栄養士が不在の場合はどうすればいい?原因や解決方法を教えます

2026/01/06

介護・福祉業界において、近年では単なる「高齢化のピーク」ではありません。人材獲得競争が極限まで激化し、これまでの「当たり前」が通用しなくなる分岐点です。

特に、施設のサービス品質とコンプライアンスの要である「栄養士・管理栄養士」の採用難は、経営者にとって頭の痛い問題となっています。

「求人を出しても応募ゼロ」「紹介会社の手数料が高すぎる」「やっと採用しても激務ですぐ辞める」

このような状況下で、無理に正社員採用にこだわり続けることは、かえって経営リスクを高める可能性があります。

本記事では、シルバーライフ編集長として、栄養士不在がもたらす法的・金銭的ダメージを徹底的に洗い出し、最新の法改正や規制緩和を駆使して「栄養士不在でも適法かつ高品質な運営」を実現するための具体的戦略を解説します。

なぜ「栄養士」が集まらないのか?

まずは知ることから始めましょう。なぜこれほどまでに栄養士の採用が困難になっているのでしょうか。現場の肌感覚だけでなく、客観的なデータがその深刻さを物語っています。

1. 国家試験合格率「49.3%」の衝撃

2024年(令和6年)に実施された管理栄養士国家試験の合格率は、49.3%でした。前年比で大幅に低下しており、資格取得のハードルが年々上がっています。

「資格を持っている人」の総数が増えにくい構造の中で、需要だけが拡大しているのが現状です。

出典1:第38回管理栄養士国家試験の合格発表(厚生労働省)

2. 圧倒的な「病院・大手志向」

厚生労働省のデータや求人市場の動向を見ると、栄養士の就職先希望は「病院」や「大手企業」に集中しています。

  • 病院: 医療チームの一員として専門性を発揮したい。

  • 企業: 商品開発や研究に携わりたい。

これらの職種と比較された時、早朝勤務や調理業務が含まれがちな介護施設や小規模保育園は、どうしても敬遠されがちです。有効求人倍率の職種間格差は広がる一方で、施設側が「選ばれる」立場にあることを認識しなければなりません。

【施設種別】栄養士不在が招く「具体的損失」と「法的ペナルティ」

「人がいないから仕方ない」という言い訳は、残念ながら行政には通用しません。栄養士の不在は、報酬の減額や、最悪の場合は刑事罰の対象となることさえあります。

ここでは、施設種別ごとに発生するリスクを、具体的な数字でシミュレーションします。

1. 特養・老健:年間500万円の減収リスク

介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設(老健)において、栄養士の配置は運営の根幹です。

1日14単位の減算が経営を直撃

入所定員が100名を超える施設で常勤の栄養士・管理栄養士を配置できない場合、「栄養ケア・マネジメント未実施減算」が適用されます。

この減算幅は非常に大きく、入所者1人につき1日14単位です。

【損失シミュレーション(定員100名の場合)】

  • 1日あたりの損失:14単位 × 100名 = 1,400単位

  • 1ヶ月(30日)の損失:1,400単位 × 30日 = 42,000単位

  • 金額換算(1単位10円):月額42万円

  • 年間損失額:約504万円

年間500万円以上の減収は、管理栄養士1〜2名分の人件費に相当します。「人件費を浮かすために採用を見送る」という判断が、経済合理的に成立しないことがわかります。さらに、栄養マネジメント強化加算などの上位加算も取得不可能となるため、機会損失を含めればダメージはさらに甚大です。

2. デイサービス:差別化要因の喪失と「じり貧」

通所介護(デイサービス)では配置義務自体は厳しくありませんが、不在の影響は「売上の天井」として現れます。

高単価な加算を取り逃がす

「栄養改善加算(200単位/回)」や「栄養アセスメント加算」は、利益率の高い加算です。これらを算定するためには栄養ケア計画の作成が必須ですが、専門職がいなければ実施不可能です。

また、利用者の低栄養状態(フレイル)を放置すれば、要介護度が重度化し、在宅生活の継続が困難になります。結果として利用者が早期に特養などへ入所してしまい、デイサービスの利用契約が終了してしまう「顧客流出」のリスクも高まります。

3. 保育園・認定こども園:「罰金刑」という重い十字架

最も注意が必要なのが、一定規模以上の給食を提供する保育施設です。

健康増進法による刑事罰

1回100食以上または1日250食以上を提供する施設は「特定給食施設」に指定されます。ここで適切な栄養管理を行わず、都道府県知事からの改善命令にも従わない場合、設置者に対して50万円以下の罰金が科される可能性があります。

これは行政処分ではなく刑事罰であり、施設名が公表されれば、保護者からの信頼は地に落ち、翌年度の園児募集に壊滅的な影響を与えるでしょう。

また、公定価格における「栄養管理加算」も受け取れなくなり、経営体力が削がれます。

4. 病院:入院基本料からの減算

医療機関においては、「栄養管理体制減算」が入院基本料等から差し引かれます。

さらに厄介なのは、採用が決まって届出を出しても、減算が解除されるのは「届出の翌月1日」からというルールです。月途中で採用できても、その月は減算が続くため、1日でも早い採用活動が求められます。

正社員にこだわらない「規制緩和」の活用術

ここまでリスクばかりをお伝えしましたが、絶望する必要はありません。国もこの人材不足を理解しており、2024年・2025年の制度改正で、「外部リソースの活用」を認める規制緩和を進めています。

