 「該当」の記載
所得割16万円未満 本人と配偶者の所得割額が16万円未満(年収約600万円以下) 「該当」の記載

引用元:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.5(厚生労働省)

要件を満たすかは、障害福祉サービス受給者証に記載されます。事務責任者は、契約時に対象者の受給者証を必ず確認してください。受給者証に「非該当」とある場合は加算を算定できず、非該当の利用者には食材費と調理費の実費請求が必要です。

令和6年度報酬改定で義務化された「新・3大算定要件」

令和6年度の改定で、栄養面の配慮を示す3要件が義務化されました。3要件は、献立確認・摂食量の記録・体重またはBMIの記録です。

引用元:令和6年度報酬改定に伴う食事提供体制加算の取扱いについて(東京都)

要件①|管理栄養士または栄養士による献立確認

加算の算定には、管理栄養士等が献立の内容を確認しなければならず、確認は年に1回以上行う義務があります。実績を証明するため、献立表に専門職の署名や捺印を保管し、日付が明記された確認記録を作成しておくと確実です。

外部連携・委託先栄養士による確認ルール

専門職の直接雇用は、算定の必須条件ではありません。栄養士がいない場合でも、外部と連携する体制があれば算定できます。

  • 栄養ケア・ステーションの活用
  • 保健所の管理栄養士による確認
  • 法人内の別施設に所属する栄養士
  • 外部調理委託先に所属する栄養士

 

調理を外部の給食事業者へ委託しているケースを想定します。委託先で管理栄養士等が献立を立てていれば要件を満たすため、契約書に栄養士による献立作成と確認の旨を記載しましょう。

確認事項の具体例と実施頻度

確認内容は、利用者の栄養状態や身体状況に応じたものにします。

  • 給与栄養目標量の達成度
  • 利用者の心身状況への配慮
  • アレルギー対応の有無
  • 障害特性に配慮した食形態

 

すべての献立を毎日リアルタイムで確認する必要はありません。サイクルメニューの場合は、メニュー更新時に確認を行います。確認頻度は、最低限、年に1回以上の実施が必要です。

要件②|利用者ごとの摂食量の記録ルール

食事を提供した日は、利用者ごとに食べた量を記録します。記録を怠ると、指導時に加算分の返還を求められる場合があります。提供日とともに、各利用者の摂取状況を毎日確実に記録します。

記録方法と具体的な記載表現

記録は、目視による確認や自己申告による把握も認められます。パーセンテージや分数を用いて、客観的な数値を残します。

  • 完食
  • 全体の8割
  • 2分の1残食
  • 主食のみ完食

 

主食と副食を分けて記録する様式を作ると、実務で役立ちます。日報やケース記録などの支援日誌に記入欄を組み込んでください。

要件③|利用者ごとの体重またはBMIの記録ルール

健康状態を把握するため、体重またはBMIの記録が要件です。頻度は、おおむね6か月に1回以上、定期的に測定します。測定結果は個人情報のため管理を厳重に行い、管理用のフェイスシートや健康管理簿を作成して保存しましょう。

身長測定が困難な場合や本人が拒否した場合の特例措置

障害特性により、全員の一律測定が難しい場合があります。厚生労働省の留意事項では、次の特例措置が認められます。

  • 身長不明時は体重のみ記録
  • 測定困難時は体重のみ記録
  • 本人の拒否時は測定を免除

 

身長計測が困難な方は、体重の記録だけで算定できます。本人の拒否がある場合は、無理に測定を行う必要はありません。個別支援記録等に「本人の意向により未実施」と明記し、理由を文書に残せば、測定がなくても要件を満たしたとみなされます。

引用元:食事提供体制加算の算定要件の追加について(尼崎市・事務連絡)

調理方法のルール|外部委託とお弁当の算定可否の境界線

施設内調理室使用の原則とクックチル等の施設外調理ルール

食事提供は、原則として施設内の調理室を使用して行います。自ら調理するか、第三者に業務を委託して提供する体制が必要です。施設外で調理したものを搬入する場合、製法に指定があります。

  • クックチル(急速冷却)
  • クックフリーズ(急速冷凍)
  • 真空調理(真空パック)
  • クックサーブ

 

施設外で調理したものを運ぶ際は、適切な衛生管理が欠かせません。搬入された食材は、施設内で再加熱や盛り付けを行って提供します。最終的な温度管理や衛生管理の責任は、施設側が負います。

