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移行支援加算とは?改定前後の違いについて
2023/09/08
移行支援加算は、2021年度の介護報酬改定において「社会参加支援加算」が名称変更されたものです。
名称変更の他にも算定要件など、いくつかの変更がありました。移行支援加算の内容と、社会参加支援加算との違いについて確認しましょう。
目次
移行支援加算について
2021年度(令和3年度)の介護報酬改定では、団塊の世代の全てが75歳以上となる2025年に向け2040年も見据えながら、地域包括ケアシステムの推進として「住み慣れた地域において、利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう取り組みを推進する」としています。
また、自立支援や重度化防止の取り組みの推進として、「制度の目的に沿って、質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進する」としています。
その中で、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組みの連携・強化を図る観点でいくつかの改定が行われています。
<移行支援加算とは>
2021年度の介護報酬改定で、それまでの「社会参加支援加算」が「移行支援加算」と名称変更されました。
加算の大枠に大きな変更はありませんが、算定要件などは一部変更されています。
<移行支援加算の目的>
リハビリテーションによってADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作:日常生活動作以外の社会生活を送るうえで欠かせない手段)が向上し、家庭内での役割や社会参加へつなげていくことを目的としています。
<移行支援加算の対象事業所>
対象となるのは訪問リハビリテーション事業所、通所リハビリテーション事業所で、リハビリテーション施設が取得できる加算です。
訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションから、他のサービスに移行することで算定できますが、算定可能なのは指定通所介護、認知症対応型通所介護、一般介護予防事業などへの移行であり、介護保険施設への入所やグループホームなどへの移行では算定できません。
訪問リハビリテーションとは
訪問リハビリテーションは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの資格を持った職員が訪問し、自宅でリハビリテーションを受けるものです。
訪問リハビリテーションは、リハビリを受けるために施設や病院へ通うことが困難であったり、施設や病院を退所・退院した後の日常生活に不安があるなどの理由で、主治医が訪問リハビリテーションの必要があると認めた場合に利用することができます。
訪問リハビリテーションでは、生活環境に応じたリハビリを行うことができ、自宅内の環境整備についてのアドバイスを受けることもできます。
通所リハビリテーションとは
通所リハビリテーションは「デイケア」と呼ばれることもあります。
要介護者が日帰りで通って、生活機能向上のためのリハビリテーションや看護師による健康チェックの他、食事や入浴などの生活支援を受けることもできます。
通所介護(デイサービス)と比較すると、通所リハビリテーションでは介護職員の他に、医師や看護師、リハビリ専門職員がいるため、生活支援だけではなく医療やリハビリテーションに特化していることが特徴といえます。
移行支援加算 訪問の算定要件
算定できる単位は訪問リハビリテーション17単位/日で、社会参加支援加算のときと同じです。算定要件には一部変更があります。
算定要件①
評価対象期間において、指定訪問リハビリテーションの提供を終了した者のうち、ADLやIADLの向上により指定通所介護、指定通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護、通所事業その他社会参加に資する取り組みを実施した者の占める割合が5%を超えていること。
算定要件②
評価対象期間中に指定訪問リハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、事業所の理学療法士等が、訪問リハビリテーション終了者に対して、指定通所介護等の実施が継続する見込みであることを電話等により確認し、記録に残すこと。
算定要件③
訪問リハビリテーションの利用の回転率は、12月/平均利用延月数が25%以上であること。
算定要件④
訪問リハビリテーションの提供を終了した者が、指定通所介護等の事業所へ移行するにあたり、当該利用者のリハビリテーション計画書を移行先の事業所へ提出すること。
移行支援加算 通所の算定要件
算定できる単位は通所リハビリテーション12単位/日で、社会参加支援加算のときと同じです。算定要件には一部変更があります。
算定要件①
評価対象期間において指定通所リハビリテーションの提供を終了した者のうち、ADLやIADLの向上により指定通所介護、認知症対応型通所介護、通所事業その他社会参加に資する取り組みを実施した者の占める割合が3%を超えていること。
算定要件②
評価対象期間中に指定通所リハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、事業所の理学療法士等が、通所リハビリテーション終了者に対して、指定通所介護等の実施が継続する見込みであることを電話等により確認し、記録に残すこと。
算定要件③
通所リハビリテーションの利用の回転率は、12月/平均利用延月数が27%以上であること。
算定要件④
通所リハビリテーションの提供を終了した者が、指定通所介護等の事業所へ移行するにあたり、当該利用者のリハビリテーション計画書を移行先の事業所へ提出すること。
社会参加支援加算との違い
社会参加支援加算は2015年の介護報酬改定で新設された加算です。
リハビリテーションの提供そのものが目的ではなく、目標と期間を定めた計画に基づく適時・適切なリハビリテーションの提供により、効果の高いリハビリテーションを提供する事業所を評価することを目的として創設されました。
リハビリテーションによって利用者のADLやIADLが向上し、通所介護などの他のサービスに移行していくことを評価の基準としている点は、名称が変わっても同じといえます。
対象サービスも訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションであり、ともに単位数も変更はありませんが、算定要件に変更事項があります。
通所リハビリテーションのみの変更事項
通所リハビリテーションの算定要件について2点の変更がありました。
1点目は、前記の通所リハビリテーションの算定要件①において、内容に変更はありませんが「取り組みを実施した者の割合が5%→3%に変更となりました。
もう1点は、前記の通所リハビリテーションの算定要件③において、回転率が25%以上→27%以上に変更となっています。
訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション共通の変更事項
訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションに共通の変更点も2点あります。
両サービスとも前記の算定要件②において、社会参加支援加算では「終了者の居宅を訪問するかケアマネジャーからの情報提供」が必要であったところが、移行支援加算では「電話等での確認」となりました。
もう1点は両サービスとも前記の算定要件④が追加されています。移行先の事業所へリハビリテーション計画書を提供することで、当該利用者のリハビリテーションについての情報共有が可能となり、事業所間のスムースな移行につながるとかんがえられます。
移行支援加算とは?改定前後の違い
移行支援加算は、目標と期間を定めた計画に基づく適時・適切なリハビリテーションの提供により、効果の高いリハビリテーションを提供する事業所を評価することを目的とした加算です。
訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションにおいてADLやIADLが向上し、他のサービスに移行した場合に算定できます。