「施設内に常駐していなければならない」という固定観念を捨てることが、解決への第一歩です。

戦略①:近隣の「栄養ケア・ステーション」をシェアする

日本栄養士会が推進する「栄養ケア・ステーション」は、地域にいる管理栄養士・栄養士を紹介・派遣する拠点です。

【メリット】

  • 必要な時だけ契約可能: 「週に1回、ミールラウンドだけ来てほしい」「献立の栄養価計算だけ頼みたい」といったスポット依頼が可能です。

  • 加算要件のクリア: デイサービスの栄養改善加算などは、外部の栄養ケア・ステーションとの連携でも算定要件を満たすことができます56

  • 教育の手間不要: 派遣されるのはプロフェッショナルですので、新卒採用のような教育コストがかかりません。

戦略②:給食委託先の「管理栄養士」をフル活用する

厨房業務を外部委託している場合、その契約内容を見直してください。2024年の障害福祉サービス等の改定により、**「委託先の管理栄養士が献立を確認し、定期的に状況を把握していれば、施設側に栄養士がいなくても加算算定が可能」**という緩和措置が設けられています7

【具体的アクション】

  • 委託会社に対し、「献立の栄養確認証明」が出せるか交渉する。

  • 定期的な施設訪問(ミールラウンド)を契約に盛り込む。これにより、自社雇用ゼロでも法令遵守が可能になります。

戦略③:調理済み食材(完調品)による「業務の標準化」

栄養士不足とセットで語られるのが「調理員不足」です。この両方を一挙に解決するのが、完全調理済み食材(クックチル・冷凍パック)の導入です。

【シルバーライフ「こだわりシェフ」などの活用メリット】

  1. 献立作成・栄養計算からの解放メーカー所属の管理栄養士が作成した、栄養バランス完璧な献立表が提供されます8。施設側でカロリー計算をする必要は一切なく、そのまま行政監査に提出可能です。
  2. 誰でもできるオペレーション「解凍して盛り付けるだけ」なので、高度な調理技術を持つ調理師や、早朝から出勤する栄養士が不要になります9。パートスタッフや介護職員でも食事提供が可能になり、シフト管理が劇的に楽になります。
  3. コストの見える化と削減食材ロスがゼロになり、光熱費や水道代も下がります。人件費を含めたトータルコストで比較すると、自前調理よりも安くなるケースが大半です。

経営シミュレーション:自前雇用 vs 外部活用

では、実際に数字で比較してみましょう。定員50名の施設で、栄養管理体制を構築する場合の月額コスト比較です。

項目 A. 自前で管理栄養士採用 B. 完調品+外部連携 差額・メリット
人件費

約350,000円

(給与・法定福利費・交通費)

約100,000円

(パートによる配膳業務)

-250,000円

固定費の大幅削減

採用費

約800,000円

(紹介会社手数料・一時金)

0円

契約のみ

-800,000円

初期投資不要

食材費 変動あり (廃棄ロス含む) 固定 (1食あたり単価確定) 予算管理が容易
献立作成 残業代発生のリスクあり 0円 (商品代に込み) 業務時間削減
リスク 退職による欠員リスク常在 供給ストップリスク極小 事業継続性(BCP)向上

 

結論:Bパターン(完調品+外部連携)を選択することで、月額25万円以上の固定費削減が見込めるだけでなく、「突然の退職」から解放されるという、プライスレスなメリットがあります。

現場への浸透:栄養士不在でも「食の質」を落とさない工夫

経営判断として外部活用を決めても、現場スタッフや利用者様が不安を感じては意味がありません。栄養士不在でも満足度を高めるためのポイントを解説します。

1. ICTツールによる情報共有の強化

栄養士が常駐しない分、利用者の「変化」を見逃さない仕組みが必要です。

体重、BMI、食事摂取量などのデータをクラウド型の介護ソフトで管理し、外部の連携栄養士がリモートでチェックできる体制を整えましょう。異常値が出た際にアラートが飛ぶ設定にしておけば、見落としを防げます。

2. 「イベント食」でメリハリをつける

完調品は「味が画一的」と思われがちですが、最近の商品はクオリティが非常に高くなっています。それでもマンネリを防ぐために、週に一度は「セレクト食(A定食・B定食から選ぶ)」を実施したり、月に一度は「行事食」を取り入れたりしましょう。

これらは、完調品メーカーのオプションや、地域の仕出し弁当などを活用することで、厨房の手間を増やさずに実現可能です。

3. 多職種チームでのケア

「食事を見るのは栄養士の仕事」という縦割りを廃止します。

介護職員、看護師、機能訓練指導員が連携し、「最近、飲み込みが悪くなった?」「食事を残しがちだ」といった気づきを共有する会議(ミールカンファレンス)を定例化します。外部の専門職はこの会議にオンラインで参加してもらうだけで十分機能します。

まとめ

「栄養士が採用できない」という悩みは、裏を返せば「古い運営体制を見直すチャンス」でもあります。

  • リスクの直視: 自施設の減算額や罰則を正しく理解する。

  • 外部への依存: 全てを自前で抱え込む「自前主義」を捨てる。

  • テクノロジーとサービスの活用: 完調品やICT、外部連携を組み合わせる。

これらを実行することで、人材不足の波に飲まれることなく、安定的で利益の出る施設運営が可能になります。

栄養士という「人」を探すのではなく、栄養管理という「機能」をどう調達するか。その視点の転換こそが、鍵となります。

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「急な欠勤が出るたびに、現場がパニックになる」
「委託費や食材費の値上げで、食事部門が赤字だ」

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