お弁当(市販・宅配・持参)や出前が算定不可となる理由

食事調達の方法によっては、加算を算定できません。市販のお弁当やデリバリーの利用は、対象外と定められています。

  • コンビニの市販弁当
  • スーパーのお弁当
  • 近隣飲食店からの出前
  • ファミレスへの外食
  • 利用者の持参弁当

 

市販弁当を購入して配る方法は、単なる購入代行とみなされます。調理設備があっても、詰め替えだけでは体制評価になりません。事業所が調理工程や温度管理に関わることが不可欠で、利用者の持参弁当は施設の提供でないため対象外です。

支援員が調理する場合の注意点|常勤換算と勤務時間の切り分け

人手不足の事業所では、生活支援員が調理を兼ねる例があります。兼務は可能ですが、常勤換算の計算方法に注意します。調理に従事する時間は、直接支援の業務時間から除外されます。

  • 調理時間は支援時間から差し引く
  • 勤務形態一覧表で時間を完全に分ける
  • 必要な配置人員の基準を満たす

 

支援員の勤務表と調理員の実績は、明確に区別してください。時間区分が曖昧だと、人員基準違反とみなされる恐れがあります。基本報酬の減算対象となるため、時間管理を徹底しましょう。

加算の届出方法と必要書類の完全ガイド

加算の届出に必要な提出書類一覧

加算の算定には、事前に指定権者への届出が必要です。届出書が受理された当日から算定を開始でき、他の加算のような「前月15日まで」という縛りはありません。

書類の種類 提出の条件 目的
介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書 すべての届出で必須 加算の開始や変更を申し出る
算定に係る体制等状況一覧表 すべての届出で必須 算定中の加算状況を一覧化
従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表 調理員を配置する場合 調理員の氏名や勤務時間を示す
業務委託契約書の写し 調理を第三者委託する場合 委託内容と責任の所在を示す
調理室の平面図 自社調理室を使用する場合 必要な調理設備を示す
調理場所の写真および位置図 施設外から搬入する場合 搬入経路や調理場所を示す

必要書類や書式は、指定権者である自治体によって異なります。申請前に、管轄自治体のサイトで最新の様式を確認してください。

事前準備が必要な各種記録様式と個別支援計画書の書き方

届出の段階で、実務で使う書類の準備を完了しておきます。実地指導で書類が保管されていないと、指摘を受けます。

  • 個別支援計画書
  • 管理栄養士が確認した献立表
  • 毎日の食事提供・摂食量の記録簿
  • 体重・BMIの測定管理台帳

 

特に、個別支援計画書における記載方法が重要です。計画書に「食事提供」を具体的に位置づけておきます。

【個別支援計画書の記載例】

低所得者等の食事負担軽減を図り、適切な食事提供体制のもとで栄養バランスのとれた昼食を毎日提供する。また、摂食量の記録や定期的な体重・BMIの測定を通じ、健康維持をサポートする。

食事提供の必要性と支援方法を盛り込んだ計画を立案します。利用者の同意を得て、計画書を発行しておきましょう。

令和9年度(2027年度)経過措置のゆくえと経営コストシミュレーション

令和9年3月31日までの経過措置延長と今後の方向性

食事提供体制加算は、これまで廃止の議論が重ねられてきました。令和6年度の改定で、令和9年3月31日まで延長が決まりました。経過措置の期間が終了した後の見通しを説明します。

  • 経過措置の完全廃止
  • 栄養管理加算への機能転換
  • 対象者を限定した存続

 

完全廃止となれば、昼食の費用負担は事業所か利用者に移ります。栄養管理を伴う加算へ移行する場合、専門職の配置が厳格化します。経営責任者は、将来的な要件変更を見据える必要があり、初期投資のかかる厨房整備は避け、運営コストを抑える工夫が要ります。

引用元:令和6年度報酬改定に伴う食事提供体制加算の取扱いについて(東京都)

手作り調理継続 vs 外部委託(完調品)の経営コスト・人員シミュレーション

自社で食材を購入し手作りする場合と、完調品を導入する場合を比較します。

比較項目 施設内での手作り調理 完全調理済み冷凍パック
食材料費(実費) 1食あたり約250〜300円 1食あたり約350〜450円
調理員の人件費 月あたり約15〜20万円 月あたり数万円(盛付のみ)
厨房での作業時間 1日あたり約3〜4時間 1日あたり約30分
専門職の献立確認 自社雇用または外部委託料が発生 無料(提供会社の献立を利用)
食中毒・衛生管理 高い(生肉・生魚を加工) 低い(加熱済み真空冷凍)
加算廃止時の撤退コスト 高い(機器・人員のリスク) 極めて低い(契約終了のみ)

 

手作りは食材料費を安く抑えられますが、調理員の雇用費用や人件費が上乗せされます。食材料費300円に人件費400円がかかると仮定すると、1食あたり700円のコストがかかる計算になります。加算対象の利用者からは食材料費300円しか徴収できず、人件費400円に加算(300円相当)を充てても、100円の赤字です。差額は、事業所が持ち出しで自己負担することになります。

完調品は、仕入れ値こそ手作りより高くなります。ただし調理時間が最小限となり、人件費を削減できるため、総合的な運用コストでは完調品が黒字化に寄与しやすいです。

運営指導(実地指導)でよくある指摘事項と万全な対策

実地指導における3大指摘事例と是正対策

運営指導では、加算要件がクリアされているか確認されます。基準に満たない運用は、不正請求と判断されるリスクがあります。

事例①:個別支援計画に「食事提供を行うこと」の文言がない

計画書に記載がない利用者への提供は、加算を算定できません。計画書を見直し、食事の提供目的と手順をすべてに記載します。

事例②:外出行事の外食やお弁当に加算を算定している

外食や市販弁当を配った日に算定すると、返還指導を受けます。提供実績と活動記録を照らし合わせて確認されるため、外食・市販弁当の日は実績記録票の加算チェックを外します。

事例③:摂食量や体重測定の記録が一切ない

令和6年度に義務化された3つの記録が不足するケースです。記録簿のテンプレートを作成してファイリングし、記録が揃わない月は加算請求を行わないようにします。

よくある質問

Q1:食事提供体制加算と食事提供加算の違いは何ですか?

対象サービスと利用者の年齢区分に違いがあります。食事提供体制加算は成人の障害者を対象とした就労継続支援等で使い、食事提供加算は児童発達支援などの障害児サービスで使います。児童向けの加算では、食育の推進や家族への相談対応が要件です。

Q2:人件費を利用者から徴収できますか?

人件費を利用者の自己負担として別途請求することはできません。利用者の自己負担は、食材料費のみの実費徴収に限られます。人件費や水道光熱費は加算の報酬に含まれ、誤って徴収すると過誤返還を求められる対象になります。

Q3:急に休んだ日の食事分の加算を算定できますか?

利用者が欠席した日は、加算を算定できません。本体報酬が算定できない日は、加算のみの算定も不可です。食材を破棄せざるを得ない場合でも公費請求はできませんが、当日キャンセルの食材料費は契約書に明記して実費徴収できます。

Q4:施設外就労先で食事を提供する場合も算定できますか?

一定の契約条件を満たす場合に限り、算定が可能です。就労支援事業者と就労先企業の請負契約書の内容に注意し、「事業所職員が就労先の調理室で調理できる」旨を記載します。調理員の人件費を自社が負担している事実を証明できれば対象となりますが、就労先が好意で無償配食する形式は対象になりません。

施設経営を安定させる「こだわりシェフ」完全調理済み冷凍パックの導入メリット

管理栄養士による献立確認要件をクリアする仕組み

令和6年度改定で最も重い負担は、専門職による献立確認の実務です。こだわりシェフは管理栄養士が献立を組み立てて提供するため、導入するだけで栄養面の確認要件を満たしやすくなります。外部へ都度、有償で確認依頼する手間と費用を抑え、事務責任者の書類管理を省力化して業務を簡素化します。

厨房人員不足と常勤換算の課題を解決する再加熱調理

自社調理による職員不足は、多くの施設が抱える経営課題です。こだわりシェフは完成した料理を真空冷凍で納品するため、厨房の仕事は冷凍パックを温めて盛り付けるだけです。食材の加工や長時間の加熱作業がなくなり、調理にかかる人員の拘束時間を短縮できます。支援時間から調理時間が引かれるのを防ぎやすくなり、配置基準違反による基本報酬減算のリスクを抑えられます。

食中毒リスクの低減と経営資源のコア業務への集中

生の肉や魚を加工する場合、細菌汚染の危険が常に伴います。こだわりシェフは工場で加熱加工を完了させているため、未加熱の食材を触らず消毒工程を減らせます。夏場などの食中毒リスクを抑えて利用者の安全を確保し、厨房業務の負担を減らして支援や工賃向上の活動に注力できます。将来の加算改定にも対応できる、強固な経営体制を整えましょう。

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